糖尿病・メタボのビフォー・アフター

スーパー糖質制限食の威力と即効力それは、まさに突然やってきた。どうにもならない息苦しさを覚え、向かった先の病院で宣告された病名は「メタボリック・シンドローム」と「糖尿病」だった。太り気味でもまだまだ健康、と過信していたがこのような結果を招くとは……。オレの人生はもうお終いなのか――いやいや諦めるにはまだ早い!ピンチを一発逆転できるこの「理論」を実践してみた。まずはとにかくやってみるそれは、実際に行った自分自身でも、いまだに信じられないぐらい、「劇的な体験」であった。「スーパー糖質制限食」。すなわち、朝、昼、夜の3食とも主食抜きで、おかずを中心に満腹食べ、1日を通して糖質の摂取を徹底的に控える。たったこれだけのことで、2年前、糖尿病で典型的なメタボおやじだった私は、約3週間で20kg近いダイエットに成功し、糖尿病数値からもほどなく脱出できた。それに伴って、身体の健康のみならず、自分を取り巻く人間関係を含め、すべての状況が好転した。好評を博した前著『おやじダイエット部の奇跡』(マガジンハウス)の中でも、私と私を取り巻く男たちが糖質制限食の実践により、劇的に変化する様子を描いたが、それはまさに「奇跡」と言える出来事だった。一言で言えば、男たちは皆、「幸福」になれたのだ。そして、糖質制限食をキープしている限り、仲間たちは2年後の現在もその「幸福」な状態を続けている。この「糖質制限」ダイエット。既に多くの方々が実践し、結果を出しているが、その効果たるや、まさに凄まじいものがある。メカニズムは簡単だ。糖質を多く含む食べものを摂ると、血液中に増えたブドウ糖(血糖)を筋肉細胞に取り込ませるため、インスリンというホルモンが大量に出される。筋肉に取り込まれたブドウ糖は細胞内でエネルギー源として使われ、グリコーゲンとして蓄えられる。ところが、この一連のプロセスで利用されずに余った血糖は、中性脂肪として脂肪組織に溜め込まれてしまう。だから糖質を摂取すると、男たちはブクブクと太っていくのである。ならば、「糖質」を食事で摂らなければいい。もしくは制限する。すると、男が太るのと反対のメカニズムが働くため、今度は急激に瘦せていく。これは、糖質を摂らないと、身体に蓄積された脂肪を燃やすことで、エネルギーにするためだ。糖質さえ摂らずに、肉、魚、豆腐類なら、食べても食べても瘦せていくのである。、59歳。職業は、作家、ジャーナリスト。2年前、スーパー糖質制限食を始める前、私の身体は、身長167・8cmで体重87kg。BMI値は28を軽く超え、長年「病的肥満」の状態にあった。しかし、当の本人に全くその自覚がなく、「子供の頃から元々、太り気味だったから、瘦せられないのは仕方がない」というぐらいにしか考えていなかった。これは、今思うとまさに「病的」な状態であり、自分が極めて危険な状況にあることを全く無視していたのだ。それどころか、日々締め切りに追われる「文筆家稼業」をいいことに、「メタボ健診」や「血液検査」の類も全く受けていなかった。それまで風邪をひくぐらいで、大した病気もせず、どちらかと言えば健康そのものの身体だったため、「まだまだいける」とタカをくくっていたのである。そこに、2年前の夏。「神様がくれたサイン」が突然、目の前に現れてきた。「メタボリック・シンドローム」と「2型糖尿病」の発覚である。5月のゴールデン・ウィーク前にひいた風邪がなかなか治らず、症状が次第にひどくなって、やがて食べたものもセキをした際、戻すようになった。そのうち、息が苦しくなり、寝てもいられない。さすがに鈍感な私も「これはマズい」と思うようになり、パートナーのが探してくれた近所の開業医に渋々行くことにした。そこで、糖尿病とその合併症と診断されたのである。この間の顚末は、『おやじダイエット部の奇跡』に詳しいが、ここで私は生まれて初めて、自分の「人生」がもう長くないかもしれないと思った。自分がなってしまった「糖尿病」とは、果たしてどんな病気か。病院の待合室に置いてあった症状を説明した医療パンフレットを帰る道すがら読み、その恐ろしさを実感した。曰く、糖尿病は一度なったら、もう治らない。放っておくと、次第に悪化し、手足のしびれ、目の網膜症などを併発し、やがて心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすとある。当時、私も足の裏がしもやけになったような症状があり、やがて寝ていると足がつるようになっていた。こうした「初期のサイン」を、当時の私は全く見落とし、歳のせいにして放っておいたのだ。しかも、その「不安」から逃れるように、あえて仕事に忙しく取り組み、次々と仕事を取りに行っては、雑誌を中心にレポート記事を書いていた。しかし、一つだけ自慢できることがあるとしたら、それは当時まだ、提唱者の京都・高雄病院理事長の医師や、作家の宮本輝氏など、ホンの一部の方々しか実践していなかった「糖質制限食」を、糖尿病と診断されたその日から、直ちに実行したことである。人間の身体は、まさしく生き物。当時、メタボリック・シンドロームで、糖尿病だった私の身体も、糖尿病の「負のスパイラル」に落ち込み、さらに悪化しそうな状態だった。こういう場合、まずは「電光石火」で、劇的な効果をあげる手を打つ。これが「スーパー糖質制限食」との出逢いであった。まずは、とにかくやってみて「結果」を出す。その後、様々なおやじたちに糖質制限食の効果を説き、その実践を勧めたが、実際に成功した人には、皆、共通項がある。それは、私から「糖質制限」の効果を聞いたその日から即座に実行していることだ。つまり、迷わずすぐ始める。そして結果をすぐ出す。「健康」になってこれを維持する。つまり「男は黙って糖質制限」を実行しているのだ。そして、最低10日間は1日3食の食事から糖質を抜く。四の五の言わず、「白いご飯が食べたい」とか「元々、麵食いで」という理屈はつけず、とにかく実践してみる。すると、自分でも「アレ!?」と毎朝、体重計に乗るたびに、1~2kgは減っていく。私の場合も、スーパー糖質制限食は、本を読んだその日から即実行した。その結果、わずか3週間で20kg減量し、106cmあったウエストも22cm縮んで、84cmになった。糖質制限は迷えば迷うほど実行しにくくなる。自分でやると決めたら即、始めることである。3週間後の変身を楽しみによくセミナーなどで質問を受けるのは、「糖質制限食を始めたのですが、ちっとも瘦せません」というものである。これに対する答えは簡単だ。その人は、制限しているつもりでも、まだ、どこかで糖質を多く含む食物を摂ってしまっている。つまり、始めたようで、始めていないのだ。だから効果が出ない。糖質制限食は、やる以上、徹底してやる。それが望ましい。キッチリとやれば、必ず目覚ましい効果が出る。キチンとやらない人は、それだけの結果しか出ない。実に簡単なことだ。次に多い質問は、「厳しくないですか?」とか、「ご飯や麵類を食べないというのは、辛いでしょうね」というものだ。これに対しては『おやじダイエット部の奇跡』で紹介した仲間たちが口々に言っている。「考えてやるより、やってみると意外に簡単ですよ」。まさしく、その通り。実際に正しいルールに則って実践してみれば、すぐ結果が出る。多くの人の場合、3週間もスーパー糖質制限を続ければ、まず10kgは瘦せる。私のように「スーパー糖質制限」がライフスタイルにはまれば、軽く20kg減は行くだろう。そして、自分のベストに近い体重で、ある日、ピタリと止まり、それ以上増えも減りもしない。私の場合、67kgだった。糖質制限食を始めた当初は、87kgもあったが毎日、余りにダイナミックに体重が減っていくので不安になり、血糖値を上げない果物の果糖を意識的に摂って、体重を少し増やしたほどである。そこから再び、意を決して始めると、また落ちだして、ある日ピタッと止まった。医師の提唱するスーパー糖質制限食は、ルールを守って理論通りキッチリとやれば、極めて短期間で必ず結果が出る。それは、後に触れるように、身体のメカニズムを考えれば、至極当然のことなのだ。糖質を摂らない食事を続けていると、当然のことながら、血糖値も上がらず、糖尿病の診断基準の一つであるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)もグングン下がってくる。HbA1cは、過去2ヵ月間の血糖値の平均値だ。下がるのにある程度、時間を要するが、私の場合、糖尿病発覚時に9・4(コントロール優は5・8未満)あったHbA1cが、5・1に減少した。肝機能を示すγ‐GTP(ガンマ・ジーティーピー)も113(基準値は10~50)から18に下がっている。血圧も当時、最高が184mmHg、最低が110mmHgあり、危険な状態だったが、今では薬も飲まずに最高が130mmHg前後、最低が74mmHg前後に落ち着いた。こうした「結果」が出てくると、病院での検査が愉しみになる。私は、2週間ごとに通う病院での検査結果が愉しみになり、最初の3ヵ月間はとにかく徹底して「スーパー糖質制限食」を続けた。その結果、自分でも驚くほどスリムに瘦せ、しかも軽々と動く「肉体」を手に入れた。変わったのは「肉体」だけではない。「心」と「精神」もである。これもよく質問などで答えるのだが「スーパー糖質制限食」を始める前の私は、「太ったブタ」の状態であった。つまり、目の前に出されたものを食欲にまかせて、ガツガツ食べる。そして大した運動もしない。その結果として、当然のことながらデップリと太っていた。今、考えると動きも緩慢になり、締め切りが終わるといつも寝ていた。そして、食の取材も多かったので、自分の好みの食事やサービスを「美食」と錯覚してダラダラと食べ続けていた。今は違う。自分で言うのも何だが、「高貴なライオン」に変身した。ライオンは、満腹時には、目の前をガゼルが通り過ぎても見向きもしない。その代わり、本当の空腹時になると、突如、獲物を必死に追いかけて仕留める。だが、それ以外は、食欲に惑わされることなく、百獣の王としての高貴さと、本当に食べたいものしか食べないという美徳を貫いている。まさに「高貴な野性」である。私は、「スーパー糖質制限食」の実践で、デブの自分に眠っていた野性を取り戻し、太ったブタから高貴なライオンに変身したのだ。実はこの「太ったブタから高貴なライオン」への変身は、医学的にも裏付けられている。糖質制限食を始めると、あまりお腹が空かなくなる。ご飯や麵類を食べられないやせ我慢からではない。本当に「お腹が空かなくなる」のだ。何故か。それは、糖質を大量摂取することで、血糖値が急上昇するとインスリンが大量に分泌される。インスリンの分泌には、基礎分泌と追加分泌があり、食事で糖質を摂ると血液中の血糖値を下げるために、追加分泌のインスリンがドッと分泌される。この際、血糖値がいったん上昇した後で、次にグッと下がる時にヒトは空腹感を覚えるのだ。飲んで夜中にシメのラーメンやうどんをすすった時、「さっき食べたばかりなのに、もうお腹が空いてしまった」とか、昼食に握り飯を食べて、腹持ちをよくしたはずなのに、「小腹が空いてたまらない」という状況に陥ったことはないだろうか。その結果、多くの方々は食事と食事との間に、間食を繰り返したり、空腹感を覚えぬようにドカ食いする。こうして、ただでさえ、糖質を摂り過ぎているのに、更に大量に摂ることでますます空腹感を招くという「糖質の悪循環」に陥っていくのだ。これが「太ったブタ」の正体であり、原因だった。こうハッキリ書いても、なかなか「糖質制限食」を始めない方もいる。私は、いろいろな人に糖質制限食の説明をしているうちにその「理由」が分かってきた。「世間の常識」である。一般的に、人類の三大栄養素と言われる、「炭水化物:タンパク質:脂質」の割合は、「6:2:2」がいいと言われている。だがこれは、入院患者の治療を要する特殊なメニューではない食事、すなわち「常食」を調べ、それをもとに決められたものなのだ。だが「皆が食べている」食事が、必ずしも健康によいとは限らない。その証拠に、「皆が食べている糖質の多い食事」を食べた結果、「糖尿病2000万人時代」などと言われ、おやじのみならず若者や女性にも糖尿病患者が増える結果となってしまっている。これはどう考えたらいいのか。「食の常識」がどこか間違ってしまっているのではないか。糖質制限食を提唱している医師は面白いことを言っている。「沢山、ご飯を食べていいのは大工のような仕事をする人」であるという。大工さんたちは、自分で柱をかついで運搬し、汗水たらしてカンナで木材を削る。つまり昔ながらの大工仕事である。こうした肉体を激しく動かす職業の人は、ご飯を食べて糖質を沢山摂取しても、インスリンに頼らずに筋肉が血糖を取り込んでくれる。ところが、現代人のしかもビジネスマンの多くは、デスクのパソコン画面に向かう事務作業が中心。そのため、どうしても運動不足となり、エアコンの普及などで消費するエネルギー量も減っている。なのに、従来の日本人のように、糖質量の多い炭水化物中心の食事を「皆が食べている」からといって食べ続けていいのだろうか。その結果、私のように糖尿病になってしまっても、誰も責任を取ってはくれない。このことに、私は自分が糖尿病になってから初めて気づいたのだ。そして「自分で治さない」限り、誰も治してくれないことも知った。「健康リテラシー」を家族で学ぶしかし、そこから脱出するにはどうするか。簡単である。「皆が食べている食習慣を止めればいい」のだ。医師は、こうも言っている。「糖尿病は自分の頭で考えて治す病気です」と。つまり、自分自身が正しい健康知識を持ち、医師に命じられるのではなく、自分の頭で考え、自分自身の身体を治そうとこれまでの生活を変えること。これを実践しなければ、糖尿病もメタボリック・シンドロームからも決して脱出することはできない。何故なら、糖尿病やメタボリック・シンドロームは、内因性の病気だからである。「内因性」とは、自分自身の心の中の考え方や行動、習慣が原因となって起こる病気だ。これに対して、ウイルスなどが原因で起こるインフルエンザなどの病気は、「外因性」。すなわち、身体の外部からの原因がきっかけで発症する病気である。この外因性疾患を治すには、外部から体内に入ってきた菌を薬剤で殺せばいい。言うなれば、医者にしか治せない病気である。ところが「内因性」の病気は、医師には治せない。自分が原因だから、自分で考えて治すしかないのだ。すなわちその患者本人の心の中や健康に対する考え方、行動習慣、食習慣などが原因のため、本人自らが自分の身体の「主治医」となって治すしかない。糖尿病治療のため専門病院に入院すれば、その患者の食生活や行動を24時間管理できる。だが、退院してしまえば、後はその患者の自覚次第だ。この場合、患者本人が自らの誤りを正しく理解していれば、退院後も改善に向かうが、それが分からないと二度、三度といわゆる「教育入院」を繰り返し、結局、次第に症状を悪化させていくことになる。つまり、糖尿病やメタボリック・シンドロームを克服できない人は、自分が抱いている「過去の常識」や「これまでの習慣」を変えられない人である。あるいは、理解はしていても、実際に実践する勇気がない人たちすなわち「新しい自分」になるのを恐れている方々だ。これもいわゆる、おやじたちに意外に多い。恥ずかしながらかつての私がそうだった。「糖質制限といっても、白いご飯が食べられないなんて」とか、「シメのラーメンが大好きで」という男たちである。これを愉しむのもいいが、その結果、糖尿病やメタボで苦しむ人生を歩むことになる。これを続けるかどうかの「選択」である。私は迷わず、後者を選んだ。一刻も早く身体を治して、更にいい仕事をしたかった。しかし、これとは逆に、自分の食べたいものを食べ、飲みたいものを飲む人生もあると思う。しかし、その結果の後始末は、自分自身で責任を取らねばならなくなる。かく言う私も、自分が糖尿病とメタボで苦しむまで、健康については全く知識がなかった。そして、食がもたらす健康についても全く無関心であった。他の多くのおやじ同様、皆と同じ食習慣で、食べたいものを食べ、飲みたいものを飲んでいれば、それで歳を取って老化が進んだり、身体を壊したりするのは、ある程度仕方がないと思っていた。だが、若いうちはそれでも無理がきいた。身体の代謝機能で何とか調節していたからだ。あるいは小さな膵臓もまだ元気で働き続けていた。ところが、年齢を重ねると、日常から意識的に健康を維持する努力を続けていないと、まさに坂道を転がるように健康を損なってしまう。「もう、これでゴメンなさい」。糖尿病を発症した時、私には膵臓がこう言っているように聞こえた。だから休ませてやりたくて、健康について徹底的に勉強し、医師にも取材に行った。男たるもの、40代になったら「健康」に対する正しい、最新知識を入手して、日々それを実践しなければならない。それが「健康リテラシー」の修得とその実践だ。悲しいかな日本人の男たちは、子供の頃から全くといっていいほど、それを学んでいない。かく言う私も、その典型的な一人であった。しかし、医学が日進月歩する時代にあっては、インターネットを使って最新の医学情報や医学知識を入手することは誰でも簡単にできる。医学の最新知識や医療の問題点に関する書籍や雑誌記事も山のように出ている。また、医師でなくとも、少なくとも自分自身がかかった病症に対して、患者の側が正しい「健康リテラシー」を持ち、医師と相談しつつ、自らの症状を改善していくという「姿勢」を持つことはできる。これがこれからの「賢いおやじ」の必須条件である。自分が糖尿病とメタボリック・シンドロームに陥ったことを自覚して以来、私は暇さえあれば様々なその道の専門医を訪ねて、現代医学の最新知識を学んだ。その結果、分かってきたことがある。それは、人間という生き物はどうしても歳を取るということだ。すなわち、1年が過ぎれば1年は確実に老化する。この自然の流れを止めることは不可能だ。ただ、老いる速度を遅らせることはできる。あるいは、一定期間同じ状況で健康を維持することもできる。これが、年齢を取ることに抗するという意味で、「抗加齢」(アンチエイジング)という概念だ。人間にとって最も望ましい状態は、身体の臓器や器官がすべて同じ状況で徐々に「老化」していくことだ。どこかの臓器だけ、特別に老化し、その働きが悪化していくと、他の臓器にも負担がかかり、健康が損なわれていく。できれば身体の各部分を全体的に平均して「老化」させる。そのスピードを遅らせることができればなお望ましい。すると、それを行わない他の人々が急速に年齢を重ねていく中で、相対的に自分の「老化」を遅らせることができる。これが他の人からは10歳、20歳の「若返り」に見えるのである。だが、現実には現在の年齢下での「いい状況」をキープしていくのみだ。それでもやらないよりはいい。しかし、それすらもしないと、まさに人生後半、坂道を転がるように健康を害することになる。そうならないよう、日頃から食習慣、運動、医師による治療を心掛けて、自分にとって最も好ましい健康状態をキープしておく。これが「アンチエイジング」の基本理念だ。そのためには、自らが自分の身体の「主治医」となって、自分自身の健康をチェックしておかねばならない。この時、必要なのが「家族」の協力である。「名医」として知られる新赤坂クリニック名誉院長の松木康夫氏は、『医者を選ぶのも寿命のうち』(講談社)の中で、「奥さんこそ最高の主治医である」と書いている。松木医師によれば、主治医は身近なところにいる方がいいという。男性にとって一番身近なところにいるのは奥さんであり、奥さんに勝る主治医はない。奥さんは夫の体の異常について最初に気がつく場所にいるためである。最近顔色が冴えない、好物を作っても前より食べない、ボンヤリとテレビばかり見ている、といったちょっとした異変を女性らしいこまやかさで最初に気付き、気が付かない本人に知らせ、医者とのパイプ役を担うのが奥さんである。「いっしょに暮らし、ふつうの状態をよくつかんでいる奥さんをいちばんの主治医にすることが、長寿の道を歩くことにもつながっていく」と松木氏は書いている。最新の「健康リテラシー」を男性も持つことが重要だと書いたが、この最も身近な主治医である奥さんを含め家族でそうした情報や考え方を共有することが何より大切である。そして、夫の側でも奥さんのちょっとした異変に気付かなければならない。そうしないと夫婦で長寿の道を歩くことはできない。松木医師は、そのためにはまず、男性が自分の体に関心を持ち、自分自身の「主治医」となることを勧める。その上で、同じような関心を奥さんにも向けていけば、お互いに最高の主治医になれるという。こうした協力関係を保つためにも常に新しい健康リテラシーの入手に関心を向け、それを実践していくことが必要だ。奥さんを管理栄養士代わりにしてはいないかもちろん、健康について奥さんの協力を得るといっても、当然、限界もある。やはり、自分で自分の身体の健康管理をある程度、自発的に行わなければ、いくら優しい奥さんだからといって、積極的に協力はしてくれないだろう。これまでの誤った生活習慣を改め、自分の健康維持に必死で取り組む姿を間近で見せてこそ、最も身近にいる家族である奥さんの協力も得られるというものだ。これから取り組む「スーパー糖質制限食」は、患者であるおやじ自身がまず自分で取り組まなければいけない。これが出発点だ。奥さんまかせにした人は必ず失敗し、それを奥さんのせいにしている。自分がやらないのがいけない。私の周囲に集まってきた「おやじダイエット部」のメンバーの中にも、必ずしも家族の積極的な協力が得られない男もいる。しかし、それでも彼は、外食の機会を利用して、徹底的に糖質制限を行い、15kg減のダイエットという結果を出した。そこが立派なのだ。奥さんにだって自分のポリシーがある。たとえ、必要性を理解しても、食習慣というものはそう簡単に変えられない。だから、決して無理強いしてはいけない。家庭でできなければ、自分でコントロール可能な外食時に、糖質制限食に取り組み、結果が出るまでしばらく実行し続ける。男たるもの、それぐらいの根性があってもいいはずだ。反対にやってはいけないことがある。それは、糖質制限食の理論と実践を奥さんまかせにし、自分はただ「結果」のみを得ようという考え方である。つまり、奥さんを「管理栄養士」にして、自分の栄養を管理してもらおうという姿勢である。これは、絶対に無理がくる。やがて「自分で勝手にやりなさい」と言われるのがオチだろう。「糖質制限食」、ことに「スーパー糖質制限食」を長く実践していくには、奥さんの家庭内での協力は欠かせない。その協力を得るには、やはり男性側が自分自身の努力でできる限り「糖質制限食」を実践して、ダイエットや糖尿病数値改善という目に見える結果を出すことだ。すると、愛情があれば女性は必ず協力してくれるはずである。もし協力してくれなかったら、せめて自分自身が糖質制限食を続けることを黙認してもらおう。間違っても、糖質制限食の是非を元に、家庭内で論争してはならない。「おやじダイエット部」のメンバーの一人は、奥さんが糖質制限食に気乗り薄なのを見て、ある日「分かった。俺、こんな面倒なことやらないよ。ダイエットなんて止める」と言い放った。すると、不思議なもので、奥さんが「男が一度やると言ったんでしょう。協力するからキチンとやってみなさいよ」と逆に励ましてくれたのだという。何とも微笑ましい話ではないか。とにかく、日々の食事のこと故、「糖質制限食」には、積極的、非積極的を問わず、奥さんの協力と承認と理解が大前提なのである。それだけ食生活が以前と大きく変わるからである。しかし断っておくが、決して悪い方へではない。必ずいい方にである。「よし、俺はやる」という最初の意思表示を含め、理論の説明、奥さんへの協力依頼など、おやじとしては細心の注意を払って、これを実現しなければならない。なぜなら、実際に「糖質制限食」を実践し、瘦せて見違えるほどスマートになり、健康も自信も取り戻せて、いいことづくめなのは男性の方だからである。その恩恵を知ったら、多少の努力は身を省みず、自ら飛び込んでいかなくてはならない。その勇気を持って糖質制限に挑んだ男たちは、糖質制限食を知った段階ですぐ実行して成功している。その一方で「家内が反対しているので、家では糖質制限食ができません」と諦めの表情を見せているおやじもいる。自分の健康を自分で守るという気概がなく、奥さんまかせにしているのである。こういった方々には、決して無理強いはできないが、旦那さんが健康を害して本当に困るのはむしろ奥さんだと私は言いたい。私の場合、パートナーで文芸評論家のが読書好きで、私が読んだ医師の糖質制限食に関する著書やアンチエイジング関係の書籍を同じように読み、彼女なりの意見や見方で糖質制限食の実践に協力してくれたのが大変に助かった。やはり、糖質制限食、特に1日3食の「スーパー糖質制限食」を行う上で、最も必要なのは、奥さんや家族の協力である。これは「おやじダイエット部」のメンバーも口を揃えて言うことだ。しかし、何度も繰り返すが、やろうと思えばおやじひとりでも、糖質制限はすぐできる。外食ばかりでも、糖質制限は可能なのだ。過去の常識のみにとらわれて、糖質制限食の実践に反対する家族がいるより、むしろ、気ままな独身の方がかえってやりやすく、続けやすい側面も「糖質制限食」にはあるのだ。医師の著作とブログをまず読破する「糖質制限食」の素晴らしい点は、糖尿病患者で実践した人のほとんどが、劇的に数値を改善することだ。ダイエット目的の方々にも、満腹感を得ながら、極めて効果的かつ短期間に減量できる。それもやり方さえ間違えなければ極めて簡単にである。糖質制限食を摂ると何故、短期間に瘦せることが可能になるのか。糖質制限食の提唱者である医師によると、糖質中心の食事に比べて、次の4つのアドバンテージ(利点)があるからだ。第一に、糖質制限食を続けていると、常に脂肪が燃えている。人間の身体がエネルギーを得ている源は、主に糖質と脂質である。このうち糖質を摂ると、身体はまず使いやすい糖質からエネルギー源として使う。そのため脂質を用いる回路が働きにくくなる。反対に、食事で糖質を制限すると、人体は脂質を燃やしてエネルギーにしようとするため、脂質を用いる回路が働きやすくなる。だから、体脂肪が一日中燃えて、瘦せるのである。第二に、糖質制限食にすると、血糖値が上昇しないため、インスリンがほとんど追加分泌されなくなる。インスリンは別名、肥満ホルモンと呼ばれ、食事で摂った糖質のうち、使わずに余った分は脂肪として蓄えられてしまう。そのため、カロリー過剰となって太ってしまうのだ。糖質制限食では、糖質を摂らないため、インスリンの追加分泌が少なく、体脂肪として蓄えにくい。すなわち、太りにくくなる。これが糖質制限食第二のアドバンテージである。第三に、糖質制限食では脂質、タンパク質だけを食べるため、脂肪をどんどん分解して、ケトン体という脂肪の分解産物が血液中に多くなる。このケトン体、血液中に過剰になると尿中や呼気中にどんどん排出される。ケトン体がエネルギーを含有して排出されるのでやせる理屈だが、この分は少量である。第四に、糖質制限食にすると、空腹時など数時間以上、食事からブドウ糖が供給されないため、肝臓でアミノ酸や中性脂肪の分解物であるグリセロールからブドウ糖が合成される。これを「糖新生」と呼び、ブドウ糖を作る際にもの凄いエネルギーを使う。この結果、瘦せる。糖質を摂らないと、脳にブドウ糖が行き渡らなくなると心配する人も多いが、糖質を摂らなくとも脳がエネルギー不足になることはないのである。人間が太るメカニズムは、その全く反対のメカニズムである。まず、血糖値が上昇すると脂肪を燃やしていた回路が切れ、肥満ホルモンであるインスリンがドッと追加分泌される。追加分泌されたインスリンは、食事から摂った余ったブドウ糖を体脂肪に変える。更に糖質を摂取すると、肝臓も糖新生をせず、そのためのエネルギーも使われない。ケトン体もなくなるので、体外に排出されるカロリーもない。こうして、食事で糖質を摂ると、糖質制限食がもたらす「4つのアドバンテージ」が全く失われるために太る――というのが、医師の「糖質制限食理論」の基本である。「糖質制限食」を実践する前に、まずは、医師の著作を熟読し、その「医学的根拠」と何故、毎日の食事で糖質を制限しなければならないかという「理論」をしっかり頭に叩き込む必要がある。私自身、糖尿病が発覚した際には、氏の著作『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)とその実践編(同)、そして作家・宮本輝氏と医師との対談集『我ら糖尿人、元気なのには理 ワ由がある。』(同)の三部作を枕元に置き、不安と孤独の中、毎日、傍線を引きながら何度も読みケ直した。「糖質制限食」を始める前に、こうして医師の著作を熟読すると、「糖質制限食」についてのこうした基礎理論が頭に入る。もし難しければ、私の著作を読んで頭に入れてから、もう一度、医師の理論を理解するといい。おやじダイエットの体験者には、そういう方も少なくない。また、糖質制限食を実践し始めたら、日々自宅のパソコンを開いて参考にするといいのが、医師のブログ「ドクターの糖尿病徒然日記」だ。糖質制限に関する質問に、医師自らが答えるこの人気ブログは、当初、京都・高雄病院や京都の診療所に来院されて診療した患者さん相手に質問に答えていたものだが、糖質制限食に詳しい医師として、一般のブログ読者にも、参考意見として様々な質問に答えている。ブログには、糖質制限食に関する最近の医療記事や学界での糖尿病治療に関する医師の所見、そして医師本人の日々の食事メニューなどが紹介されていて、糖質制限食を長く続ける人たちには、最良の参考資料になるだろう。医師の理解とエビデンス糖質制限食は、このようにそれをキッチリと行う人には劇的な効果をもたらすが、開始直後から効果が出るために、始める前、以下の方々には、注意が必要である。1経口血糖降下剤の内服やインスリン注射をしている人は、低血糖を起こす可能性があるので、必ず主治医に相談して行って欲しい。2腎障害、活動性膵炎、肝硬変がある人にも糖質制限食は適していないので注意したい。経口血糖降下剤については、私も糖尿病と診断されて以来、毎日服用していた。その直後から、医師の書籍を読んで、糖質制限食を始めたのだが、最初のうちは、経口血糖降下剤も併用していたため、1日のうち午後になると外出先で低血糖を起こし、立ちくらみもして、実に苦しい思いをした。それでも始めた以上はと我慢して、スーパー糖質制限食を止めなかった。実は後になって考えてみるとこの時の判断が結果としては正しかった。スーパー糖質制限食を続けるうちに、血糖値やHbA1c値が下がり、体重もグングン減り、ウエストも驚くほど、減り始めたからである。そこで私は糖尿病の数値がかなり改善したのを確かめてから、経口血糖降下剤を飲むのを止めた。すると、苦しんでいた立ちくらみはピタリと治まった。もう少し早目に、薬を飲むのを止めて、スーパー糖質制限食一本に絞れば、低血糖で苦しむこともなかったろう。だが、その辛さもある意味で長く継続するためのモチベーションとなっている。私がパートナーのと糖質制限食を始めた2年前当時はまだ身の回りに糖質制限食をしている人もわずかであり、まったくやり方も分からなかった。その後、実践を終えて結果を出してから糖質制限食を考える集まりで提唱者の医師にお目にかかったのだが、それ以前は、医師の著作以外、何も頼るものがなかった。その後も医師との個人的なメールのやり取りが唯一の手段となったが、入院患者でもないのに、個人の検査数値を伝えると的確なアドバイスをくださる医師に、何度も励まされた。しかし、現在ではかなり普及してきたダイエット目的のみならともかく、糖尿病の治療をこの「スーパー糖質制限」で行おうとする場合には、まず糖質制限食に理解のある医師を探し、その許で行うべきだろう。もとあるいは、糖質制限食に理解を示す医師が遠方にいるなら、現在かかりつけの医師と連絡を取ってもらい、糖質制限食に対する効果を測定しながら、その有効性を認めてもらうことが大切になる。一方で、厳格な糖質制限に対しては危険だとする意見も少なくない。特に、「糖質制限食」を丸2年続け、3年目に入った私のような長期糖質制限者の身体に、「スーパー糖質制限食」がどのような影響を及ぼすのか。長期的な継続研究結果はまだ出ていない。このような中で、最近よく糖質制限食批判として挙げられるのが、ハーバード大学などのグループが「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」誌に発表した、「炭水化物を制限する食事を長期間続けると、心筋梗塞や脳卒中になる危険性が高まる」という研究論文だ。問題になったハーバード大学の研究グループの論文は、1991年から1992年の間に、スウェーデンの30~49歳の女性4万3396人に対し、食生活を調査、その後、平均16年間にわたって心筋梗塞や脳卒中などの発症を追跡調査して、1270例の発症例を、炭水化物とタンパク質の摂取量によって10段階に分けて分析した結果、炭水化物の摂取量が1段階減り、タンパク質の摂取量が1段階増えるごとに、心筋梗塞や脳卒中の発症が4%ずつ増えたというものだ。特に低炭水化物・高タンパク質のグループでは、そうでないグループに比べて危険度が最大1・6倍高まった、とされる。(2012年7月7日付読売新聞夕刊)これに対して、医師は自身が11年間スーパー糖質制限を実践中で、すべての検査データが基準値、心血管リスクも限りなく低いと反論。自身のブログの中で1「同時期の他の論文でスウェーデン女性の平均摂取カロリーは1999・5kcal/gに対して、この論文では1561kcal/gと異常に低い」こと。2「調査の質問事項が、食べた食物の項目で答えるタイプで、炭水化物(糖質)量など各栄養素の算出方法が明確でない」こと。3「塩分摂取量やBMIで心血管イベントへの影響があることは基本だが、これらの因子の調整が、本研究では充分なされていない」こと。この3点を考慮すれば、この論文の信頼度は低いと反論されている。糖質制限食を長期に続けた結果、どのような発症リスクがあるのか、確かな医学的エビデンス(根拠)がないのは事実である。だが、一方で従来の糖尿病治療に用いられてきた「カロリー制限食」も、実は長期間続けて効果があるというエビデンスがない。要するに、まだ何も分かっていないのだ。その中で、スーパー糖質制限食の持つ素晴らしいダイエット効果と血糖値コントロールの有効性を享受してきた私としては、単なる批判のための批判ではなく、その有効性を確かめるために「糖質制限食」に更なる科学の光を当てて欲しい。そして、もし糖質制限食にリスクがあるとしたら、実践する側はどのような点を考慮して、糖質制限食を続ければいいのか。それを早く明らかにし、安全に行えるよう医師の方々に早く実証研究してもらいたいと思っている。医師は言う。「負傷した傷口を治療するのでも、以前はイソジンを患部に塗る治療が行われていました。ところが現在では、湿潤療法という、患部を水で洗ってラップを貼るだけの方が早く治ることが分かってきています。治療のエビデンスを求めるのも確かに大切だが、それはあくまで過去に行われた治療の後追いでしかない。新しい治療法に関してはエビデンスはないので、まず患者自身が自分の頭で考えて実践し、自分で治していくことが必要です。現行のガイドラインでは、糖尿病が治らない以上、自分の力で体験的に治していくしかないのです」と。つまり、現在までのところ、糖尿病治療は自分で治した者勝ち、ダイエットも瘦せた者勝ちなのだ。私をはじめ、せっかく明らかな効果が出ているのに、それを実践せず、医学界の常識や過去の論文に縛られ、せっかく効果のある治療法を実行しない手はない。だが、残念なことにその「入口」で「立ち止まってしまっている患者」の何と多いことか。医師の書籍やブログを読み、糖質制限食について、詳しい知識と情報を手にしたなら、自分が続けていく「スーパー糖質制限食」の効果にも、充分自信を持って取り組めるはずである。事実、おやじダイエット部の面々は皆、そうして自分の頭で考え、自分で判断して、自分で糖質制限を行い、自分でその成果を手にしている。もちろん、そこには家族の協力もある。だが、まずは自分が糖質制限食についてその理論を徹底的に学ぶことである。メタボも糖尿病も、まさに医者の力ではなく、患者自身が自分の実行力と判断力で治し、そして完治しなくとも逃げ切れるものなのだ。もし、エビデンスがなくても、それまでは、医師同様、私自身も徹底的に自分の身体でその効果を検証していく覚悟である。

 

スーパー糖質制限ダイエットを長期間続ける生活

「スーパー糖質制限食」は、実践するのが大変そう。しかし、いざやってみると経験者は意外に簡単だという。そのコツは「自分の流儀」を確立すればよいのだ、と。これから糖質制限を始めようという初心者に学んで欲しいキーワードは「自分に合ったスタイルで、愉しく続ける」。達人の実例に学んでみよう。3年目の「完全勝利」宣言「糖質制限食」には、結果が重要である。いくら「よい習慣」でも、ダラダラやって「結果」を出さなければ意味がない。ちょうどこの本を書き上げる頃、定期的に検診している血液検査の最新結果が出た。結果はパーフェクトだった。HbA1cは、新しく導入された国際標準(NGSP値)で、5・5(コントロール優は6・2未満)、従来の国内標準(JDS値)で5・1(同5・8未満)。肝機能を示すγ‐GTPは、更に下がって16(同50以下)である。空腹時血糖値は97で、医者も驚いた。中性脂肪も108(同150未満)。「やった」という達成感があったのは、それまで唯一悪い数値が残っていた総コレステロールとHDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールの数値だった。ところが今回は、総コレステロールが211mg/(同40以上)、LDLコレステロールが135mg/(同140未満)と――すべて見事に基準値内に収まってしまったのだ。既に総コレステロールは、基準値をクリアしているから問題ないとして、善玉のHDLコレステロールが増え、悪玉のLDLコレステロールが減り、結果的には、生活習慣病のリスク要因の1つである高脂血症も治ってしまったのだ。血圧も薬を飲まずに、最高血圧が125~130mmHg、最低血圧が75mmHg前後と落ち着いている。体重も87kgから67kgに最初の3週間で減量した後、2kg前後のプラスマイナスでそれをキープできている。こうして、2年半前の私を苦しめた、糖尿病、高血圧、高脂血症、メタボリック・シンドロームという、いわゆる「死の四重奏」から、数値上はようやく脱出できたことになる。その間、運動はウォーキングを行うぐらいで、特にやっていない。やったのは、ただ「糖質制限食」、それも基本的には「スーパー糖質制限食」のみだ。私としては、効果を出す順番が正しかったのも、成功の秘訣だと思っている。まず「スーパー糖質制限食」の実践による、3週間で20kg減の短期集中ダイエットである。この最初のダイエットの成功が、私に「やれるぞ」という自信をもたらした。次にスーパー糖質制限食をそのまま続けていくうちに、HbA1cが次第に下がり、最悪期の9・4から約半年で基準値内の5・1に下がった。(同130~219)、HDLコレステロールが60mg/糖質を摂っていない分、空腹時血糖値も最悪期の215から、3ヵ月で124に下がった。以来、血糖降下剤も全く飲まずに97~110前後を維持している。最後までリスク要因として残ったのが、悪玉コレステロールの数値で、これを減少させるのに一番時間がかかった。その間、糖質制限食を続けていると、どうしても高タンパク、高カロリー食となるため、この高脂血症の数値が最後まで改善されなかったのだ。糖質制限食だけでは、高脂血症の数値改善に確信が持てなかったので、ウォーキングを取り入れたり、医師の処方でコレステロールを下げるスタチン系の薬を飲んでいた。しかし、期待しているほどには下がらない。それどころか、今年の春頃から両肩の筋肉が痛くなった。そこで、コレステロールについての医学書を数冊読んでみると、スタチン系の薬には筋肉を溶かす副作用があるというので、医師に相談して服用を止め、ゼチーアという副作用の少ない腸管からのコレステロール吸収を抑える薬に切り替えた。だが、コレステロール関連の数値はなかなか改善しなかった。いったいどうしてだろうと、私は自分の食生活をもう一度考え直してみた。その結果、1つの結論に達した。ハムとチーズの食べ過ぎである。糖質制限食では、ハムもチーズも糖質が少ない食事としてOKだが、いくら食べてもいいと言っても量には限度がある。私は、今年の春、残った高脂血症だけを何とか改善しようと、更なる「スーパー糖質制限食」に挑んだ。パートナーのが実家に戻って1人で原稿を書く時間が多くなったので、肉食の他にハム、チーズなどをオヤツ替わりに食べる時期もあった。高脂血症の原因は、考えられるとしたらそこしかない。「よし、やってみよう」と、私は1ヵ月前からハムを食べるのを止め、チーズも減らした。すると、効果がてきめんに現れたのだ。これも「スーパー糖質制限食」の徹底した実践で、他の数値を健康な状態に保てていたから、改善目標が絞りやすかったのだ。そして、事実、最後に私は高脂血症も改善できた。まさに糖質制限食を2年間続けたことによる「完全勝利」だった。大切なのは「自分探し」とカスタマイズだが、油断は禁物である。これからも加齢というハードルが否応なく加わってくるため、現在の健康数値をずっと維持できるよう、引き続き糖質制限食を、スーパー糖質制限食を基本として愉しみながら続けなければならない。特に、動脈硬化が進まぬよう、長年の糖尿病で傷ついた血管を保全し続けなければならない。だが、すべての検査結果が基準値内に収まったということは、それを実現した現在の生活習慣をそのまま継続すればいいということである。すなわち、定期的な検査を続けつつ、健康を維持する「いい習慣」を続ける。これが、これから紹介していく「7つの習慣」を継続させる大事なポイントとなる。一口に「生活習慣病」の改善というが、一つ一つの小さな「改善」と「成功」を積み重ね、それをハイブリッドに組み合わせてこそ、初めて効果が上がる。すると「生き方」そのものも変わるし、「真に健康的なライフスタイル」とはこういうものかと、自分でイメージを実感できるようになるのである。「生き方」が決まれば、後は楽なものだ。それを実行すればいいだけの話である。そのモチベーションとなるのが、最初に成功した「糖質制限ダイエット」だ。私の場合、これをわずか3週間で20kg減という減量で実現したため、自分でも更に改善を積み重ねようとヤル気になったのである。野球の場合でも、立ち上がりの初回に三者凡退に打ち取れれば、パーフェクト(完全試合)達成への夢が生まれる。医師の提唱する「糖質制限食」の何より素晴らしいところは、まずこの短期間での劇的ダイエット効果である。糖尿病の場合は、糖質制限食に理解のある医師とコミュニケーションを取りつつ、理論に従ってキチンと行う。すると必ず「成果」が出る。それが糖質制限のいいところだ。実はそこから、食に関する「自分探し」の旅が始まる。糖質制限食は、長く続ければ続けるほど、新たな改善を積み重ねていかなければならない。その時、最も重要なのは「強制」ではなく「理性」、「我慢」ではなく「自主性」である。私の場合も、最初は提唱者であり、既に11年間、糖質制限食を続けている医師に学び、そのスタイルを守って、糖質制限ダイエットと糖尿病のコントロールを成功させた。しかし、それを長く続けていくには、やはり自分流に「カスタマイズ」していかねばならない。この場合もあくまで「検査結果」で数値を把握し、効果を確かめる。そうして、いい結果が出たら取り入れ、悪い結果が出たら却下する。人間には、それぞれ個体差がある。両親の健康因子を受け継いだ肉体は、一人ひとりが異なる。その時、自分の身体はどういう反応をするのか、自分で確かめてみることが大切だ。「おやじダイエット部」のメンバーである医師は、甘いものが大好きだった。もちろん、甘いものは糖質を多く含んでおり、NGである。しかし、かと言ってすべて甘味を制限する我慢にも限界があった。そこで医師はこう考えたという。「甘いものと一口に言うが、自分はいったい何に一番弱いのか。考えてみたら、シュークリームだと気付いた。だが、アンコなら止める自信はある。では、とりあえずアンコ系は制限しよう。だが、シュークリームは時々、制限をゆるめて食べたい」これが食の「自分探しの旅」である。料理を作る際、糖質を測定する大まかな目安はあっても、トマト1つを取っても個体差や品種によって糖質量も異なる。糖質制限食の場合、従来の面倒なカロリー制限とは異なり、あまり難しくないのが利点だから、その長所を活かして、できる限りシンプルに取り組みたい。その場合、重要になってくるのが、自分の判断である。最初に厳しく制限して、ダイエットを達成した後は、キープすることを主体に考え、長期継続する。この時、自分の大まかな判断で取り組み、後は血液検査などの結果を見て、何がよかったか、悪かったかを判断すればいい。簡易血糖測定器で、食べた後、食品ごとに血糖値を測ってみるのも最初のうちはいい方法である。そうして、糖質が高くてNGと言われているけれども、血糖値が上がらなかったので、自分の家ではセーフという「自主判断基準」をどんどん作っていけばいいのだ。先の医師のように「甘いもの」はすべてダメと言われても、すべてを禁ずるのではなく、最も制限しやすいものから制限していくのもいい方法だ。そのうち、止められないシュークリームも月3回を1回に減らすなどして、次第に制限していく。私の場合、例外を認めるとすべてゆるんでしまいそうなので、こうしたゆるい方法は取らないが、それでも制限しないよりはいい。ただし、糖質制限食というのは、非常に厳密な結果をもたらすので、数値の改善ペースは遅れるかもしれない。だが、医師の基本パターンを守りつつ、ある程度は「自分流」にカスタマイズしていくことも、糖質制限食を長続きさせていくためには非常に重要なことなのである。やりやすかった式スーパー糖質制限では最も厳しい「スーパー糖質制限食」を長期間続けるコツをどう考え出すか。簡単だ。「こうすれば、自分が一番やりやすい」という「模範」「先例」「師匠」を見つければいいのである。私の場合、糖質制限食の提唱者である、医師の「基本スーパー糖質制限食、時々、まあええやろ」のいわゆる「式糖質制限食」がピタリとはまった。最初は自分でいろいろ工夫したが、長く続けていくうち、結局「式」が最もやりやすく、長続きすることに気づいた。私はクラシック音楽鑑賞が大好きで、パートナーのと共著で『クラシック名曲と恋』(日本放送出版協会)という作曲家の伝記も書いているが、クラシック音楽に限らず、新たな分野を制覇しようと思ったら、まずその分野で「定盤」もしくは「名盤」と評価されるものを徹底的に深く聴き込むことだ。すると、その分野の本質と「名盤」と呼ばれるもののアプローチの仕方が分かる。つまりはリスペクトするわけだが、ただ肯定するのではなく、その「定盤」を作った人がどのような思考でその域に辿り着いたかを検証してみる。するとその分野に関する「本質」や「真実」を見分ける眼が養われてくるのである。「スーパー糖質制限食」を11年間続けて、自身の糖尿病も極めて良好にコントロール、心血管イベントの心配もないという医師の「食生活」とは、果たしてどのようなものか。その点でも、医師の著作やブログ「ドクターの糖尿病徒然日記」に目を通してチェックしておくことは大変参考になる。専門家である医師をまずリスペクトする。すると、そこにはいろいろ面白い生活のノウハウが隠されているのだ。まず、医師の「食生活」である。ブログなどで知る限りでは、朝はインスタントコーヒーに生クリームを少量入れて、1杯である。昼は、例えば糖質制限ドットコムの糖質制限お好み焼き(豚玉)1個(糖質9・3g)や豚肉とレタスとズッキーニの炒め物、となっている。夕方に帰宅後は、小岩井オードブルチーズを3個、ミックスナッツを30個、サントリー・オールフリーを350缶1本。すなわち、「夕方の間食」である。その後、ブログを更新した後でゴーヤチャンプルーなど糖質制限に配慮した夕食と焼酎。別の日は京都市左京区の診療所の外来終了後、右京区の高雄病院に行き、病棟回診。帰宅後、夕食は近所の行きつけの小料理屋で外食する場合もあるし、ある日は、生協で天然の鮪と天然の鰺、海老の海鮮サラダ、だし巻き卵を買い物。更に糖質制限ドットコムの豆腐グラタンソースを豆腐にかけたものとおでんの大根と卵に、具沢山の味噌汁、焼酎の水割り4杯で就寝するとある。医師の最近の食習慣から私が学んだ糖質制限食のコツは、次の3点である。11日2食、朝か昼かはこだわらず流動的に摂る医師は、その著書の中で、朝食を抜けば、1食分の糖質制限を行ったことになるという。元々日本人は江戸中期まで1日2食が普通であった。「長く続ける糖質制限食」の観点から見ても、1日3回、今日はどう糖質を制限しようかなどと考えることは煩わしい。そこで我が家でも、の提案で、朝はコーヒーだけの「1日2食体制」に変えていたが、これが、奇しくも先生と同じ結論に辿り着いた。2「夕方の間食」でひと息昼食を糖質制限した後、夕刻まで仕事をしていると、どうしても小腹が空く。その時、医師も夕刻に、オードブルチーズ、ミックスナッツ、サントリー・オールフリーの「間食3点セット」でしのいでいる。これは私もよくやる方法で、チーズは雪印の6Pチーズになったり、小岩井のオードブルチーズに替えたりするが、飽きのこないプレーンな味の定番ものがよい。ミックスナッツの愛好も同じだ。以前、医師にインタビューした際、「何故ミックスナッツなのか」と尋ねると、「クルミだけとか、アーモンド、カシューナッツもいいが、一種類だけだとどうしても飽きやすくなる。それでミックスナッツ」なのだそうだ。このように、糖質制限の達人は、食べるもの一つ一つにも、キチンと筋が通っている。飲み物も、昼から酒を飲むわけにはいかないから、医師は糖質フリー、アルコールフリー、カロリーフリーの「サントリー・オールフリー」を愛飲しているようだが、やはり我が家でもこれを飲んでいる。昼から酒を飲まずとも、酒を飲んでいるような解放感を味わえ、しかも「血糖値」を上げない。いわば「制限することを愉しむ」、これこそが「達人の極意」である。3ご近所に「行きつけの店」を持つか、「定番のメニュー」を買い揃える次に、いつでも「糖質制限料理」が食べられる「ご近所の行きつけの店」を持つことだ。医師が理事長を務める京都・高雄病院周辺は、洛西の自然に囲まれた静かな山里だが、同病院の周辺には「食堂」とも言える、医師がよく通う小料理店やカフェが点在している。最近では、大豆粉を使ったピザやコンニャク米を使ったパエリア、グルテン粉を中心に独自の製法で練った自家製糖質制限パスタを出す福王子の「カフェ・ハルディン」などによく出没されているようだ。また、糖質制限メニューを出す北山のフランス料理店や和牛焼肉店も「行きつけの店」としている。その一方で「行きつけの店」が満員などで入れない場合、他の通常のレストランで苦労して普通メニューの中で「糖質制限」するより、自ら生協に出向いて買い物をし、新鮮な刺身、海老サラダ、だし巻き卵、おでんの大根と卵、具沢山の味噌汁といった「我が家の定番メニュー」に切り替えている。つまり、一般店で無理に糖質制限せず、「家庭の定番糖質制限料理」に切り替えて、自分の食べたいものを食べる。この「柔軟性」が長続きするコツかもしれない。私もこれに倣って、東京での外食に備えて、「行きつけの糖質制限の店」を次々と開発している。中華料理なら、新橋の糖質制限中華「梅 メイ花」、イタリアンなら六本木・ミッドタウンの名店「ボタニカ」、フファレンチなら恵比寿のミシュラン一ツ星店「エミュ」、フレンチと京料理の味わいを持つ独創的料理なら「レストラン よねむら 銀座店」、酒のツマミが豊富な赤坂の居酒屋「丸しげ夢葉家」――といった糖質制限メニューを持つ店である。東京に週に何度も取材や打ち合わせで出ることが多い。そこで外食先に困らないため、こうした「行きつけの糖質制限の店」を更に、自分の身近な行動範囲の中に広げている。その場合、「行きつけの店」として選ぶポイントは、まず「美味しいこと」。料理の味がよくなくては行く意味がない。次に「リーズナブルであること」、いくら美味しくとも価格が高過ぎては通えなくなる。そして、最も重要なのは「店主やシェフの人柄と料理に対する愛情」だ。糖質制限メニューの開発に熱心で、何事も前向きに新しいことにチャレンジする。そんな料理人やシェフのいる店が「行きつけの糖質制限の店」には相応しい。ふさわそれに加えて、スタッフの対応がよいことも重要である。例えば、ビールをサントリーのオールフリーにしてくれたり、糖質制限食ではOKの赤ワインを勧めるなど、スタッフの一人ひとりが糖質制限料理について知識を持ち、できれば六本木の「ボタニカ」や京都・岩倉の「エヴァンタイユ」のように、シェフやそのスタッフ自らが糖質制限食を体験している店がいい。「味」、「価格」、「店の理解」、この3つが揃うと「行きつけの糖質制限三ツ星レストラン」となる。糖質制限に対する疑問について一方で、こうした「スーパー糖質制限食」をいったい、いつまで続ければいいのかという疑問も湧いてくる。筆者の場合、丸2年で3年目も後半に突入したが、先に触れたような学界での議論やマスコミのネガティブ・キャンペーンもあり、果たして、このまま継続していいのかと不安になる時もある。だが、私のような糖尿病患者の場合は、これからも「スーパー糖質制限食」が原則だ。それは、糖尿病患者の場合、通常人と同じものを食べていても、血糖値の急激な上昇を引き起こすからである。よく知られているように、糖尿病は一度かかったら、現代の医学では治らない恐ろしい病気である。しかも、血糖値コントロールがゆるむと目の網 もう膜 まく症、足の しょう壊 え疽、そ心 しん筋 きん梗 こう塞、そく脳 のう梗 こう塞といった重篤な合併症をそく引き起こす。医師によると、たとえ、血糖値コントロールがうまくいっている患者でも、約3割ぐらいの割合で、心筋梗塞などの心血管イベントや脳梗塞などを引き起こす危険性もある。「スーパー糖質制限食」とは、このように恐ろしい糖尿病の数値を速やかによくする現在唯一の食事療法である。そのメリットを自分の体験で知った身としては、糖尿病と合併症が悪化するぐらいなら、続けられる限り「スーパー糖質制限食」を継続していった方がよいという考え方が成り立つ。本音を言えば、その間に「糖尿病の根本治療薬」でも発明してもらえれば、すぐそちらに切り替える。だが、現在は最も効果の出る方法が「スーパー糖質制限食」しかないのが実情なのである。単にダイエット目的の「糖質制限食」ならば「徹底した短期決戦」がお勧めだ。少なくとも最初の3週間から1ヵ月間、「徹底したスーパー糖質制限食」で、脂質代謝を目覚めさせ、内臓脂肪を中心に体重をグングン落としていけばいい。そして、一定の体重やウエストに減って、増減がなくなったら、夜だけ糖質を制限する「プチ糖質制限食」か、夜に加えて、朝、昼のどちらかを糖質制限する「スタンダード糖質制限食」へと切り替える。その後は、瘦せた身体をキープし続ければいい。一番いけないのは、あれこれ理屈を並べて結局何も実行しないことだ。現実にやって結果が出れば、誰もが「何だ、こんなことだったのか」と驚くぐらい簡単なことである。それが「スーパー糖質制限食」の恐るべき効果なのだ。「糖質制限食の長期化」の危険性について太った身体で議論するぐらい無駄なことはない。まず糖質制限食を実践してメタボ状態から脱出することが先決だ。メタボこそは、まさに「万病のもと」であり、それ自体が「病気」だからだ。そのメタボから「スーパー糖質制限食」で脱出するチャンスが目の前に巡ってきたというのにそれを活かさない。もしくは実践しないというのは、体験者から見れば何とも勿体ない話だ。「長く続けても健康に害はないか」糖質制限食に関する、この根本的な疑問に対する明快な答えはない。というより、まだ長期的研究がされていないからだ。今、わずかに分かっているのは、短期的に確実なダイエット効果があること。そして糖尿病患者にとっては、薬の服用なしに血糖値が下げられ、安定したコントロールが可能になることである。「糖質制限食」に対する批判の多くは、糖質を摂らない食事を続けていることの是非。そして、糖質制限食の結果、肉、魚、卵といった高タンパク、高カロリーの食事になることの危険性についての危惧である。このうち、糖質を摂らない食事の危険性について、私は自分でこう考えている。それは、実際に食事で栄養を摂る場合、糖質ゼロの料理など有り得ないということだ。比較的糖質が少ないとして、糖質制限食で推奨されている肉、魚、葉物野菜にしても、現実には何グラムかの糖質は必ず含まれている。一方で、思いのほか、多くの糖質を多く含んでいる食品もある。例えば、茶碗一杯の精白米ごはんの糖質量は55・2g。ビーフンも1人分で55・3g。食パンも6枚切1枚で26・8g。ゆでうどんは、1玉41・6g、素 そう麵も一束35・1g、中華麵に至っては、1玉62・1g、スパゲテ めんィも1人分55・6gという糖質量がある。従来は「主食」とされていたこうした食材を抜き、その他の糖質の少ない食材、例えば肉、魚、葉物野菜などを使って料理を作り、それを一定期間食すと、既に詳しく解説したような脂質代謝回路にスイッチが入り、体脂肪が燃えやすく、瘦せる身体になる。また、糖質を食物から摂らないと血糖値は上昇しないため、それを下げるインスリンも追加分泌されず、余った糖が脂肪として蓄えられることもない。こうして「糖質制限食」を摂ると、瘦せやすく、太りにくい身体になるため、ほとんど運動らしい運動はしなくても瘦せていく。そして糖尿病の血糖値コントロールも良好になるのだ。このほか、脂肪代謝回路にスイッチが入れられることによって、全身の毛細血管が活性化し、「肌がゆで卵をむいたようにスベスベになった」、「薄くなっていた髪の毛の一本一本が太く、硬くなり、ボリュームが出た」との実例もある。また医師によれば、精製炭水化物や砂糖を沢山摂る食事を続けていると、血糖値が激しく変動して代謝が不安定になり、心理的にもキレやすくなる。ところが、精製炭水化物を制限すると、血糖値の不安定な状況がなくなり、心理的にも安定しやすくなるという。このほか、糖質制限食では結果として不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)を豊富に含んだ魚を数多く食べることになり、これが脳の代謝を安定させ、心理的に安定しやすくなる働きがあるという。一方で、集中力は増し、以前より遥かに早いスピードで原稿が書けるようになった。これも糖質制限食の隠れた効果である。正直言って、まさにいいことづくめなのだ。この「幸福」をより多くの方々にも体験してもらいたいと思って、今、私は糖質制限の原稿執筆に全力を注いでいる毎日である。要するに、医師の本のタイトルにもあるように「主食を抜く」、これが糖質制限の要諦なのである。糖質量の多い主食さえ抜けば、デザート類を除いて、摂取する糖質もタカが知れている。そのメリットを見ないで批判する側は、極端な糖質ゼロを前提にして議論し、せっかくの利点を帳消しにしようとしているように思える。糖質制限食の実態をよく知ってほしいものである。糖質ゼロの危険性とともに、指摘されているのは、糖質制限食が結果として高タンパク質、高脂肪食になることで、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まる点だ。その結果、コレステロールや中性脂肪の高い食品を食べると太る、特に肉や卵、乳製品など動物性脂肪の摂り過ぎはできるだけ控えるべきだ。更にコレステロール値は高いと怖く、特に「悪玉コレステロール」(LDL)はなるべく減らした方がいいといわれている。ところが最新の研究では、心筋梗塞リスクが高まるのは、高血糖や高血圧、肥満ストレス、老化などで血管に持続的な炎症がある時であり、LDLコレステロールの血管修復活動は、この時活発になる。むしろ、コレステロールは炎症防止の役に立っているとも言われている。更にコレステロール値は高い方が死亡率が低くて、長生きとの研究報告もあり、コレステロールに「悪玉」などなく、数値が高くても薬で下げる必要はないという最新の研究報告もある。健康診断の血液検査の項目にかつてあった「総コレステロール(TC)」がなくなり、「LDLコレステロール」、「HDLコレステロール」という項目で測られるようになった。このLDLコレステロール値に対しても、2004年のアメリカの基準値は、薬物医療開始ラインが190mg/で、生活習慣の改善目標値が160mg/以上を「要保健指導」、140mg/以上を「受診勧奨」としている。これが厳し過ぎ、必要以上に「病人」を作っているという議論もあり、コレステロールは人間が生きていく上での必須の物質という専門家もいる。逆に、コレステロールが低すぎるとがんや呼吸器感染症に見舞われやすくなるともいわれている。「『糖質制限食』を長く続けることで、健康に害はないか」という問いには、現在、このような議論があると記しておく。糖質制限を長く継続するには糖質制限食で最も重要なのは、やり方、続け方だ。「糖質制限食」は、日々の細かな食習慣ゆえに、どうしても単独で続けていると「孤独」になる。それとともに、「いつまでこんなことを続けていればいいのか」という思いもフツフツと湧いてくる。これはまさに「悪魔からのささやき」である。この誘惑に耳を傾けてしまったら、再びメタボリック・シンドロームと糖尿病悪化という、負のスパイラルへと果てしなく落ち込んでいくことになる。2年前、糖尿病が発覚し、合併症も引き起こした時、私自身も、この悪夢の淵を高い崖からのぞき込む思いがした。もう二度とあんなところには身を置きたくないというのが心境である。この思いが今もモチベーションを高く持たせている。そして継続できていることの自信も、それを後押ししてくれる。悲しいかな人間は必ず「老化」していく。たとえ以前と同じことを続けていても、一年という月日が流れれとなっているにもかかわらず、日本の特定健診(メタボ健診)では、LDLコレステロール120mg/ばその分「老化」する。しなかったら化け物である。だが、その「老化」が進まぬよう同じ場所で足踏みを続けることはできる。もしくは、より健康な身体を取り戻すために、老化とは逆の方向に向き、それを目指して日々精進することはできる。これが「抗加齢医学」すなわちアンチエイジング・メディスンの考え方だ。アンチエイジングの最先進国アメリカの抗加齢学会では、「病気にならない」、「歳を取らない」、「死なない」の3つを基本概念としている。医療の世界では、かつて病気を治すことが医師の仕事だった。ところが現代では、元気な人がもっと元気になれるよう、クオリティ・オブ・ライフの向上を目的とした医療が重要視されている。すなわち、病気のマイナスを元に戻すだけでなく、より元気なプラスに高めるためのケアやサポートを行うのも医師の大切な仕事になってきている。メタボから短期で脱出でき、しかも糖尿病の血糖値コントロールも極めて良好になる「糖質制限食」は、この意味でも今後極めて重要な意味を持つ画期的な食事療法だといえる。この効果で「メタボ」や「糖尿病」から脱出した男たちが「おやじダイエット部」を組織し、ともに競争し、ある時は励まし合いながら続けていくまでの実話ストーリーを描いたのが前著『おやじダイエット部の奇跡』だった。幸いにして好評を得、現在でも版を重ねているが、この中で師匠格にあたる医師からも、治療に有効な試みだと評価していただいたのが、「ピア・サポート・クラブ」という考え方だ。つまり、同じ病にかかった患者同士がチームを作り、お互いに励まし合い、情報交換しながら、皆で治療を続けていこうという考え方である。だいたい、以上のことを頭に入れてゆっくりと糖質制限食を始めてみよう。極端なスタートではなく、少しずつ、ゆっくりと始め、次第に糖質制限の精度を高めていく。検査でいい結果が出てきたら、それを継続すればいい。我が家では、これを始めて既に2年半以上経った。私は糖尿病患者なので、基本的には、1日3食糖質を徹底的に抜く「スーパー糖質制限食」を続けてきた。良好な状態を長期間キープできているのは、パートナーである文芸評論家のが、ともに医師の著作を始めとする資料を熟読し、本人もBMI値19を維持している自身のダイエット及び「糖質制限食」の「習慣」の賜物である。過去2年半、どのような「スーパー糖質制限ダイエット」を行い、それを継続してきたのか。何も分からず、最初は不安がつきまとった「制限初期」から、目覚ましい「結果」を生み出した「制限中期」。そして糖質制限食を長く、しかも愉しく続けるための様々な工夫と「仲間作り」を行い、糖質制限食の結果に得た「幸福」をともに分かち合う「制限後期」の3期に分けて、習慣化するとよい「7つの習慣」をまとめてみた。無理なく始め、無駄なく進め、愉しく続けていくうちに、できる限り早くまずメタボから脱出する。その上で、敵の本丸である糖尿病治療に取りかかり、高血糖、高脂血症、高血圧という心筋梗塞イベントの「強者」たちを次々と抑えていく。「生活習慣病」の改善と「健康回復」への長い旅は、こうして始まる。それは「糖質制限」という新しい生活習慣を取り入れることで目覚ましく改善するのだ。「糖質制限食」、特に「スーパー糖質制限食」を家庭で、あるいは一人でも長く続けていこうという糖質制限に関心を持つ方々の参考になれば幸いである。

 

糖質制限ダイエットの初期には自分の現在地を知る

第1の習慣 毎日体重を測定、その日の食事内容を記録糖尿病のレッドゾーンから脱出し、いまや「糖質制限の伝道師」となった作家・。メタボ改善と糖尿病治療に立ち向かった彼を陰になり日向になり支えたパートナーで文芸評論家のこそが、病から救ったコーチ役だった。とともに糖尿病について学び、糖質制限のありようを、とともに二年半実践し、知悉したに、すぐに始められて、長く継続できる「糖質制限ライフ」をまとめてもらった。肥満は心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高くなる近年、ダイエットに関心を持つ方々が大変多くなっています。それは、肥満が生活習慣病を引き起こす重大な原因にもなるからです。誰しも、大病をせず健康で長寿を保つことが望ましいのは言うまでもありません。しかし、長年の食生活、ライフスタイルの違いによって、同じ年齢でも若々しく健康である人と、病気がちで老化が身体の至るところで進行している方があります。年々、年齢を重ねていくということは避けがたい現実ですが、物理的な実年齢よりも、肉体年齢、脳年齢、血管年齢等が少しでも若い状態を保持するために、健康管理と食生活のコントロールに留意しなければなりません。長年寝たきりの病床生活であったり、常に入退院を繰り返す、また手術を何度も受ける病人の苦痛、看護を続ける立場の方々の大変さ、更に長期間の大病には莫大な医療費がかかってきます。激しい苦痛の中で、生きていたくないと訴えるご病人もいらっしゃると耳にするたびに、重病に見舞われることの残酷さを、改めて痛感せざるを得ません。そうした重病を発症しないためにも、日常の健康チェック、特に健康維持の根本である食生活の大切さを、よく認識していただきたいと思います。中高年男性の2人に1人、女性では5人に1人が肥満、またはそれに近い状態だと言われています。中高年の男女の場合、ウエスト及びお腹回りに、たっぷりと皮下脂肪のついている方々がしばしば見受けられます。ウエストと腰回りがキュッと引き締まり、筋肉質の健康的な体型が理想なのですが、中高年女性では、上半身が普通サイズであっても、ウエストと腰回りのサイズが大きいといった方々が多数いらっしゃいます。肥満は、ただ太っているだけで病気ではないというのが一般的な認識ですが、「肥満自体が大変怖い病気」であると、大阪大学大学院医学系研究科の森下竜一教授は指摘されます。肥満の方々の中では高血圧、高脂血症(脂質異常症)、高血糖による糖尿病、中性脂肪の数値が高い、といった症状が出てきます。血液中に中性脂肪が停滞すると、体内に溜め込まれ、ますます肥満が進んでゆきます。高体重の場合、心臓に大きな負担がかかり、心臓肥大となる人も多く、心筋梗塞にもかかりやすくなると言われています。肥満によって生活習慣病を引き起こすリスクは高くなり、肥満は決して軽く考えてはいけない状態だと言えるでしょう。生活習慣病の原因となる、メタボリック・シンドロームに関しても、よくチェックしておかなくてはなりません。現在、メタボリック(内臓脂肪型)症候群の方々は、40歳から74歳の年齢層だけでも、予備軍を含めて2010万人と言われます。年齢層を広げれば、さらにその数は増加するでしょう。ウエストの周囲が男性で85cm以上、女性は90cm以上。空腹時血糖値110mg/以上。中性脂肪150mg/未満。最大血圧130mmHg、最小血圧85mmHg以上。このうち2つ以上が該当すれば、メタボリック症候群と診断されます。肥満は「肥満症」という病気である「お腹がポコッと出ている中高年は、内臓脂肪が溜まっている。内臓脂肪とは腸の周りについた脂肪のことで、肥満症という病気です。肥満症の人は心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが、30倍も高い」と警告しておられるのが、京都市立病院糖尿病代謝内科部長の吉田俊秀医師です。肥満症の治療を手がけられ、早死にしないためには、無駄な脂肪を減らすことを勧めておられます。肥満症であるということは、心臓肥大、心筋梗塞、心不全、脳梗塞、脳出血、糖尿病、腎不全といった病気を発症するリスクが高くなります。脂肪を減らし、肥満を解消するのは、現在のみならず5年後、10年後を健康に生きるための重要な条件と言えるでしょう。ダイエットというのは、見た目がカッコよくなるとか、スタンダードなサイズの洋服が着られるようになるということよりも、健康で長生きするために、肥満症を治すという重大な目的があるのです。体重の減量は、自覚的な強い意志と、ヤル気がなければ長続きしないとも言われます。食べたいものを制限するよりも、太ったままでもいいという方は、今一度、肥満症という病気の抱えるリスクについて、よく理解しておかなくてはなりません。前述の吉田医師が考案されたのが、「食前キャベツダイエット」です。夕食の前に、生キャベツ1個の6分の1を6cm角のザク切りにし、よく嚙んで食べます。これを10分間続けることで満腹感が得られるため、食事の量が少なくなり、瘦せる食習慣が身に付くと、吉田医師は言っています。キャベツを食べてから、ご飯をカットして主菜と副菜だけにすることで減量するのです。これも有効なのですが、毎夕食の前にキャベツを食べ続けるのは、長期間になると少々飽きてくるかもしれません。そして、私がお勧めするのは、後述する、楽に続けることの可能な「野菜ダイエット」「お豆腐ダイエット」等=「糖質制限ダイエット」の方法です。ダイエットを成功させる基本的ルール以上。善玉コレステロール(HDL)40mg/過去に様々なダイエットにチャレンジをし、そのすべてに失敗した方々のお話をよく聞きます。最初は5~6kg減量できても、続かなくなり、リバウンドで10kg、15kg太ってしまう結果に終わった方も沢山おられます。ゆで卵ダイエット、昆布ダイエット、リンゴダイエット、ステーキダイエット等の単品ダイエットです。毎日、同じ食品ばかり食べ続けるというのは、かなり苦痛でもあり、ついにはその食品を見るのも嫌になるというのもよく理解できます。また、瘦せ薬を飲んで急激な減量をするというのは、下剤を飲むのですから、体力が低下し、健康のためにもよくありません。低カロリーの食品を購入したり、瘦身指導を行うエステの美容サロン、施術院などは高額な費用がかかります。これも中断すれば必ずリバウンドが起こります。無理なダイエット、過激なダイエット、そして高額な費用のかかるダイエットは、長続きせず、結局は挫折してしまうことになるのでしょう。体重は自分でコントロールできる「体重は自分でコントロールできる」ものです。それを忘れず自分でできるダイエットの方法を、挫折することなく、長く続けてください。自分にはダイエットは不可能だと諦めてしまわずに、粘り強く継続することが大切です。その実行力が必ずよい結果をもたらしてくれます。減量に成功した後の、健康な身体を取り戻した、カッコイイ自分自身をイメージしてください。「痩せよう」という意識を常に持つこと。そして毎日体重を量り記録しましょう。日々の食事内容に気配りをし、無意識に好きなものを好きなだけ食べる、また、好きなお酒を大量に飲むという、食生活を見直す時が、今まさにきているわけですから。現代は飽食の時代と言われますが、健康に明らかによくない食品、お料理等が巷には大量に溢れています。これらの食べ物を常食していると、今後ますます肥満による生活習慣病は増え続けてゆくでしょう。近年では、小学生の中にも血糖値の高い糖尿病の児童が見受けられるのです。肥満は、糖質の高い食品の食べ過ぎ、糖分の多い飲料の飲み過ぎが、最大の原因であり、「糖質過多の食事は万病のもと」と京都・高雄病院理事長、医師も警告していらっしゃいます。糖質の高い飲料、食べ物の過剰摂取が肥満及び糖尿病の原因になっているのはいうまでもありません。毎日体重を測定、その日の食事内容を記録いつの間にか体重が増えてしまった、という方は意外に沢山おられます。それは、毎日体重をチェックしていないからです。以前着ていたスーツが着られなくなり、穿いていたズボンやスカートが穿けなくて、どんどん大きなサイズのものに買い替えながら、現在の自分の体重が何キロになっているのか、正確に把握していない方がかなり多いようです。肥満を気にしながらも、実際に自分の体重の多さを見たくない、知るのが怖いといった心理が働くのでしょう。ダイエットを成功させるためには、毎日、体重を測定し、それをノートに記録することを習慣にしましょう。そして、一日に摂取した食事の内容、飲料、間食等、すべてを同じノートに記入しておくことです。これは各自の食生活を客観的に見直す契機となります。思っていたよりも、かなり多量に食物、飲料を摂っていることに気付かれる方も多いのではないでしょうか。主食、主菜、副菜、間食、飲料と分けて記入しましょう。日記や金銭出納帳を毎日つけていらっしゃる方は、その時点で必ず記録されるようお勧めします。ご自身の健康を維持するのに、よりよい食習慣に改善してゆくための、まず最初に始めたいメソッドです。現在の自分の状態を知ることの大切さ体重計は、デジタル表示のものを用意しましょう。現在の体重が何キロ何百グラムであるのかを、目盛りタイプの体重計よりも正確に知ることができるからです。体重計はカーペットの敷かれている場所より、板の間に置く方が正しく表示されます。朝起床してトイレをすませたら、パジャマのまま、または肌着のまま素足で体重を量りましょう。洋服に着替えた後では、衣服の重さが加わるからです。また、夏と冬では衣服の重さが大きく変化します。毎朝測定した体重は、必ずノートに記録しておきましょう。前日よりも今朝の体重が300gでも500gでも減っていれば、それが楽しみとなり、減量を続けることができます。「量るだけダイエット」、「朝晩ダイエット」という減量方法があるくらい、毎日の体重を量るのは、常に自分の体重の増減を意識するようになる、非常に大切な基本的習慣と言えます。「朝晩ダイエット」とは、朝起床した時と就寝の前に体重を量る方法です。朝、昼、夕と食事を摂り、間食をしたり、飲料を飲んだりすることで、夜の体重は朝よりも増えているはずです。前日の夜の体重よりも今朝の体重が減っているのは、眠っている間も、体は生命を維持するために、エネルギーを消費しているからです。夜、眠っている間は食べ物を摂らず、しかも基礎代謝は行われていますから、朝の体重は前夜よりも減少するのです。「朝晩ダイエット」の方法は、朝と夜の体重を仮に1週間記録し、その体重差を7日分加算し、7で割ると平均値が出ます。これが自分の体重差です。例えば前日の夜の体重が80kg、今朝が79・5キロだとすると、その日の体重差は500gです。食事内容や運動量等、1日のエネルギー消費量によって、日により体重差は大きく異なる場合もあります。夜の体重がかなり増えている日は、太る食品を多量に摂っていたか、接待や友人との飲み会などで、大量の糖質の高いアルコールを飲んだ結果なのです。朝と夜の体重差が大きい場合、1日で摂った食事や飲み物のカロリーをその日のうちにエネルギーとして消費しきっていないからです。「朝晩ダイエット」は、朝晩の体重差を500g以内に抑え、差を少なくすることによって減量しようという考え方です。これは長期間にわたって続ける事で少しずつ体重は減ってゆくようです。朝晩体重を測定することが、職種などにより、人によってなかなか実践できない場合でも、毎朝、一回は必ず体重を量るという習慣だけは、ぜひ忘れず実行していただきたいと思います。「量るだけ」でも大幅な体重増加を抑えることができます。肥満と糖尿病体重というのは、食事内容や行動パターンによって、増えたり減ったりします。毎日体重をチェックすることで、体重の増えた翌日は、太る原因である糖質の高い食品をカットするなどの調整ができます。自分で食生活を改善することで、体重のコントロールを心掛けましょう。超肥満症または糖尿病の方々は、ゆっくりとスローテンポのダイエットよりも、より積極的な、すみやかな減量を行う必要があります。生活習慣病や糖尿病による恐ろしい合併症、心臓疾患等で早死にしないためにも、糖質を制限する食事に切り替えることが肝要です。肥満症の方は、身体の脂肪が多く、インスリンの効き目が悪くなっています。糖質の高い食品を摂ると、血糖値を下げるために膵臓から大量のインスリンを出さなければなりません。この状態が続くと膵臓は疲弊し、ついに壊れてしまうのです。「肥満し始めたら糖尿病の危険サインと考えていい」と、医師の方々は警告しておられます。糖質の高い食品を摂り続けていると、ホルモンの一つであるインスリンが多く出ます。インスリンは、血糖値を下げる働き以外に、身体に脂肪を蓄えさせる働きもあり、内臓や皮膚の下に溜め込まれ、その結果、太りやすくなります。インスリンは「肥満ホルモン」とも呼ばれているのです。内臓の周りの脂肪が増え、インスリンの働きが悪くなり、血糖値が下がらない状態が糖尿病なのです。肥満は糖尿病を発症する危険性をはらんでいると言えるでしょう。インスリンが出ると身体は太りやすくなり、脂肪が増えるとインスリンの効き目が悪くなるというメカニズムを、よく理解しておかなければなりません。糖尿病には三大合併症と言われているものがあり、血糖値の高い状態が数年間続くと、高い確率で合併症が発症します。腎機能が著しく低下し、人工透析を導入しなくてはならない糖尿病性腎症の方が、かなり多いと言われます。また、目の細い血管が詰まり、突然目が見えづらくなる糖尿病網膜症は視力低下や失明の原因となります。そして動脈硬化が進むと、心臓発作を起こす危険性もあります。第3が糖尿病神経障害であり、手足のしびれ、痛み、マヒなどが起きます。手足の組織が壊 え疽になり、切断する方もおられます。そ特に多いのが足指の壊疽で、歩行困難になります。糖尿病というのは、血液中のブドウ糖(血糖)の量、すなわち血糖値が異常に高くなる病気であり、高血糖が続くと全身の血管や神経が傷つけられ、合併症を引き起こすのです。糖尿病患者の死亡年齢の平均は、男性68歳、女性71・6歳であり、日本人の平均寿命に比べ、男性9・6年、女性13・0年、短命になると言われています。現在、日本の糖尿病患者またその予備軍は約2210万人、それも年々増加の一途を辿っています。好きな飲食物は止められない、と言う方もいらっしゃいますが、身体にとって明らかに有害であるものに対しての、欲求を抑制するという賢明な判断こそ、様々な病気発症のリスクから、身体を守る唯一の方途であると言えるでしょう。「糖質」とは何か炭水化物から食物繊維を引いたものが糖質です。糖質にはブドウ糖などの単糖類、蔗 しょ糖やとう麦 ばく芽 が糖 とうなど単糖が2~10個つながる少糖類、でんぷんなど単糖が多くつながる多糖類があります。ご飯やパン、麵類、芋類といったでんぷんや砂糖は、糖質が高く、消化器官で分解され、ブドウ糖になる。ブドウ糖は腸から体内に吸収され、血液の中に入っていきます。血液中のブドウ糖が血糖なのです。糖質は摂取した分だけ、ブドウ糖に分解され、血糖値を上昇させます。しかし、脂肪やタンパク質は消化器官で分解されても、ブドウ糖にはならず、血糖値をほとんど上げないことが証明されています。日本人が常食にしている白米、小麦といった穀物や芋類に多いでんぷんは多糖類であり糖質の高い食品です。ブドウ糖や果糖は1個の糖からなる単糖類、砂糖の成分である蔗糖や麦芽糖などは少糖類です。お茶碗一杯のご飯の糖質量は55・2g。ステーキ100gの糖質量は0・5gですから、糖質を制限した食事に切り替えることで、血糖値のコントロールが容易に可能となります。煩わしいカロリー計算などは、全く不要なのです。糖質過多の食事は万病のもとですから、糖質制限食を続けるのは、血糖値を下げるとともに、肥満からも脱却できるという、すぐれた食事療法でもあると思います。具体的な食事方法については、後の章で詳しく説明することにしましょう。BMIの数値を算出しようBMIとは、ボディ・マス・インデックスの略称です。肥満度を示す指数として、現在、世界中で使われている体格指数のことです。BMIは、体重(kg)を身長(m)で2回割って計算した指数です。例えば男性Aさんの場合、体重92kg、身長170cmですから、92÷1・7÷1・7=31・83となります。女性Bさんは体重66kg、身長160cm、BMIは25・78です。WHO(世界保健機関)によれば、24を理想値としているようです。しかし日本肥満学会では、22~23を理想値、25以上を肥満としています。現在、日本では25以上の肥満者は2300万人を超えています。30以上は超肥満者です。男性AさんのBMIは、超肥満であることを示し、女性Bさんは肥満です。現在、22から23の指数の方々が、長寿であると言われます。仮に、女性で身長160cmの場合、理想値とされるBMI22の体重は、1・6×1・6×22=56・32kgです。スリムよりもやや中肉といった体型でしょう。この理想値前後の人が、比較的死亡率が低く、長生きすると報告されています。男性では身長170cmの理想値は、1・7×1・7×22=63・58kg。前述のAさんの場合は、体重92kgから63・58kgまで、約28kgの減量をする必要があります。肥満症ではない人が長生きできるのは、心筋梗塞、脳梗塞、心不全、糖尿病、腎不全、その他の病気を発症するリスクが低いからでしょう。実際に長寿の方々にお話をうかがうと、大病をしたり、長期に入院するといったことのない方が圧倒的に多い。そして高齢になっても現役で仕事を続けておられる方がかなりいらっしゃいます。経営者であったり、医師であったり、教育者であったり、ビジネスマンであったり、農家であったり、職域は様々ですが、バランスのよい食事を摂り、身体をよく動かし、規則正しい生活を心掛けておられるようです。ちなみに、この原稿を執筆している私は、体重50kg、身長160cm、BMIは19・53です。大学時代は48kg、BMIは18・75でした。モデルグループのマネージャーの方から依頼され、ファッションのモデルの仕事を2年続けました。その間、47から48kgを維持する必要があったのです。当時から太る原因となる糖質は多く摂らないようにしていました。現在の私のBMI19・53は、理想値よりやや低いのですが、今の体重が私自身にとって、行動しやすいベストコンディションと思っています。体重は毎朝チェックし、BMIが20以上にならないように、ビタミン、ミネラル、タンパク質を摂って糖質は抑制する、食事内容と体重をコントロールすることに気を付けています。大学院の修士課程修了後、仕事を始めて数年のちに、健康診断を受けるため私は人間ドックに入りました。その時、検査結果について丁寧に説明してくださったのは、かなりご年輩の院長先生でした。穏やかで優しいその先生のアドバイスが、その後の健康管理に役立つものであったと思い返されます。「検査結果は何も問題ありません」ということでした。健康診断のたびに5kg、10kgと体重が増えてゆく人が多いこと、「今の体重をキープし、白砂糖は避けて、精製された食品には充分注意してください」といったお話でした。その老院長先生の忠告が、その後私自身の食生活を決めてゆく指針になりました。幸い大病や入院といったこともなく、血糖値及びHbAlc、γ‐GTP、中性脂肪の数値は上昇することなく現在に至っています。肥満には一度もならずにきました。ただし、1~2kgの増減には常に意識して、現状維持をモチベーションにしています。BMIの指数から見て、「糖質制限ダイエット」に成功した、男性Cさんの例を挙げましょう。ダイエットを実践する前のCさんの体重は130kg、身長180cm。BMIは40・123でした。大変な超肥満です。血糖値、悪玉コレステロール(LDL)も非常に高い状態でした。しかし徹底して糖質の高い食物、飲料を制限することで、2年後には体重が80kgまで減少したということです。その結果BMIは24・691。見事に肥満から脱出し、それとともに血糖値、LDLコレステロールも正常値に下がってきたそうです。以前のCさんは靴の紐が自分で結べない、階段や坂道を上ると息苦しいといった状態でした。現在のCさんは、別人のようにスマートになられ、会社の管理職としての仕事を精力的にこなしておられます。2年で50kgの減量に成功するという、その意志の強さと、糖質制限食を続行させた実行力には、敬服せざるを得ません。ヤル気さえあれば、超肥満であっても、必ず減量は可能なのです。大切なことは、途中で挫折しないこと。継続こそ健康な身体を取り戻す、確実な道なのですから。「早食い」、「大食い」は肥満になる食事を早く食べる人ほど、BMIの指数が高く、太る傾向が見られるという報告があります。この逆に、ゆっくり食事を摂っている人は、BMIの低い人が多いのです。身体には満腹中枢というものが備わっていて、食べ始めて約20分が経過すると、お腹がいっぱいになってきたことを感じさせる、満腹中枢が刺激されるのです。これによって食べ過ぎを防ぐ事ができます。満腹中枢のスイッチが入る要因は、1血糖値の上昇、2胃壁の膨張、3嚙むこと、の3つです。「早食い」で一気に大量の食べものを摂ると、血糖値は急上昇します。インスリンは過剰に放出され、消費されずに余った糖は体脂肪になって蓄積されます。肥満及び糖尿病にならないためには、よく嚙んで、ゆっくり食事をすることで、血糖値は正しく上昇し、食べ過ぎや、脂肪の蓄積を予防できます。仕事が忙しいという理由から、食事を慌ただしくすませることのないようにしましょう。特に昼食時の男性は、早く食べる方が大変多いようです。先日、ある中華料理のお店で、中年の男の方が一人で食事に入って来られました。お料理の注文はラーメンとチャーハン定食。どちらも糖質の高いメニューであり、しかも野菜が少ない。これをかき込むように、早いスピードで食べ終え、汗を拭き拭き、そそくさと店を出て行かれました。この間、約10分です。その早さには驚きますが、別のレストランでご飯大盛りのカレーライスを、5分で完食した男性もいらっしゃいます。いずれも、でっぷりと太った肥満体の方でした。太らないためには「早食い」「大食い」をしないよう、気をつけたいものです。食事は同僚や知人と会話をしながら、愉しくゆっくり、よく嚙んで摂りましょう。仕事は的確でスピーディに、食事は心の余裕を持って、いい雰囲気でいただくのが、ダイエット効果もあり、ストレス解消にもなるであろうと思います。現代人は多少の差はあっても、仕事や人間関係といったストレスを感じて生活しているわけですが、「ストレス太り」という言葉があるように、ストレスの精神的な重圧によって、大量に食事を摂ってしまう方もあります。いわゆる「ヤケ食い」と言われるものです。また「お正月太り」「冬太り」といって、お正月や冬の季節は、あまり身体を動かさず、糖質が高いお餅やお料理、お酒を多量に摂取することによって、体重が増える場合もよくあります。食べ過ぎ、飲み過ぎは肥満に直結するのですが、5kg、10kgと太った結果、過激なダイエットをして挫折、そしてリバウンドを繰り返すといった方々は、悪い食習慣が身に付いてしまっているからでしょう。糖質を制限し、タンパク質、カルシウム、ビタミン、ミネラル、アミノ酸等バランスのよい食生活を習慣づけることで、自分にとって最も体調のよい生涯体重を保つことが可能となります。食べ過ぎによる肥満とは反対に、拒食症などで瘦せ細り、BMIの指数が17以下のように低すぎるのも、よくありません。人によって多少の違いはありますが、体力が弱まり、免疫力が低下すると感染症にかかりやすい場合が多くなるからです。健康的で免疫体質の、上半身と下半身のバランスのよい体型をキープすることこそ、最も望ましいと言えるでしょう。

 

糖質制限ダイエット初期にすぐに結果を出す

第2の習慣 「食の常識」を疑ってみる第3の習慣 「糖質制限食」を正しく理解する第4の習慣 「すぐできること」から始めてみる糖尿病を薬によらず食事療法で治す!そのためには、無意識に無自覚に糖質を摂取するような食事の仕方はご法度――。「糖質制限食」の知識を会得すれば思わぬ効果を体感することができるのだ。それは“ダイエット効果”である。正しく行えば、3週間で20kg減量も夢ではない!血糖値を左右するものの正体日本人の食生活というのは米飯を主食として一日に1回から3回摂るのが、一般的な食事の「常識」であり、長い年月にわたっての習慣となってきました。また糖尿病の治療においても病院や医師から指導されるのは、多くの場合、低カロリー、低脂肪の糖尿病食です。しかし、こうした食事を熱心に続けたにもかかわらず、血糖値のコントロールがうまくゆかず、合併症を発症する方々が多数いらっしゃいます。高カロリーのお肉や揚げ物を避け、低カロリーのおそばや、おにぎりで昼食を済ませる方もおられますが、血糖値を左右するのはカロリーではなく糖質なのです。カロリーや脂肪を制限しても、糖質の摂取量を減らさない限り、血糖値は下がりません。従来のカロリー制限食での糖尿病治療という「常識」を、医学的見地から疑ってかからなくてはなりません。なぜなら、カロリー制限食で血糖値が改善されないのは、その食事療法が間違っているからです。更に、カロリー制限による食事療法は、煩わしいカロリー計算が食事のたびに必要で、食事の量も大幅に減らさなければなりません。主菜と副菜のカロリーを大きくカットするわけですから、空腹感があり、そのため米飯を沢山摂ることになります。ご飯は糖質の高い食品です。これでは血糖値が下がらないのは当然の結果と言えるでしょう。ダイエットの場合も、従来は一日に摂取するカロリーを制限することが、減量の方法として常識となっていました。仮に一日1600キロカロリーの食生活を行うためには、「食品交換表」等を参考にしながら、毎食のカロリー計算をしなくてはならず、これが大変面倒なものでした。減量する前に、ギブアップという方が多いのも理解できます。なおかつ、常に空腹を我慢していなければならないとしたら、減量は大変辛いものと言わざるを得ません。食事全体の量を減らし、低カロリー、低脂肪の食事で減量するのは、美味しくない料理をしかも少量摂るという食生活ですから、日々、空腹感との闘いです。カロリー制限食が長く続けられないのは、このような理由からなのです。糖質制限とカロリー制限ここで改めて、糖尿病と血糖値について、再確認しておきましょう。前述したように、血糖値を上げるのは、糖質です。カロリーが血糖値を上げるのではありません。したがって高タンパク、高カロリー、高脂肪は、食後の血糖値に影響を与えるものではないのです。「お肉やお魚に含まれるタンパク質は、体内でアミノ酸に分解されます。アミノ酸の一部は脂肪酸や糖になりますが、時間をかけて作り変えられるため、食後の血糖値を急上昇させることはない」と言われています。高カロリー、高脂肪の食事を日常的に摂っているアメリカ人よりも、糖質(炭水化物)を主食にしている日本人の方が、糖尿病の発症率は高いのです。「高カロリー、高タンパク」の食事が糖尿病を発症させるのではなく、日本人のように糖質の過剰摂取が、糖尿病の重要な素因となっているのです。したがって「脂肪悪玉説」も誤りであり、脂肪が血糖値を上昇させるわけではありません。むしろ狭心症や、心筋梗塞につながる動脈硬化の予防のためには、積極的に魚油を摂ることでEPAを補うのもよいと思います。薬だけでは糖尿病は回復しない糖尿病は一度発症すると、根本的に治すのは難しく、一生を通じて血糖値を適正に保つようにコントロールする生活を、続けなくてはなりません。一生涯付き合っていかなくてはならない病気なのです。しかし、この病気は各種のがん、肝硬変、心臓病等の病と違って、自分で血糖値をコントロールし、正常な基準値に改善することができるのです。ただし、血糖値が正常になったからといって、糖尿病が完治したと思い込んでいる方がいますが、これは危険です。一度発症した方は、血糖値が上昇しないよう、常に注意しておく必要があります。長年、低カロリーの食事療法と、消費カロリーを増やすための運動療法を続けていたにもかかわらず、血糖値のコントロールがうまくゆかなければ、血糖降下薬を服用し、インスリンの注射を打つことになります。この状態が続いていると、糖尿病の悪化が止まらなくなり合併症が発生してしまうのです。日本の糖尿病治療で、現在主流のカロリー制限食は、糖質(炭水化物)を多く摂るため、食後の血糖値が大幅に上昇します。膵臓に無理な負担をかけることになり、インスリンの注射や血糖降下薬を用いて、血糖値を下げようとするわけです。しかしこの方法を長く続けていると、ある日突然、深刻な合併症を起こす人が増える一方であると言われています。「糖質を摂って上がった血糖値を、薬で下げようとするほど、死亡率が高まる」という、最近の海外の研究が報告されているということです。端的に言えば、糖尿病は薬だけでは治りません。薬で血糖値を基準値に下げ続けることには、合併症の発生という問題があります。血糖値を上げるのは糖質だけであり、脂肪やカロリーとは無関係なのです。従来のカロリー制限食では、糖質の多い食事を摂って、上昇させてしまった血糖値を、薬で無理に下げようとするものです。薬で下げようとするほど、血糖値は乱高下し、それが合併症を起こしやすくし、死亡率を高める結果になるのです。糖質の摂取を減らす「糖質制限」の食事療法は、欧米では既に10年以上前から行われていると、AGE牧田クリニック院長牧田善二医師も指摘していらっしゃいます。そして、これが現在の欧米では「糖尿病の標準的な食事療法として確立されている」と言っておられます。糖尿病という病気は、常に血糖値を低く抑えるコントロールを生涯続けなければなりません。腎機能の低下している方の場合は、「糖質制限食」の食事療法に理解のある、優秀な医師とよく相談された上、実施されるのが肝要かと思います。糖尿病を発症して、腎症がない状態であれば、糖質を制限した食事療法だけで、見事に血糖値は下がり、約3ヵ月から6ヵ月ほどで正常値に回復することが可能だと言えるでしょう。糖質を抑えた食事を続けてゆくことによって、血糖降下剤は不要となり、インスリンの注射の量は少なくなり、ついに注射を打たなくても、血糖値は正常値に安定している方々が、沢山いらっしゃるという事実を、よく理解していただきたいと思います。「糖質制限食」の正しい知識現在、雑誌、TV等マスメディアで大変注目されている「糖質制限ダイエット」は、炭水化物ダイエットとも言われ、そもそも糖尿病治療のために考案された食事療法です。糖質の高い食事や、飲料を徹底して制限することで、血糖値の明らかな低下が見られ、それと同時に体重も減少してゆきます。糖尿病の治療のみならず、糖質の制限はダイエットにも、多大な効果をもたらすという実例が、次々と報告されるようになりました。この「糖質制限食療法」を提唱していらっしゃるのが、京都・高雄病院理事長の医師です。医師は『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)という著書を出版されましたが、その中で医師が勧めておられる食事法には、次の3つの方法があります。1スーパー糖質制限食2スタンダード糖質制限食3プチ糖質制限食1の「スーパー糖質制限食」とは、朝、昼、夕の3食で、糖質の高い主食(ご飯、パン、麵類等)を完全に制限する食事療法です。朝=主食抜き、昼=主食抜き、夕=主食抜き(糖質を一食20g未満とする)これは糖尿病で、すみやかに血糖値を下げる必要がある場合、または超肥満、そして肥満症の方には、短期間で減量が可能であり、最も効果のある適切な方法です。1~2週間で5~8kg。2週間で10kg、3週間で20kg減量に成功した方々も、かなりいらっしゃいます。主食のご飯、パン、麵類を抜く代わりに、おかずの主菜、副菜をしっかり摂る。そのため血糖値は上昇することなく、インスリンの放出も起きません。脂質を摂ることによって代謝は上がり、体脂肪は燃えやすくなるため、減量効果があり、また生活習慣病などの予防にもなるのです。「糖質制限ダイエット」は、まず3週間、「スーパー糖質制限」にトライしてみましょう。毎日体重を量って、記録していると、一日で300g、500gと確実に減ってゆきます。これをキチッと3週間続けると、体全体がすっきりとして軽くなり、目標体重に近づけることができます。ここで注意していただきたいのは、主食を抜くとともに、糖質の高い食品(砂糖をふんだんに使った菓子類)、砂糖水のような飲料も完全にカットです。主食(糖質)を制限しても、一方で糖質の高いお菓子類、スナック菓子を食べていては、「スーパー糖質制限」にはならないからです。一日の糖質摂取量は60g以下に抑えましょう。2「スタンダード糖質制限食」は、朝、昼、夕の3食の中で、夕以外の朝か昼だけは主食を摂る方法です。一日一回主食を摂る食事は、朝食、昼食のいずれでもいいのですが、私は昼食をお勧めします。日中は身体がよく動いていて、エネルギーの消費が多いからです。仕事の関係で、昼食が外食になる方は、昼食だけ主食を摂り、朝と夕の主食(糖質)は食べないようにします。朝=主食抜き、昼=主食OK、夕=主食抜き朝食はコーヒーか紅茶、冬であれば温めた豆乳にココアかショウガを入れてマグカップに1杯。それにたっぷりの野菜サラダ。またはゆで野菜。ゆで卵一個か、糖質ゼロのハム、ベーコンエッグ等。日によって野菜スープもいいと思います。これでご飯、パンなど摂らなくても充分お腹はいっぱいになります。お昼は外食ですが、一品主義の食事は、できるだけ避けましょう。例えば、丼物、カレーライス、チャーハン等は糖質の高い食べ物ですから、ご飯の量は少なくして、スープ、サラダ等をランチメニューとして選びましょう。また、ラーメン、おうどん、汁そばなどのお汁には糖質が含まれていますから、全部飲まずに残すのがベターです。お勧めしたいのは、メニューの豊富なビュッフェスタイルのレストラン、ファミリーレストラン、そしてイタリアンレストランです。高糖質のご飯、パン、スパゲティ、ピザ等は、ごく少量にし、お肉、お魚、卵料理、野菜等をたっぷり摂ることができます。そして日替わり定食のある食事処で、お味噌汁、焼魚、野菜のおひたし、豆腐料理、大根おろし等で昼食を摂る日があってもいいでしょう。一日一回主食の摂れる「スタンダード糖質制限食」の場合でも、炭水化物やでんぷんといった高糖質の食品は、多量に摂らないよう気を付けてください。近年、コンビニエンス・ストアで食品を買い、昼食にする方も多いようですが、絹ごし豆腐の冷奴、各種のサラダ類、枝豆、ホウレン草のおひたし、糖質ゼロのハムやソーセージ、ハンバーグ、唐揚げ、おでん、ゆで卵、ごまだれで食べる豆腐そうめん、味噌汁、わかめスープなどをお勧めします。野菜サラダと一緒であれば、ミックスサンドイッチも、パンの量が多くなければいいと思います。飲料もお茶または糖質ゼロのものにしましょう。3「プチ糖質制限食」は、一日の食事のうち、夕食だけ高糖質の主食を摂らない方法です。体重が標準体重まで減量した方、糖尿病の血糖値が正常値に下がってきた方の中には、このスタイルで糖質制限を継続している方もいらっしゃいます。一食だけ制限するのですから、楽に続けられます。これら3タイプの食事法を提言しておられる医師は、「主食を摂らない生活に、とまどいを感じる方は、プチ糖質制限を試してみてはいかがでしょうか。意外と楽だと分かるはずです」とおっしゃいます。朝=主食OK、昼=主食OK、夕=主食抜きこの「プチ糖質制限食」も、夕食は糖質量の高い主食(ご飯、パン、麵類)を、完全にカットします。夕食で高糖質の食品を摂ると、食後は運動をせず就寝してしまうため、脳や筋肉は活動しないので、血糖値は下がりにくくなります。分泌されたインスリンは消費されないまま、脂肪として蓄積され肥満の原因ともなるのです。夕食だけ糖質オフの制限スタイルは、楽に実践できるため長期間にわたって続けやすい方法です。毎月少しずつ瘦せてゆく状態を継続すれば、必ずダイエットの効果が期待できるでしょう。しかし、糖尿病で血糖値を下げる必要のある方、肥満症の方々は、「スーパー糖質制限食」の取り組み方で、抜群の改善効果を体験していただきたいと思います。「糖質制限食」10のルール既に述べてきたように、高タンパク質、高脂肪、高カロリーの食事よりも、糖質の摂り過ぎこそ、血糖値を上昇させ、肥満の原因になります。糖質、タンパク質、脂肪の三大栄養素の中で、体内ですぐに血糖に変わるのは糖質だけなのです。近年、糖尿病の血糖値の改善、また肥満症の減量に大きな効果があると注目されているのが、画期的な食事方法である「糖質制限食」です。これは、ご飯、パン、麵類など、糖質の多い主食をカットする食事法です。そして、糖質を多く含むお菓子、お芋類、根菜類、醸造酒なども控え、糖質の少ないお肉類、魚介、大豆製品、葉物野菜などを積極的に摂ります。つまり、血糖値の上昇と肥満に直結する、糖質の摂取のみをいかに減らすかが、この食事法の最大のポイントと言えるでしょう。「糖質制限食」を実施するにあたり、血糖値が上がりやすく肥満の原因となる、避けた方がよい食品と、摂取してもよい食品について、正しく把握していただくため、以下10カ条にまとめました。1糖質を含む食品 白米のご飯、お餅、精白パン、麵類、白砂糖など精製された食品は避けましょう。そして砂糖などで味つけされたシリアル、ピザ、ビーフン、ギョーザの皮、春雨なども控えてください。どうしてもパンやおそばを食べたい時は、全粒粉のパン、黒パン、ライ麦100%のパン、糖質制限パン、十割そばを選びましょう。2お肉類、魚介類、お豆腐、油揚げ、おから、湯葉、納豆。糖質ゼロのハム、ベーコン、ソーセージ。コンビーフ、卵、チーズなど タンパク質と脂肪が主成分で、低糖質の食品は、積極的に摂りましょう。3海藻類(ノリ、ワカメ、ヒジキ、トコロテン、寒天)、キノコ類(シイタケ、シメジ、マイタケ、エリンギ、ナメコ、マッシュルーム)はたっぷり摂る。4野菜類 一日350gを目安に、蒸し野菜や、おひたし、いため物、サラダ、お味噌汁の具、煮物などにして毎日摂ってください。葉物野菜等はたっぷり摂る。淡色野菜(キュウリ、大根、玉ネギ、キャベツ、セロリ、レタス、アボカド)などもサラダ等にして食べましょう。野菜の中で糖質を多く含む、トウモロコシ、カボチャ、芋類、根菜類は控えましょう。5果物 果糖があるため、少量にしましょう。イチゴ10粒、イチジク1個、サクランボ10粒、ブドウ1/2房、リンゴ1/2個、イヨカン1/4個、スイカ1/32個等、量を少なく摂る。バナナは糖質が高いので避けてください。血糖値が正常値に下がってきた場合、果物は少量であれば、摂ってよい食品だと言えるでしょう。アボカドは食物繊維が多く、ビタミンC、B群、A、E、スクアレン等を含んでいます。血糖値が高くても毎日一個でもOK。イチゴはペクチンの含有量が多く、血液中のコレステロールを下げ、動脈硬化、高血圧の予防に役立ちます。イチジクはビタミンB1、B2、Cを含み、食物繊維が整腸作用を発揮してくれます。柿は昔から高血圧、脳卒中の予防、改善に良いとされてきました。キウイフルーツはビタミンCが多く、食物繊維のペクチンも多く含まれ、高脂血症や高血糖の予防になります。グレープフルーツのルビーはβ‐カロチンを多く含有し、活性酸素を除去する力があり、がん予防に有益です。スイカに含まれるカリウムは強力な利尿効果があり、高血圧、腎臓病に効果があるでしょう。梨には肉料理の消化を促進する消化酵素が含まれています。ブルーベリーのアントシアニンは、網膜の血流をよくして、眼精疲労、老眼、白内障、視力低下などの予防、改善に役立ちます。ミカンはビタミンA、C、E、カリウム、カルシウム、リンなどミネラルを多く含み、血管の老化、発がん抑制効果があると言われます。そしてリンゴ。イギリスでは「一日一個のリンゴは医者を遠ざける」(An apple aday keeps the doctor away)ということわざがあります。英国の学生寮では毎日リンゴ一個を食卓に出すところが多いのです。血中コレステロールを下げる食物繊維のペクチン、活性酸素を除去するポリフェノール、種々のミネラルがバランス良く含まれています。高血圧の予防にもなると思います。6飲料について 果物のジュース、清涼飲料水、スポーツドリンクは糖質の多い飲み物です。ただし最近、糖質ゼロの清涼飲料水がスーパーなどで販売されています。牛乳には乳糖が含まれていますから、一日コップ1杯程度ならいいでしょう。豆乳は成分未調整のものを選んでください。トマトジュース、お茶は可。コーヒー、紅茶、ココアはお砂糖を使わず、甘味の必要な方は自然派甘味料のラカントSかパルスイートを入れましょう。スーパーやコンビニエンス・ストアで売っています。生クリームはOKです。野菜不足を理由に、青汁をよく飲まれる方が多いようですが、飲みやすくするために砂糖やハチミツ、オリゴ糖などを加えているものがあります。これは血糖値を上げますから要注意です。7アルコール飲料 日本酒、ビール、白ワインといった醸造酒とカクテル、発泡酒であるシャンパンなどは糖質の高いお酒類です。最近では糖質ゼロのビール系飲料、日本酒でも糖質ゼロのものが市販されています。焼酎、ウィスキー、ブランデーなど蒸留酒はOK。辛口の赤ワインはグラス2杯程度なら良いでしょう。特に芋焼酎は、お湯割りにすると冬は身体を温めてくれます。アルコール飲料は飲み過ぎに気を付けて、愉しく適量を飲むようにしてください。8お菓子類 お砂糖をふんだんに使った和菓子、ケーキ類、ゼリー、アイスクリーム、スナック菓子、米菓子類(おせんべい、おかき、あられ)等は、糖質量の多い食品です。血糖値を上昇させ、肥満のもととなります。これはすべてNG。お菓子類が食べたい時は、糖質ゼロのチョコレート、ラカントSのシュガーレスの飴、糖質を大幅にカットした市販のケーキや和菓子、豆乳プリンなら摂ってもいいでしょう。時間のある時に、糖質の低い材料で手作りしておくのも一つの方法です。なお、間食にはチーズやナッツ類、枝豆、アボカド、ゆで卵1個などもお勧めです。9油脂類 オリーブ油や、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPAを含む魚油、ゴマ油。炭水化物・コレステロール・ナトリウムゼロのひまわり油は可。マーガリンはトランス脂肪酸が多いのでNG。バター、ラード、ヘッドは摂ってよい食品です。10調味料 ソース、みりん、白味噌、酒かす、ハチミツ、カレールウ、ハヤシルウ、ケチャップは避ける。ドレッシング、焼肉のたれ等は糖質ゼロのものを選びましょう。マヨネーズ、しょうゆ、塩、酢、香辛料は摂ってよい食品です。また、ケチャップの代わりにトマトピューレ、トマトペーストは調味料として使えますし、カレー粉も、ルウを入れずにカレー料理を作ることもできます。「すぐできること」から始めてみる食生活というのは各々の、子供の頃から続けてきた習慣です。血糖値を上げ、太る原因となる糖質の高い食品を制限する食生活に変えてゆくことで、各自の食事における習慣は徐々に変わっていきます。日本人は白米ご飯を好きな人が多く、またラーメンやスパゲティ、おうどん、おそばなど麵類を好む人も大変多いのです。しかしこうした食品を毎日摂り続けることによって、日本人の糖尿病の発症率は高く、肥満症の人口も年々増加しています。健康で長生きするため、早死にしないためにも、糖質過多の食習慣を見直す必要があります。「糖質制限食」を実践する場合、初めのうちは、今まで長年続けてきた食事内容を大きく変えるわけですから、ご飯、麵類といった好きなものを多量に好きなだけ食べていた食事内容と異なり、主食を出来るだけ減らすということに、いささかとまどいがあるかもしれません。しかし、「糖質制限食」を実際に実践し、血糖値が見事に下がり、ダイエットに成功した方々は皆、異口同音に「意外に簡単だった」、「思ったより楽に続けられる」、また、「体調がよくなり、健康になった」と言っておられます。本書の共著者でもある自身、2年前に糖尿病と診断された直後から、「スーパー糖質制限食」を始め、糖質の高い食品は完全にカット、徹底した糖質オフの食生活に変えました。最初の受診での数値は、血糖値215mg/。体重87kg。「スーパー糖質制限食」を始めて、2週間後にはすべての数値は下がり始め、4ヵ月後には血糖値は正常値になり、現在の血糖値は87mg/、体重は20kg減量です。糖尿病を発症した当時、仕事の出張先でひいた風邪がなかなか治らず、体調はよくない状態でした。そこから脱出でき、健康を取り戻せたのは、医師のご親切なアドバイスや「糖質制限食」を直ちに実践し、現在も糖質オフの生活を続行し、彼の食習慣として定着させた結果です。このような実例は、の友人、知人の方々の中でも、非常に多くなっています。「やると決めたら、即、実行」です。それが一日も早くよい結果をもたらしてくれるでしょう。最近、超肥満の女性Dさんから相談を受けました。体重98kg、身長158cm。BMIは39・25の超肥満です。医師からは減量するよう注意されているということでした。OLであるDさんは、毎日会社の帰りにコンビニエンス・ストアに立ち寄り、菓子パンや、スナック菓子、アイスクリーム等を買い、夕食の後、テレビを見ながら、お菓子を食べ、寝る前にアイスクリームを食べています。明らかに糖質過多のパターンであり、よくない習慣です。特に彼女の好きなメロンパン、ドーナツ等は、糖質が高く、お砂糖が振りかけてあります。「悪魔の食べ物」とも言われているのです。コンビニに立ち寄り、菓子パンやポテトチップス等、スナック菓子を買う習慣を止める努力をなさるように、、HbA1c9・4%、総コレステロール245mg/私はアドバイスしました。店には行かない、買わない、食べないという自己抑制が大切なのです。自分の欲求を制御する、理性的な判断こそ必要なのです。仕事でたまにお目にかかるサラリーマンのEさん、5年前に糖尿病を発症し、以来、血糖値は下がっていないとのこと。この方の食事内容は、朝トースト2枚、目玉焼き、紅茶。昼は牛丼かハンバーガー、または、おにぎり2個。夜は会社の同僚と居酒屋で飲む、そしてラーメンかお茶漬けでしめるというものです。朝食から夕食まで、極めて糖質の高い食事であり、野菜が少ないバランスの悪い食習慣です。これでは血糖値は下がらないはずです。主食を制限する食事法をお勧めしましたが、「糖質制限食」をキチッと実行できず、いつまでもグズグズと逡巡する方が、たまにいらっしゃいます。その逆に、理性的に判断のできる方は、「その日から実践する」のです。それまで、毎日摂っていたご飯やパン、麵類を抜くというのは、初めの間だけは、やや抵抗があるかもしれませんが、慣れてしまえば、主菜であるステーキや焼肉、オムレツなど卵料理、グラタンほか、お魚料理、副菜の野菜やお豆腐料理など、ボリュームたっぷりの食事を摂ることができます。主食と自分の生命と、どちらが大切であるのか、その優先順位は改めて言うまでもないことでしょう。「糖質制限食」をすぐに始めた方ほど、早くよい結果を出しておられるのですから。精製した食品は避ける白米のご飯、白いパン、白砂糖、白い小麦粉といった、精製された食品は糖質が高く、血糖値を急激に上昇させます。精製された炭水化物(糖質)の常食は「人体の機能を狂わせる危険をはらんでいる」と言われています。これに対して、未精製の食品は、体へのダメージが小さいのです。白米を玄米あるいは3~5分づきのお米、パンは未精白粉のもの、全粒粉のパンか、ふすまパン、またはドイツの黒パンであるパンパニッケルに替えましょう。そして家庭にある白砂糖は捨てましょう。お料理の調味料として使うのもいけません。甘味料は糖類ゼロのパルスイートか、天然素材の甘味料ラカントSにしましょう。「白米は麻薬だ」と言われますが、「白いご飯さえあれば、主菜のおかずがなくても、お漬物か佃煮で、ご飯を何杯でも食べられる」という方が、かなりおられます。こうした方々の中には、糖尿病、またはその予備軍、そして肥満の方が多いのです。糖質の高い白米のご飯は、太る食品と分かっていても、食べたくなる。身体に悪いと知りつつ、止められないというのは、まるで依存症と同じような状態とも言えるでしょう。穀物の表層には、ビタミンB群や食物繊維といった良質の栄養素が含まれています。これは精白すると失われてしまいます。未精製の食品の方が、精白したものよりも健康によいのは言うまでもありません。玄米は水につけておくと芽が出ますが、白米は出ないのです。玄米には自然の生命力があり、フィチンという玄米の成分は、体内から農薬を排出する働きがあるとも言われています。玄米は老化を促進させない長寿食と考えられているのです。「日本人の9割は砂糖中毒」ではないかと、指摘しておられるのが順天堂大学大学院医学研究科教授の白澤卓二医師です。「イライラした時には甘い物が食べたくなる」とか「仕事帰りにはコンビニでスイーツを買う」といった行動、これこそが砂糖中毒に陥っているサインだと白澤医師は言っておられます。毎日甘い物を食べないと欲求不満になる、というのも禁断症状の一種だということでしょう。「牛丼をよく食べる人は、肉の脂とたれの甘さ、脂と砂糖のコンビネーション中毒に陥っている」と、白澤医師は著書『「砂糖」をやめれば10歳若返る!』(KKベストセラーズ)の中で述べていらっしゃいます。こうした「中毒」から脱け出すためにはどうしたらよいか。砂糖の摂取を止める、またはできるだけ控えることです。家庭にあるお砂糖はすべて捨てましょうと、前述したごとく、糖尿病、肥満の原因になり、老化を促進させる食品でもあるのです。精製度の高い食品ほど「中毒」のリスクは高くなります。白米より玄米、白砂糖より黒糖、食塩より自然塩が中毒性は低いと言われます。精製されていない食品の場合は、中毒性は強くないと白澤医師は指摘しておられます。現在、巷では精製された食品を使った食べ物があまりにも多く注意が必要です。白いご飯を食べずにはいられない、白砂糖を多量に使ったお菓子を毎日食べたくなるといった欲求は、一種の中毒症状とも言えるものです。牛丼やラーメンも同様であり、糖質の高い食品であるという点に、よく留意して節制しなければなりません。内臓疲労は肥満の原因になる飲み過ぎ、食べ過ぎは内臓を疲労させます。内臓に負担をかけ続けると、疲れて機能は低下し、肥満、高脂血症、高血圧、糖尿病といった生活習慣病のリスクは高くなります。更に内臓疲労がひどくなると本来の力を失い、腎不全、肝硬変、糖尿病など重大な病気を発症することにもなります。内臓が元気に働くためには、正しい食生活をすることです。腸の働き 全長6~7mの小腸は栄養素の90%を消化吸収します。多くの免疫細胞を持ち、解毒作用も備わっているため、腸の機能が向上すれば肝臓の解毒作業の負担が軽減されるのです。大腸は長さ1・5~2m、水分を吸収し老廃物を便にして排出。便秘などで代謝が低下すると、メタボになるリスクが高まります。腸の健康のためには、腸内環境を整える食べ物を摂りましょう。野菜、海藻類、キノコ類。ヨーグルト、オリーブ油。マグネシウムとして豆、魚、ゴマなどを積極的に摂ることをお勧めします。胃の働き 食欲には満腹中枢が刺激されるスイッチがあり、胃の膨張、血糖値の上昇などでオンになります。「早食い」すると満腹感は得られず、胃は食欲増進ホルモンを分泌、過食で血糖値は急上昇、肥満度も加わります。胃をいたわる食事法は、よく嚙んで、ゆっくり食べること。食物繊維、水、汁物を初めに摂る。継続して食べ過ぎない。一回の食事の消化時間は約3~6時間。胃を休ませる時間を考慮すべきです。肝臓の働き 右側の肋骨の下にあり、身体の中で最大の臓器。栄養素の代謝貯蔵、分配、筋肉作り、アルコールや中毒物質の解毒など、多くの働きを持っています。毎晩大量の飲酒をし、脂分の多いおつまみを食べ続けていると、糖質や脂質を貯蔵し、脂肪肝になります。更に動脈硬化、高脂血症、糖尿病のリスクも高まります。必ず休肝日を設けましょう。肝臓によい食材は肝細胞の再生を促すオリーブ油、貝類、タコ、イカ。代謝を円滑にするビタミンB1、B6の豚肉、カツオ、枝豆、ニンニク、パプリカ。豆腐、納豆などがお勧めです。腎臓の働き おへそのやや上にある左右一対の臓器です。糖尿病、高脂血症、高血圧など生活習慣病が引き金となって、発症する腎臓病が急増していると言われています。腎臓は毎日1440lの血液を濾過し、老廃物を尿にして排出します。血液の塩分濃度が高くなって起こる高血圧も、長期間続けば腎臓機能は低下します。腎臓の健康を保つためには、血糖値を正常に維持することです。そして塩分を控えて高血圧を予防することが大切です。味の濃いお惣菜は塩分過多になりがちです。お料理は薄味にしましょう。一日の塩分摂取量を6g程度に抑える。ラーメン一杯の塩分量は10g、スープは飲まないのが正解です。膵臓の働き 胃の裏側にあり、わずか3g程度の膵島細胞(ランゲルハンス島β細胞)で、血糖値を下げるホルモンである、インスリンを生成しています。膵臓が分泌するインスリンは、身体中の組織に糖を送り、血糖値を下げるという役目を担っています。しかし、糖質の高い食事を摂ると高血糖になり、多量のインスリンが放出されます。これを繰り返していると膵臓は酷使され疲労して、インスリンが出せなくなるのが糖尿病です。膵臓の負担となる高血糖を防ぐことが大切でしょう。ゴーヤに含まれる植物インスリンは、インスリン同様の働きをするため、血糖値の調整に有効です。また水溶性食物繊維である海藻やオクラは、糖の吸収を穏やかにし、血糖値の急上昇を抑制します。不溶性食物繊維のレタス、セロリ、キノコ類、納豆は血糖値を急に上昇させません。食事はよく嚙んで野菜から食べましょう。糖質の高い食品の摂取を制限することで、膵臓をいたわり、休ませることができるのです。

 

糖質制限ダイエットの中間期には内食と外食の理想的な組み合わせを考える

第5の習慣 家庭の食事と外食を無理せず使い分ける三日坊主で終わらせず、長期に糖質制限を続けるためのテクニックを、二人が伝授。家庭の食事と外食の使い分けなど、目的に合った「3つの食事法」とライフスタイルに合った新しい食習慣の確立をとが徹底解説する。/減量と体質改善を同時に!「糖質制限ダイエット」3つの食事法難しい理屈よりもシンプルに、糖質漬けの食生活からの脱却こそ、最も重要だと言えるでしょう。肥満は生活習慣病を発症するリスクが高い。東海大学医学部教授の大櫛陽一医師は「糖尿病が進めば、細い血管だけではなく太い血管まで傷んで、命取りの大病を招く危険が高まる」と述べておられます。がんにかかるリスクは3・1倍、アルツハイマー型認知症を発症する危険は4・6倍にもなるという研究結果が確認されているそうです。せっかく「糖質制限食」を始めながら、わずか数日で挫折してしまう方が、少数いらっしゃいますが、肥満症または糖尿病という病気の怖さを、正確に理解していないためでしょう。挫折の理由は「白いご飯、麵類がどうしても止められない」、「お菓子類が無性に食べたくなる」といったものです。これは白米、白砂糖の「中毒」とも言えるものです。身体に有害な食べ物と、何となく分かっていても食欲を抑えられないのです。食生活というのは、前述したように各人の、子供の頃から続けてきた習慣によるものです。それが様々な病気を引き起こす悪い食習慣であれば、すみやかに変えなければなりません。「糖質制限食」を始めて、数日で脱落した場合、少し瘦せ始めた身体が、再び高糖質の食事をすることで、肥満ホルモンが大量に出て、脂肪を溜め込む体質に戻ってしまいます。体内には食欲を抑制するホルモン、食欲を増進させるホルモンがあります。このホルモンのバランスが崩れ、脳が過食や偏食の指令を出すことによって、太りやすくなります。「糖質制限ダイエット」を継続して実施していらっしゃる多くの方々は、太りやすい体質を瘦せる体質に転換する、減量と体質改善の双方が同時に行われているということになります。「糖質制限食」の3つの食事法について、どのタイプから始めるかは、各々の方の選択によります。血糖値を下げなくてはいけない方、スピーディに減量する必要のある超肥満の方など、大多数の方々は「スーパー糖質制限食」を3週間続けることから始めています。最初は余分な水分から減ってゆきますから、3週間で5~8kg、10kgと減量に成功した方も沢山おられます。体重の減ってゆくのを愉しみながら、友人や仲間とゲーム感覚で実践している人も多いのです。血糖値が正常値に安定し、標準体重に近づいてきた場合、昼食だけ主食を摂る「スタンダード糖質制限食」または、夕食のみ主食を抜く「プチ糖質制限食」に移行するのもよいでしょう。ただ、減量に成功したからといって、元の糖質過多の食習慣に戻ってはいけません。再び血糖値は上昇し、体重は増え始めます。ある程度の緊張感を持って、糖質オフの食事法を継続してください。ダイエットは辛く、苦しいものという考え方は、すでに過去のものになりつつあります。むしろ糖質漬けの不健康な食事を制限することが、知識人としてのライフスタイルの一部になってきているのです。大病をしない、早死にしないための、自分自身で身を守る唯一の方法だからです。健康であるということは自らの人生を充実して生きることができ、ライフワークに情熱を持って取り組むことも可能でしょう。「糖質制限食」は、健康な身体を自分で取り戻せるという、希望と幸せをもたらしてくれるでしょう。自分のライフスタイルに合った新しい食習慣を!「糖質制限食」を長期に継続させるコツは、自分にとって実践しやすい食習慣を作ることです。厳格過ぎる食事制限を、無理をして行うのではなく、血糖値を急上昇させる、高糖質の食事、食品を避けることだけを原則にしましょう。あとは臨機応変のコントロールです。時には食べたいものを、量を考えて摂り、その後は糖質をカットするというやり方であれば、挫折することなく続けられます。カレーの好きな男性はかなりいらっしゃいますが、ご飯の量は半分にして、野菜サラダを一緒にたっぷり摂りましょう。またお菓子類の好きな女性にとって、これを制限するのは、大変かもしれません。食べたいものを無理に我慢すると、ストレスが溜まります。食べたくなった時は、少しの量を食べましょう。和菓子であれば甘さを控えた上質のものを選び、お茶を飲みながら、ゆっくり食べる。洋菓子も甘さを控えた上質のお菓子にし、まずお砂糖を入れないコーヒーか紅茶を飲み、ゆっくり食べましょう。一度にいくつも食べるのは控えましょう。株式会社「京都高雄倶楽部」「糖質制限ドットコム」では低糖質の食品を数多く取り扱っています。高雄倶楽部では糖質を制限したシナモンパン、おからのパウンドケーキ、京まんじゅう他があり、電話かFAXで申し込めば宅配してくれます。また、「シャトレーゼ」では、大豆粉で作ったふわふわのスポンジケーキ(糖質5・0g)や、生クリームを使ったプリン(糖質2・0g)、アイスクリーム(糖質6・2g)を市販しています。いずれも高糖質を気にすることなく、食べることのできるスイーツです。更に、「糖質制限食」を続けているうちに、甘いものを食べたくなくなる方が多いのです。これは砂糖中毒から解き放たれたためでしょう。「糖質制限食」を長く続けるためには、あれもダメ、これもダメといった厳しい制限をするのではなく、無理をしないで、自分のライフスタイルに合った食習慣を作りましょう。白いご飯、白パン、白砂糖を大量に使った、高糖質の食品を避けることだけを原則にし、日常の食習慣にしてしまえば、いつの間にか、それはフランスやイギリスの人に生まれ変わったかのように、オシャレな食事のあり方として定着するようになります。そして、米飯の量も自然に減っていきます。日本人の食習慣である白いご飯など食べなくても、健康のための素敵な食習慣を続けてゆくことに、愉しみを見出していただきたいと思います。長く継続するためのコツとして、次のルールを示しておきます1一日350~450gを目安にして、できるだけ野菜を毎食摂りましょう。食物繊維の豊富な野菜から食べることをお勧めします。これは主食を減らす「野菜ダイエット」になります。2お豆腐は超健康優良食品です。薄揚げ、厚揚げも使ったお料理で、毎日積極的に摂ってください。主食の代わりとなり、「お豆腐ダイエット」になります。3主菜、副菜には、いろいろな食品を多種類摂りましょう。赤の色の食品=お肉やトマト、赤ピーマン、マグロ等。オレンジ色の食品=エビ、カニ、鮭、ニンジン等。黄色=パプリカ、ゆず、レモン、卵他。緑色=ホウレン草、小松菜、ブロッコリー、ピーマン、大葉、キュウリ、グリーンアスパラガス、ゴーヤ、枝豆他。青色=青背の魚、サバ、イワシ、サンマ等。藍と紫=なす、赤じそ、紫キャベツ、ブルーベリー、イチジク等。以上、7色の食品を私は「レインボーダイエット」と呼んでいます。これにプラス、白の食品=大根、キャベツ、レタス、カリフラワー、玉ネギ、白菜、ニンニク、モヤシ、カブ、ショウガ、白身魚、豆腐他。茶色の食品=玄米、シイタケ、マイタケ、納豆、味噌、クルミ、アーモンド、ゴマ。黒色=昆布、ワカメ、ヒジキ、コンニャク、もずく等です。これら10色の、沢山の食品を摂ることで、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、タンパク質など、バランスの良い食事を続けることができます。以上10色の食材を私は「カラーバリエーション・ダイエット」と名付けているのです。4夕食の主食は必ず制限し、主菜、副菜をたっぷり摂りましょう。5食べたいものがあれば無理をしないこと。量を加減し、自分に合った食事のコントロールをしましょう。6「野菜ダイエット」「お豆腐ダイエット」「レインボーダイエット」さらに「カラーバリエーション・ダイエット」で大病にならない、健康な食生活の幸せを実感してください。2年間継続できた「糖質制限食」メニュー私たちの家では、朝食を摂らないのが一つのパターンになっています。も私も物書きの仕事ですから、取材で出かけない限り、一日中、原稿を執筆するというデスクワークです。常に締め切りが迫っているという生活ですから、早朝から執筆に取りかかる日も多く、原稿を書いている時は、食欲を全く感じることはありません。●朝はコーヒーにラカントSかパルスイートを少々、生クリームを加えてマグカップに1杯。または自家製の野菜ジュース。これはリンゴ1/2個に、その時冷蔵庫にある野菜、セロリ、ブロッコリー、ホウレン草、ニンジン1/3本などに豆乳を入れ、ミキサーにかけたもの。またはトマトジュース1杯を摂ります。1「サンドイッチ」 昼食は全粒粉のパンか黒パン、糖質制限パン(京都高雄倶楽部の製品)に、バター、マスタードを塗り、レタス、糖質ゼロのハム、スライスチーズ、トマトの薄切りを挟んだサンドイッチ。それにゆで卵1個、野菜スープかサラダを添えています。2「薄揚げのピザ」 昼食に薄揚げのピザを作る日もあります。薄揚げ1枚にピザ用のチーズをたっぷり載せ、スライス玉ネギ、薄切りトマト、細く切ったピーマンを並べ、塩コショウ少々を振り、上にピザ用チーズを振りかけます。もう1枚の薄揚げには、ピザ用チーズ、きざみ青ネギ、シラス、桜エビを置き、コショウ少々、ピザ用とろけるチーズを一番上にたっぷり載せます。オーブンで約10分程度焼いて、チーズが溶けてくれば出来上がりです。洋風と和風のピザは、あっさりとして美味しくいただけます。3「十割そば、シラタキ素麵」 時には十割そばをゆで、めんつゆに大根おろし、きざみネギ、みょうが、ゴマ、カツオブシ、のりなどを加えます。ホウレン草のおひたし、温野菜と一緒に摂っています。夏の暑い季節、冷やし素麵は毎日でも摂りたくなるお料理ですが、1束で35・1gの糖質があります。したがって素麵の量を減らし、1/2束を一度沸騰させ、シラタキ1袋と、レタス2~3枚を細く切って一緒に湯がき、冷水で洗ってガラスの器に盛りつけます。めんつゆに細切りのキュウリ、小さめに切ったトマト、細切りにした薄焼き卵を加え、おろしショウガ、きざみネギ、ゴマなどの薬味を入れていただきます。さっぱりとした夏らしい一品で、試食をされた方々に大変好評です。シラタキやお豆腐は、「糖質制限食」を続けてゆく時の、優れた食材です。4「シラタキの焼きそば風」 糖質の高い中華麵を避け、私たちの家では、シラタキの焼きそば風のお料理を作ることもあります。薄くスライスしたニンニク、みじん切りのショウガ、赤唐辛子1本をきざみ、オリーブ油でさっと炒めます。そこに薄切りの豚肉2枚を一口大の大きさに切り、エビと一緒に両面をじっくり焼きます。薄切りしたゆで筍、白菜、キャベツ、玉ネギ、シイタケ、エリンギを加え、塩コショウをして炒め、さっと湯がいたシラタキを入れて、更に炒め、おしょうゆを少し回しかけ、薄味に調えます。お皿に盛り、和ガラシとお酢、おしょうゆでいただきます。五目焼きそば風の一品です。私たちの家では、間食はほとんどいただきません。コーヒーまたは紅茶を飲むくらいです。ただ、簡単にできるチーズのスナックをご紹介しておきましょう。5「プロセスチーズのおつまみ」 プロセスの切れてるチーズをクッキングシートの上に並べ、チーズの上に桜エビを少しずつ載せ、レンジで約3分温めます。チーズが柔らかく膨れてきたらシートからはがしてお皿に並べ、きざみパセリ、黒コショウを振っておきましょう。冷めるとカリッとした食感のスナックとして、赤ワインや糖質ゼロのビールのおつまみとしてもお勧めです。が「スーパー糖質制限食」を始めた2年前は、現在ほど「糖質制限ダイエット」が雑誌などで話題にはなっていませんでした。今までの家庭料理のすべてを、根本的に見直さなければならないという、試行錯誤の連続でした。主食及び糖質の高い食品、食材は完全カットし、野菜、お豆腐を中心としたメニューを工夫することにしました。そして卵料理、お魚類、海藻類、キノコ類を多用し、お肉は脂分の少ない上質の赤身のものを使うことにしました。最初の3週間で血糖値は下がり始め、体重も減りました。高糖質の食品を全面的に制限し、血糖降下剤を服用していたため、低血糖の状態になる時があり、医師のアドバイスを受け、血糖降下剤の服用を中止しました。まず薬から脱出できたのです。高くなった血糖値を薬、インスリンで無理に下げる療法を長く続けていると合併症を引き起こします。糖質制限で血糖値を上げない方法を実践すべきでしょう。4ヵ月目には、血糖値が正常値に安定、体重は20kg減。コレステロール、中性脂肪も下がり、6ヵ月後には、良好に血糖値をコントロールできている状態になりました。糖尿病という病気は、一度発症すると生涯、血糖値のコントロールに留意しなければなりません。糖質制限を途中で中断する方が時たまいらっしゃいますが、止めた時点から血糖値は上がり、再び肥満に逆戻りしてしまいます。「糖質制限食」が、自分の食習慣のスタイルとして定着することが最も望ましいのです。身体には「習慣回路」という神経回路があり、新しい習慣を続けていると、自動的にこの回路ができ上がると言われています。新しい回路ができるまで、約1ヵ月かかる。このでき上がった習慣を止めると、脳は不快感を覚えるということです。例えば、毎日スナック菓子や、アイスクリームを食べずにはいられないという場合は、悪い習慣回路ができているのです。この逆に、「糖質制限食」というよい習慣を1ヵ月続行すれば、身体にとって望ましい「習慣回路」となって定着し、糖質オフの食事がごく普通のパターンとなります。毎朝、起床して洗顔するのと同様に、日常生活の中で、習慣化されてゆくでしょう。「糖質制限食」を続けている間、私は様々な医療、栄養学に関する著書を50冊以上読み込みました。またいろいろなダイエットのレシピ本にも目を通しました。そうしたダイエットの中で、「糖質制限ダイエット」が最も理に適った方法であると確信しています。あるダイエットレシピのコンテンツには、代謝に役立つ食品として、お丼2杯の白いご飯を勧めているものもあります。血糖値の高い人にとって、一番避けなくてはならない食品です。また肥満症の方々にもよくないものです。更に別なレシピでは、脂肪を燃焼させるメニューとして、たっぷりのご飯に主菜を載せた丼物など。お肉、魚介類はよいとしても、ご飯の量が多過ぎます。白いご飯はカットし、主菜、副菜で代謝を促進させ脂肪を燃やすことはできます。代謝を促進させる食品として、ビタミンB1・B2の多い豚肉、納豆、卵、鮭、枝豆などを摂る。またクエン酸の多いトマト、レモン、お酢もよいでしょう。血行をよくするものはニンニク、ショウガ、玉ネギ、ブラックペッパーです。脂肪の燃焼を促進する食品はカツオ、マグロ、納豆、小松菜、卵、シシトウなどがよく、B2・B6が含まれています。そして脂肪の燃焼に作用するナイアシンを含む食品は、エリンギ、マイタケ、マッシュルーム、マグロ、カツオ、鶏肉などです。その他、エビ、貝類、イカ、タコもタウリンが含まれていて、よいでしょう。白いご飯を摂る必要は全くありません。「糖質制限ダイエット」では、白い米飯以外、右の食品すべてを主菜、副菜として摂るわけですから、栄養分はバランスのよい状態で減量できるのです。前にも述べましたように、2年前、が糖尿病を発症した直後から、「スーパー糖質制限食」を実施しました。白米を玄米に替え、白砂糖はすべて捨て、ラカントS、パルスイートにしました。買い置きのパスタ、おうどんも処分しました。白いパンは全粒粉のパン、黒パン・糖質制限パンのみを使うことにしました。主食の白ご飯、麵類に代わるものとしてお豆腐料理、湯葉、納豆、大豆粉、大豆パスタ(京都高雄倶楽部の商品)、シラタキ、コンニャク、オカラパウダーなどを多用し、牛乳は無調整豆乳に替え、生クリーム、チーズを多種類、以前よりもメニューに加えました。食品の購入には、成分表示をよく吟味して買うように努めています。従来摂っていた食材の中にも、炭水化物やナトリウム、糖質を多く含むものがあるからです。例えばコーンフレーク(糖質70・3g)、スパゲティ一食分(55・6g)、ビーフン一食分(55・3g)、春雨(8・3g)、中華麵一玉(62・1g)他、これは全てNGです。なお「おでん」に入れる焼きちくわ一本(13・5g)、はんぺん一枚(11・4g)、さつまあげ一枚(13・9g)も意外に糖質が高いので、控えるようになりました。6「我が家のおでん」 私たちの家の「おでん」は、厚揚げ、がんもどき、木綿豆腐、ロールキャベツ、コンニャク、大根、ゆで卵、イワシ、カニのつみれといったものです。一度に完食しなくても、作り置きのできるお料理です。「糖質制限食」を2年半継続してきましたが、中断することは一度もなく、現在も糖質オフの食生活を継続しています。これだけ続けることができたのは、開始した時から、生活習慣病を発症させる悪い食習慣を、徹底して良い食習慣に改善することを、第一の目標にしてきたからです。それまでの糖質過多の食事を続けていたのでは、いずれ生命に関わる大病をする危険性は高かったのです。糖質を制限する食事は、続けてゆくうちにそれが習慣となり、自分のライフスタイルとして定着しました。長く続けるためには、決して無理をしないことです。自分のできることを、実行し、よい習慣回路を作りましょう。血糖値が下がり、瘦せやすい体質になった時には、今までの努力のご褒美に、少し糖質のある食材を加えるというのが、私たちの方法です。あまり厳密過ぎる制限は長続きしないのです。「糖質制限食」も美味しくなければ、長くは続けられません。私の家では、一食あたり薄力粉9g(糖質6・6g)、パン粉3g(1・8g)、片栗粉3g(2・4g)など、量を調整してお料理に利用しています。7「一口カツ」 パン粉にオカラパウダーと粉チーズを少々混ぜて、フライ用の衣にし、一口カツを作ります。赤身のお肉、豚肉を一口程度の大きさに切り、両面に塩コショウする。鮭の切り身も一口大に切る。水切りした木綿豆腐も一口大の大きさにし、以上の具材を、薄力粉、溶き卵、右に述べたフライ用の衣につけて揚げます。ゆず味噌を少量つけていただきます。タルタルソースをつけても、美味しい一品になります。レタス、トマト、キュウリなど野菜サラダも同時にたっぷり摂ることにしています。豚肉、卵、お豆腐はタンパク質があり、鮭、豚肉、トマトは代謝を上げる食材です。この料理には、ワカメスープなどを添えます。8「お豆腐の手巻きずし」 糖質の高い酢飯の替わりに、木綿豆腐を使います。水切りした木綿豆腐を一口大の長方形に切って、お皿に入れておく。別の大皿にタイ、マグロなどのお刺身、イクラ、一口大に切った薄焼き卵、スライスしたキュウリ、縦半分に切った大葉、サニーレタス、のりを並べます。手のひらに、幅約5cm、縦約10cmののりを置き、その上にお豆腐、大葉、お刺身を載せてのりで巻き、ワサビじょうゆでいただきます。お刺身の替わりにイクラ、薄焼き卵とキュウリを巻くのも、美味しく食が進みます。この他にソテーしたエビ、焼き肉、アボカドなどをのりとサニーレタスで巻くのも良い。このレシピは、どなたにも大変好評で、さっそく自分で作った方が、かなりいらっしゃいます。材料さえ揃えておけば、男性の方も手軽に作れるでしょう。9「お豆腐ハンバーグ」 合びき肉200gに、水切りした木綿豆腐1丁を割りほぐしてボウルに入れ、パン粉大さじ2を加え、塩コショウをして混ぜる。玉ネギ、生シイタケをきざみ、オリーブオイルで炒めたものを、ボウルの具材に加え、粘りが出るまでよく練り合わせる。ミニハンバーグの形を作り、バターをひいたフライパンで両面を焼く。お皿に5~6個置き、ハンバーグの上にトマトピューレを少量載せる。付合せの野菜として、ホウレン草に塩コショウをしてバターでソテー。エリンギ、シメジもソテーして、サニーレタス、トマト等とお皿にたっぷり盛る。トマトスープも添える。糖質制限の丸いパン(京都高雄倶楽部商品)を横に切り、バターとマスタードを塗り、レタス、薄切りチーズ、トマト、スライス玉ネギと一緒に挟み、ハンバーガーを作る。ラップに包んで、ゆで卵とともに、お弁当にします。10「欧風オムレツ」 糖質ゼロのハム、玉ネギをきざみ、マッシュルームと一緒に炒める。溶き卵4個を加え、塩コショウをする。バターをひいた20cmのフライパンで片面を焼き、卵が半熟の状態で、上にくし型に切ったトマト、モッツァレラチーズ、オリーブとバジルを載せ、弱火で2~3分ほど焼く。ズッキーニを輪切りにし、塩コショウ、オリーブオイルで両面を焼き、レタス、キュウリを添える。生クリームを使ったホウレン草のポタージュスープを添えます。これもいろいろな色の食材を使った「カラーバリエーション・ダイエット」の料理です。11「厚揚げのグラタン」 厚揚げ1枚の1/2を1・5cmほどの厚さに切り、軽く湯がいてザルに上げる。ブロッコリーは小房に分けてゆでる。小さめに切った糖質ゼロのハム、細切りの玉ネギ、マッシュルームをオリーブ油でかるく炒め塩コショウをする。耐熱皿にバターを塗り、厚揚げ、炒めた具材を入れる。生クリーム大さじ4、マヨネーズ大さじ4杯をよく混ぜ、耐熱皿に入れた具材によくからめる。ゆでたブロッコリーを具材の周囲に並べ、ゆで卵2個を半分に切ったものをその間に入れる。上からとろけるチーズをたっぷりかけ、オーブンで約20~25分焼きます。チーズが溶けてきたら出来上がりです。糖質の高いペンネ、ホワイトソースをカットしたグラタンです。12「お豆腐の他人丼」 水切りした木綿豆腐1丁を耐熱ボウルに入れ、よくほぐしてレンジで温める。一口大に切った牛肉100g、1・5cmくらいの長さに繊維に沿って切った玉ネギ、生シイタケをカツオのだし汁に入れ、減塩しょうゆ大さじ2、ラカントS小さじ2を加えて煮込む。溶き卵2個を流し入れ、2~3回混ぜ、卵が半熟になったら、ふたをして蒸す。卵は柔らかく仕上げ、温かいお豆腐の上に載せる。ワカメ、薄揚げ、青ネギを入れたお味噌汁、ホウレン草のゴマ和え、または小松菜のなめこ和えおひたしを添えます。13「カリフラワーのチーズ焼き」 カリフラワーを小房に分け、湯がく。トマトは大きめに切り、ナスは乱切り、玉ネギは2cmくらいに切り、エリンギも一口大に切る。フライパンにオリーブ油、ニンニク、赤唐辛子1本を入れて炒め、むきエビ50gの両面を焼く。そこにカリフラワーと切った野菜を加え強火で炒め塩コショウ少々。火が通ったら大さじ4杯のパルメザンチーズを振りかけ、さっと混ぜる。お皿に盛り、上からパルメザンチーズを振る。カリフラワーの替わりに水切りの木綿豆腐1丁を一口大にちぎって入れ、塩コショウ、カレー粉を振りかけて野菜を炒め、お皿に盛り、上からパルメザンチーズ大さじ1杯ほどを振るのもよいでしょう。「カリフラワーのチーズ焼き」のアレンジ、「木綿豆腐のドライカレー」になります。14「大葉の一口餃子」 キャベツとニラは粗くみじん切り。ボウルに豚ひき肉200g、おろしショウガ、減塩しょうゆ小さじ2杯。全部の具材をボウルに入れてよく練り、30分ほどおく。具材を一口大の大きさに丸め、フライパンにゴマ油を入れ、両面に薄く焦げ目がつくまで焼く。お皿にサニーレタス、大葉、のりを置き、焼いた肉をのりと大葉、またはサニーレタスで包み、酢じょうゆでいただきます。シシトウ、ナスの素揚げを添えます。15「野菜スープカレー」 昼食、夕食のどちらでも食べられる、「野菜スープカレー」も時々作ります。糖質ゼロのベーコン、マッシュルーム、ズッキーニ、大きく切った玉ネギ、乱切りのニンジン、ナス、一口大のカリフラワーを、バターを溶かしたお鍋で炒め、塩コショウし、カレー粉を振り、まぶしながら更に炒める。水、ホールトマト缶詰1/2缶、カレー粉を加えて煮込む。野菜が柔らかくなったところで固形のカレールウを少量加え全体を混ぜ合わせ、塩コショウで味を調え、10分程度煮込んで出来上がりです。ご飯は使わず、糖質制限パンか、黒パンにバターを塗って一枚、添える日もあります。大きく切った野菜でボリュームがあり、「カレースープ」だけでも、満足できる一品です。デザートとしてイチゴ5粒を薄切りし、ラカントSとヨーグルト、生クリームを混ぜ合わせたフルーツヨーグルト。または、自家製の豆乳プリンなどを添えています。辛味のある「カレースープ」の後に、少し甘さのあるデザートがさっぱりとした美味しさを感じさせてくれると思います。以上15品の、「糖質制限食」レシピは、私の家で作ってきたお料理メニューの一部です。2年間、糖質オフの食事を続けた一例として挙げてみました。高糖質の食品を極力避けなくてはならないため、様々な工夫が必要になります。各ご家庭で、その家独自のお料理、制限食のスタイルを作っていただければ幸いです。家庭食と外食のバランスを流動的に我が家では、パートナーのの工夫もあって、基本「家庭でのスーパー糖質制限食」を継続している。この時、パートナーばかりに負担を負わせ過ぎていると必ずストレスが溜まる。それを解消する方法は、2つある。まずは私が時には外食して、家にいるパートナーを休ませてあげることである。もうひとつの方法は、男も厨房に入って手伝う、自ら調理をすることである。「家庭内糖質制限食」と「糖質制限外食」を、それぞれの職業やビジネス時間に合わせて、臨機応変に組み合わせていくことが大切だ。例えば糖質制限食を11年間続けている医師は、家から2分の小料理屋「万吉」で、刺身を中心としたお気に入りメニューを外食。その他にやはり、自宅と勤務先の病院からも近い、福王子のスペイン料理店「カフェ・ハルディン」に足しげく通っているようだ。「カフェ・ハルディン」は緑の中庭もある住宅街の洒落たレストランだが、京都・高雄病院広報部長の新井哲也さんの提案で、店主の宮本永一さんが次々と「糖質制限メニュー」を開発。「糖質制限人」にとっては、極めて便利な店となっている。同店の糖質制限ピザは、マルガリータ、ソーセージとベーコンの2種類があり、いずれも糖質は約15g。スペイン料理の定番である魚介のパエリアも、玄米使用で糖質約15gと、玄米なしで7g、こんにゃくライスを多く使用したバージョンもあり、細かく分かれている。また、ムール貝の漁師風、エビのニンニクオイル炒め、生ハムなどのタパスや、肉料理、魚料理もある。ドリンクも糖質0%の発泡酒、焼酎水割り、お湯割りが各種、グラスワイン赤白とあり、先日うかがった時は、アルコールゼロの赤ワインまで出してくれた。「カフェ・ハルディン」の場合、いいのは価格がリーズナブルであることだ。例えば、生ハムサラダ、糖質制限ピザ、デザート、コーヒーが付いた「糖質制限ピザセット」が2380円、糖質は約20g。値段と糖質量、そして味、この3点がセットになってこそ、通いがいのある「糖質制限レストラン」となる。こうした「糖質制限外食」に便利な居酒屋やレストランを2、3軒発掘しておくとよい。例えば、マスターやシェフが顔馴染みで、やる気があるなら、糖質制限料理メニューの導入を提案してみるのも面白い。そのぐらいのチャレンジ精神と向上心、そして顧客のリクエストに応える親切心があれば、きっと「繁盛店」へと早変わりすることだろう。つまり「糖質制限食」は、通っている店まで大きく変える可能性を秘めている。巻末に「糖質制限食」を外食で行う場合、通いやすい「いい店」を紹介しておいた。「糖質制限食」だからといって、ボリュームが少なく、見た目も味も美味しくないのは問題外だ。しかも最も大切なのは味がよく、サービスもよいこと、そして値段が決して高くないことだ。昨今、糖質制限メニューに取り組んでいるレストランが増えているのは喜ばしいことだが、中にはランチで7000~8000円、ディナーで2万円台という店も少なくない。これでは、よほどの高額所得者でない限り通えない。二人で四万、ワインも入れて五万円なら、家で美味しい肉を食べた方がいい。一般のおやじがダイエットや生活習慣病の克服に足しげく利用するなら、ランチで高くとも1000~2000円台、ディナーで5000円前後の使いやすい価格に抑えたいところだ。東京でも中華料理の「梅 メイ花」やイタリア料理の「ボタニカ」など糖質制限メニューがリーズナブルに、しかもファ美味しく食べられる店が増えているのは有難いことだ。今、手軽な糖質制限の店が揃っているのは、医師のお膝元である京都だ。私が京都に行くと必ず行く北 きた山 やま通りの和牛焼肉「 どお南 なん山」では、糖質オフの「和牛焼肉セット」(ローストビーフまたは炙り牛刺身の ざんオードブルサラダ、京たんくろ和牛か短角和牛の焼肉、九条ネギと肉味噌チーズの焼きいなり、さらに糖質オフデザート)で3000円。糖質9・2gである。また「糖質オフ焼しゃぶセット」(2500円)や「和牛ステーキセット」(4500円)もある。この他に「こんにゃく米のクッパ」「豆腐干 かん糸の肉味噌麵」といった450円~す750円の単品メニューも揃っている。「南山」では2日前に予約すれば、京都の寺社を回りながら「糖質制限」できる「糖質オフ弁当」(2520円)もあるし、最近では京都駅のJR在来線と新幹線をつなぐ通路沿いの食料品コーナーで「糖質オフの南山のお弁当」(1200円)も売り出した。1段目は南山和牛ハンバーグと野菜サラダ、卵とトマトのマスタードマヨネーズ和え。2段目は豆腐干糸の肉味噌麵、自家製糖質オフデザートも付いていて、出張帰りに買って、新幹線の中で味わえるのも嬉しい。また、岩倉にある夫婦で営む静かなフレンチの店「エヴァンタイユ」も、海の幸の盛合せ・キュウリのソース、オマール海老冷製コンソメ、スフレ鴨のローストにキャベツとキノコ、糖質制限パン、コーヒーという「糖質制限コース」が5000円。しかも他のほとんどのメニューで、糖質制限対応に変えてくれる。こちらは夫妻とも糖質制限体験者だ。手軽なスペイン料理、美味しくボリュームたっぷりの和牛焼肉、そして時には高級フレンチと、京都には「糖質制限御三家」ともいえる名店が勢揃いしている。これに加えて、私は堺町三条の「イノダコーヒ」本店で食べられる、ぶ厚いハムサラダとコーヒー(「アラビアの真珠」)や、薄い豚カツを野菜サラダに混ぜて食べるカツと野菜サラダを糖質制限メニューに加えている。砂糖にも糖質制限人にはOKのパルスイートが用意してあって、嬉しい限りだ。京都の場合、更に安くて、新鮮な刺身や豆腐料理などが楽しめる地元の京都人御用達の小料理屋や居酒屋が沢山ある。馴染みになっておけばいい。糖質制限の外食を長期に継続していくには、こうした「糖質制限レストラン」と糖質制限に応用しやすいメニューが豊富にある小料理屋や居酒屋とのベストミックスが重要となる。医師は、これに加えて、高級ホテルではない、ビジネスホテル級のホテルバイキングをよく利用している。「高級ホテルのバイキングは、おばちゃんでいっぱい。おやじは、安いホテルのランチ・バイキングで充分」と医師は言う。確かに自分で糖質が少ない料理を選べるホテルバイキングは、外食糖質制限には便利である。高級ホテルのランチ・バイキングに行っても、昨今ではチャーハンとかカレーという糖質の高い炭水化物メニューが多いから、半分以上は食べられない。ならば、野菜サラダ取り放題に、スープ、メイン料理2~3品ぐらいですませておけば、簡単かつ早く、安くすませられていい。医師の話を伺っていると、外食にするか家庭食にするかの判断が素早い。例えば、いつも使っている小料理屋がたまたま満員で使えない時がある。そんな時は、糖質制限メニューを出している遠くの店にわざわざ行ったりせず、近くの生協に行って、小料理屋で注文するような定番メニューを自分で買って、自宅で家庭食にしている。つまり、いちいち毎回の食事の選択に悩んだりしない。昼食にしても、ビジネスホテルのバイキングが混んでいたら、サッとセブン‐イレブンなどのコンビニに入り、蒸し鶏サラダや冷奴、チーズという定番メニューに切り替える。この方式を東京で応用するのにぴったりなのが、ファミリーレストランだ。ご飯と味噌汁が別注でき、サイドオーダーも多いので、メイン料理とサイドオーダー、それにドリンク・バーなどの組み合わせが自由自在。しかし、これもあまり続けるとメニューが限られているのでどうしても飽きてくる。悩んだあげく、つまらない店に行くぐらいなら、昼はコンビニに行って、自分で決めた糖質制限メニューを黙々と食べた方がいい。その代わり、夜は家庭食あるいは外食で居酒屋へ行くとか、一日のうちでも内食と外食、1週間のうちでも内食と外食のバランスを考えながら、とはいえ深く考え過ぎずに実践していった方がいい。そのあたりの外食における糖質制限の仕方やコツは、既刊の『外食・ズボラ・満腹OKダイエット「糖質制限食」の驚くべき効果』(ワニブックス[PLUS]新書)で触れておいたので、街中での実践の際に是非、参考にしてもらいたい。こうして、家庭内での糖質制限食と外食での糖質制限食をバランス良く繰り返しているうちに、やがて自分で最もやりやすく、続けやすい「糖質制限食」の理想的パターンが分かってくる。後はこのパターンを増やすか、時々店を替えるなどして、変化をつけ進化させていくだけである。男子も「糖質制限食」に興味を持ち、厨房に入るべし「糖質制限食」で、家庭の食事と外食を使い分ける場合、「糖質制限効果」を中心に考えて、そのバランスを決めるといいだろう。例えば、我が家ではパートナーのがこの章で紹介したオリジナルの「糖質制限食メニュー」をキッチリと調理してくれるので、外食より遥かに「糖質制限」の効果が出た。ただ、毎日こうしたメニューを作るのは大変なことである。だから私は取材などを兼ねて1週間に1、2度は東京や京都に出て、外食での「糖質制限ライフ」を送っている。その間、自宅にいる家族もひと休みというわけだ。更に、家族でも揃って外食に行き、ランチで野菜中心のヘルシーなビュッフェを食べたり、地元食材中心の和食店で、美味しい豆腐料理などを食べている。我が家では、パートナーの協力のもと、糖質制限食を実践しも50kgというスリムな体型を維持している。私の場合、糖尿病治療もあって、基本的に「スーパー糖質制限食」を維持しなければならない。そこで、家庭食を中心とした糖質制限食で締め、外食による会食時にわずかながら制限をゆるめるスタイルを取っている。これが逆になっても構わない。すなわち、外食で基本的に締め、家庭食で少し緩める方法だ。しかし、2年間継続した経験では、やはり家庭内の方が厳しく制限できる。「糖質制限食」を始めると、やはりおかずの種類が増えるので、どうしても食費や家計のエンゲル係数が上がる。しかし、次第に改善され、効率のよいものにしていくことも長期間続ける大切な要素だ。食材としてよく用いる肉類、魚介類はまとめ買いし冷凍保存しておけばいい。チーズ、豆乳といったよく使う食材も、最初は取り揃えるのにお金がかかるような気がしたが、一方でお米やパスタなど使わないものは一切買わないから、差し引きトントンである。以前よりかかるものといったら、飲んでもOKな蒸留酒、赤ワイン、糖質ゼロのビールの酒代ぐらいだろうか。それでも糖尿病が治らずに、インスリンなどを打って高い治療費を医者に払うことを考えたら、ずっとマシである。だが、調理を家族まかせにしているだけでは、いつか不満が溜まる。毎日の料理だけでも大変なのに、糖質制限への心配りをするとしたら家庭の主婦には更なる負担がかかる。それを解消する外食以外の方法は、まかせきりにせず一緒に作ることである。男が一番やってはいけないこと、それは奥さんを「管理栄養士」代わりにして、糖質制限を任せてしまうことだ。例えば、医師や私の本を買い込んで奥さんに読ませ、自分は何もしなかったという夫に会ったことがある。この場合、糖質制限ライフは当然長続きしなかった。むしろ「糖質制限食」の本当の効果は、それを行う夫婦や家族が、糖質制限食に関する知識や情報を共有して、家族ぐるみでそれを愉しむことから生まれてくる。それまでは、お互い異なる分野の物書き故に仕事に集中し、糖尿病になる前は早く食事をして机に戻ろうとし、から「食べるのが早過ぎる」と注意されたものである。確かに早食い、ドカ食いは、血糖値を上げ、肥満のもととなり、糖尿病の原因となる。「糖質制限食」を作ってゆっくり食べることで、そうした「家庭」の時間も取り戻したのだ。最初の1年間は「1日3食」をキッチリと守っていたが、2年が過ぎる頃から、「1日2食」に切り替えた。朝はコーヒー、ゆで卵。昼食後、自宅で執筆する場合は、夕刻まで食べない。この間、散歩などの運動も試みる。夕食は、夜、寝る3時間前までに摂った方が健康上いいというので、17時に作り始めて遅くとも20時には食べ終わる。その後、残りの仕事を片付けて、体脂肪を燃やすゴールデン・タイムと言われる23時には床に就くようにする。そして7時間寝て、朝5時半か6時には起きる。その繰り返しである。糖尿病になる前は、徹夜で原稿を書き、その間に夕食後にお腹が空くので、深夜に夜食(自分で作れるそば、うどん、パスタ類が多かった)を食べ、朝、原稿を編集部に送った後、目玉焼きにベーコンかハムとトースト、あるいは白いご飯を食べるという「糖質制限食」とは、全く反対の食生活を送っていた。そして、原稿執筆となると2、3日は椅子に座りづめで動かないという極めて運動不足の生活を送っていた。しかも、締め切りで忙しいとにすべての料理を作ってもらい、自分は時間を気にして、単に食欲を満たすため黙って早メシ、大食いをするという、今考えたら「最低の食生活」を送っていた。その結果、昼間寝ていて運動しない上に、夜はまたドカ食い、体脂肪を燃やすべき深夜に再び炭水化物をドッと摂る。そして、朝、仕事が終わって寝る前に、また朝食として炭水化物を大量に摂る生活を続けていたのである。まさに糖尿病にかかっても仕方のない、インスリンの大量放出と体脂肪蓄積を続ける、極めて危険な生活だった。それでも若いうちは基礎代謝が高いため、じっとしていてもエネルギーは消費される。だが、加齢とともに基礎代謝は低くなる。つまり、若い頃と同じように食べ、運動不足の生活をしていれば、当然エネルギーは消費されなくなる。糖質を摂り過ぎて、消費あるいは利用できずに残った糖は、中性脂肪に変換されるか内臓に蓄積される。あるいは血管内に留まり、糖尿病となり、動脈硬化や肝硬変といった生活習慣病を引き起こすのだ。「糖尿病」になる前の私には、そうした健康リテラシーも全くなく、食事も全くパートナーまかせだった。その「食生活の軽視」が、糖尿病を発症させたのだ。「理想の生活習慣」へ、改善を続けるポイントは夜だ、と気付いた私は、糖質制限食を始めると同時に、夜、仕事をあまり無理せずに、できるだけ早く寝るようにした。ともかく、太らないこと。これが糖尿病予防にとっては、最も重要なことだ。そのためには、食事と運動。そして、早く寝て、睡眠を7時間とること。この3つが基本となる。食事の中で、特に気をつけなければならないのが「夜のドカ食い」だ。夜に糖質を多く含む食品を大量に摂ると、血液中の血糖値が上昇し、それを下げるためにインスリンが出て、ブドウ糖をエネルギーに変える。この時、余分に摂取したエネルギーを脂肪として蓄える働きを持っているので太ってしまう。だから、夜にこのインスリンを極力出さない工夫が必要である。摂った糖質をエネルギーにして蓄えるインスリンが活発に分泌されるのも、夜である。これが朝になると、グルカゴンというホルモンが多く出てエネルギーを放出してくれる。したがって、朝しっかり食べても、グルカゴンが沢山出て、エネルギーに変換される。逆に夜、沢山食べるとエネルギーが脂肪に蓄積されやすくなり、太りやすくなる。だから、夜は遅い食事を避け、あまりカロリーの高くない食事にする。その代わり、朝食はしっかり食べると瘦せやすくなる。また、インスリンの分泌量は、1回の食事の摂取エネルギー量で決まる。そのため、毎回の食事の量が多い人は、どうしてもインスリンの分泌量が増え、脂肪が蓄えられやすくなる。だから、毎日の食事量を減らし、少なめにした方が体への負担も小さくてすむのだ。糖質制限を続けていれば、インスリンを大量に追加分泌しないので、夜、脂肪として蓄えられることはないが、より生活習慣を改善するには、身体のメカニズムを活かして、夜早く寝て、早起きする生活に変えた方がいいだろう。しかも、早起きを続けていると、当然、夜は早くに眠くなり、早寝の習慣が付いてくる。こうして、1つでも身体によい習慣を続けていると、さらに次々と生活習慣を改善したくなってくる。糖質制限食生活3年目に入った今年は糖質制限食に加え、思い切って生活を朝型に変えた。これにより、毎日の行動が調節できるようになり、即座に判断し選択できるようになった。こうして、単なるダイエットや血糖値の改善のみならず、更なる生活習慣の改善を図ることで日々の楽しみを増やしていくこと、これこそが停滞期にもなりがちな「制限中期」をうまく乗り切るコツである。「基本」は糖質制限生活。それに早寝、早起きの生活を続けていると、朝、目覚めるとすぐテキパキ動き、活動的なリズムを作れるようになった。すると行動に勢いが出てきて、何か更にやれそうな気がしてくる。「糖質制限食」、特に「スーパー糖質制限食」は、慣れても心のどこかに「制限」という二文字が引っかかる。そこが「欲」との戦いなのだが、私の場合、早寝、早起きという「睡眠欲」を満足させ、それで作った「生活習慣の改善」を、更なる「大きな欲」の実行へと移した。この間、取材、執筆、締め切りという忙しい仕事がそのリズムを乱すことになるが、いつまでも夜遅くまで頑張らないで、早く寝て、早起きして仕事のスピードを上げる。これが必要である。最後に残ったのは「心の問題」だった。それまで私自身、フリーの生活を続けているため、怠けたり、遊んでいることに罪の意識を感じることが多かった。心のどこかで「眠ること」が「怠ける」ことと同義語となり、夜、遅くまで頑張ることを美徳と思っていた。だが、これは代謝機能がまだ高い若い世代のがむしゃらな働き方であった。中年以降、こんな働き方をしていたのでは、身体がもたなくなる。「怠ける」というのではなく、「健康によく」「より効果が出る」という具合に、早寝、早起きの発想へと「価値転換」していくことが大切だ。私の場合、糖尿病になったことで、これに気付かされたわけだが、それはまさに「神様がくれたサイン」であった。その「貴重なサイン」を見逃さず、自分の年齢に合わせたリズムに生活習慣を変えたことで、ようやく健康を取り戻し、維持することができているのである。人間、同じことをしていても「加齢」のスピードは否応なく早まる。地上スレスレの「健康低空飛行」を続けていても、若いうちはよかったが、50代、60代になるにつれて、次々と行く手を遮る「高い峰々」が急に迫ってくる。その時、急に高度を上げても、避けきれなくなることも多い。そのために、50代から「健康」の高度を上げておき、高い水準を維持しながら、ラクラクと水平飛行を続けることが大切だ。私の場合、50代後半になって、いきなり目の前に「糖尿病」という絶壁が立ちはだかったが、とにもかくにも急上昇して、クラッシュを避けることができたのは「糖質制限食」という「緊急脱出装置」のおかげである。この結果、高度を保ったまま、私は次にやってきた「早寝、早起き」の健康定期便へとまた乗り移ることができたのだ。(文/)

 

糖質制限ダイエット後期「幸福」を招く「糖質制限」

第6の習慣 「健康仲間」を増やす糖質制限はマラソンのようなもの。もちろん「どういう自分でありたいか」を自身に問いかけ、我慢するべきは我慢することも大切だ。とはいえ、心が折れそうな時、自分を奮い立たせたい時、志を同じくする仲間がいれば、もう一度頑張れる!そう、糖質制限を長期的に継続する鍵は“仲間作り”にあるのだ。毎月開かれる「京都・南山」のセミナー京都にある和牛焼肉の店「 どお山」の社長、貞愛さんが、糖質制限食と出逢ったのは、 ざん2年前の夏のことだった。その頃、さんは仕事量の増加に伴う体重増に悩まされていた。「牛肉と食の安全に関する様々な問題への対応に追われ、仕入先の牧場などを回っているうちに太りだして、一時は身長151cmで60kgもありました。脂肪もみ出し療法を20万円かけて行っても効果がなかった時に、先生の本を読み、ものすごいダイエット効果があると知りました。糖質制限の理論を勉強してみると、何だ、自分のところで普段お出ししている牛肉や野菜を食べればいいのか、と分かり、試してみたら半年で8kg瘦せて52kgに。その後、また瘦せだして48kgに。つまり1年で12kg近く瘦せたのです」これは皆に教えるべきだと考えて、2011年の1月から「焼肉ダイエット」という1週間のプログラムを組んでみた。更に3月から一般メニューにも、糖質制限焼肉コースを入れてみたが、当初はまだ効果がよく分からなかった。そこで、糖質制限食について学ぼうと、毎月「糖質制限セミナー」と題する講座を始め、医師を始めとする講師を呼んで勉強会や健康によい牛肉についての知識を広める場を設けることになった。会場は「南山」の敷地内にある「南山・はなれ」。6階建てのビルで、中にはセミナー用の会議室や参加者全員が集まって食事ができる大広間もある。ここで、専門家によるセミナーを聞いた後、「南山」が開発した「糖質制限焼肉のコース」を味わってもらうという趣向である。私も既に数回出席させていただいているが、回を追うごとに「糖質制限仲間」が増えている。「糖質制限セミナー」で知り合ったのが、京都市上京区烏丸通上立売上ル柳図子町の「河村能舞台」で、定期能を演じている能役者の河村博重さんである。河村さんは、2012年3月末に具合が悪くなり、大嫌いな病院で診てもらうと糖尿病と判明した。当時、空腹時血糖値154、HbA1c9・9で、身長158cm、体重は66kgあった。最初に通院した病院で血糖降下薬をもらい、カロリー制限で6kg減らせと言われた。その時、医師や筆者が執筆した健康雑誌「わかさ」の糖質制限特集を読んで、糖質制限食と出逢った。その後、医師や私の本を読み、文中に書いてあった「南山」の「糖質オフメニュー」のことを知り、同店の「糖質制限セミナー」に参加したのである。河村さんは、能役者のかたわら、京都造形芸術大学舞台芸術学科の客員教授も務めている。初めてお会いした時、丁寧な封書のお手紙と河村定期能舞台公演の招待状もいただいた。次に例会で私の『おやじダイエット部の奇跡』の交流会に参加された時は、「もうHbA1cが6台に下がりました」と嬉しそうに語ってくれた。その検査結果の顕著な改善結果を聞いて、おそらく本職の芸術の道と同様に「糖質制限食」をキッチリと実践されていることが想像された。「たぶん、次の検査では5台に突入して、糖尿病数値を脱出しますよ」と、私は河村さんと固い握手をして互いの健康を喜んだ。「南山」の「糖質制限セミナー」では、ゲストに招かれた漫画家で人気漫画「クッキングパパ」の作者、うえやまとちさんにもお会いすることができた。初対面のうえやまさんから挨拶されて恐縮したのだが、やがてある日、うえやまさんから「漫画家のうえやまです」と私の携帯に電話がかかってきた。なんと「クッキングパパ」に『おやじダイエット部の奇跡』の本を、医師の著書とともに紹介してくれるという。私は喜んで承諾した。後日、送られてきた「クッキングパパ」の載った「モーニング」(講談社)を開くと、主人公の荒岩課長の部下の同期で、小倉支社で働く沢村という男が糖質制限食を始めて、30kg減量。荒岩と同僚を招いて手作りの料理をごちそうするというストーリーが掲載されていた。前日から肉を赤ワインとオリーブオイルに漬け込み、チキンをよく焼いて赤ワインを振りかけ、ふたをして蒸すようにしてしっかり火を通す。ウスターソースとケチャップでソースを作りチキンにかけてまず一品。そしてもう一品は、同じようにポークとビーフにも赤ワインを振りかけて完成である。この料理を見た荒岩課長は「なるほど、この中にはほとんど糖質が入っていない」と感心する。料理には、肉と葉物野菜、横に厚揚げが添えてあり、脂肪とタンパク質が主で糖質はごくわずか。ケチャップやらウスターソースにも特に糖質が少ないものを使っているという。このボリューム満点の「赤ワインローストチキン」(&ポークとビーフ)を食べて赤ワインで乾杯。その後、荒岩課長が「糖質を摂らなければ血糖値は上がらない。ダイエットだけじゃなく血糖値の高い人にもとても嬉しい食事だ」と結んでいる。そして、同僚の家に訪ねてきた彼女と共同で料理を開発したことを同僚が明かし「あと5kg痩せたら式を挙げるぞ」と結んでいる。それに対して、部下の沢村が「ダイエットの陰に女あり」、ダイエットがうまくいっているということは、彼女ともうまくいっているんだろう、と祝福する。こうした読みは、さすがうえやまさんならではのストーリーだ。「私の焼いた糖質制限パンを食べてみてください」と、わざわざ紙袋に入れて会の当日持ってきてくれたのが、二級パン製造技能士の高瀬靖弘さんだ。兵庫県尼崎市でパン職人として活躍していた高瀬さんは、重い糖尿病にかかり、合併症で足の先端がしびれ、網膜症で左目の視力が戻らなくなる状態に追い込まれ、仕事を辞めざるを得なくなった。その時、医師や私の本を読んで、糖質制限食を始め、自ら料理の腕をふるって糖質の少ない材料を使った、見た目は本物そっくりのキツネうどんやカツ丼などを作った。写真データに収めた傑作の数々を私に見せてくれながら「僕はこれから、糖質制限の伝道師になります」と力強く語ってくれた。その後、高瀬さんはNPO法人ネット・リボーンで「糖質制限パン」作りを教える講師として、仕事に復帰した。先日の同会で「これ、食べてみてください」と高瀬さんが手提げ袋に入れて渡してくれたのが、自分で工夫して焼いたという「糖質制限パン」。帰って食べてみると、もっちりして、柔らかく、しかも歯応えがあり、実に美味しかった。「まだ左目の障害は残っていますが、検査数値は素晴らしくよくなりました」と高瀬さんは明るく笑っていた。高瀬さんの「糖質制限パン」には、糖尿病による絶望の淵から這い上がろうとする、男の気力と明るい希望がほのかに感じられた。この他、セミナーには実に様々な人が集まる。セミナー後の糖質制限焼肉の試食会に参加したのが、大阪府豊中市の「ショットバー・リー」の女性バーテンダー、松下理美さん。帰ってから早速、「糖質制限カクテル」を開発、お客様にも好評で「糖質制限食を知って、私の人生が変わりました。今が青春」という嬉しいメールを送ってくれた。また、その隣にいたのが愛知県瀬戸市で本格韓国料理・焼肉の店「金泉」を経営する林美由紀さん。彼女も全国初の「韓流・糖質制限料理」を研究、南山町のお店で提供している。糖質セイゲニストin北九州こうした「糖質制限セミナー」に参加するだけでなく、自分で組織化する人も出てきた。例えば、九州は福岡県北九州市戸畑区新池1丁目にある学習塾「三島塾」。ここでは塾長の三島学さん(62歳)を中心に「糖質セイゲニストin北九州」と名付けた「糖質制限食」を実践する人たちの月例会を塾の教室を会場に用いて、定期的に開催している。まさに「おやじダイエット部」の九州版だ。ここにゲスト講師として招かれた時、私を驚かせたのが「糖質制限ダイエット」で30kg瘦せたという籔田亜矢子さんだ。籔田さんは、細かく切ったインゲン、ピーマン、エリンギ、ウィンナーに厚揚げ入りのオムレツ、他にも大豆、ヒジキ、ニンジン、ホウレン草、ゴマなどを使った実に色彩豊かな「マイレシピ」を紹介してくれた。そして次のような信じられないダイエット・エピソードを語り始めた。「私が今、住んでいる田舎では、私が糖質制限食であまりに急激に瘦せたので、別人と思われていて“最近、籔田さんの顔見ないけど、どうしたのかしら”“そう言えば、少し前会った時、すごく瘦せたみたいだけど、どこか身体の調子悪いんじゃないかしら”という話になり、道ですれ違っても自分だと気づかれず、とうとう“最近、あの方亡くなったらしいわよ”という噂まで立つようになったんです」これには参加者も皆、爆笑。月例会ではこの他、糖質制限食について、その月の新聞報道やテレビ、雑誌の糖質制限についての特集内容を紹介。糖質制限食への反対論が出た場合には、それに対する医師のブログでの反論を紹介するなど、皆で「糖質制限食」の理論を熱心に学んでいる。このように地域ぐるみで糖質制限食を学び、実践するというのも面白い。つかんだ「小さな幸福」を大きく広げる南山の「糖質制限セミナー」の後、南山の参加メンバーと連れだって、京都の地下鉄東西線、太 うず秦天 まさ神川駅から北に100メートルほど行った場所にある、ライブハウス「憧 どう夢」で、毎月第三金曜日に行われむる「・金曜ライブ」を聴きに行った。音楽好きの医師は、1987年に友人の歯科医らとともにバンド「ターニング・ポイント」を結成。当初、年1回のライブ活動を開始。92年から年3回、94年11月からはマンスリーライブを開催している。エレキギターに、ベース、サックス、キーボードもついた本格派バンドで、レパートリーも、ビートルズ、ローリングストーンズ、イーグルス、エルトン・ジョン、CCR、またドリフターズやテンプテーションズなどのR&B、キャロル・キングやカーペンターズ、日本の懐かしいポップスなどを、医師を中心に、京都・診療所の女性看護師と受付嬢が、デュエットで歌う。曲の合間に医師がマイクを持って、糖質制限についての最近の話題や、愛犬「小豆」ちゃんがアトあずきピーにかかり、糖質11%以下のドッグフードを探して「糖質制限食」で治したというトリビアを披露する。2ヵ月連続でライブを聴いたが、モップスの「たどりついたらいつも雨降り」を聴くと、疲れ果てた男が糖尿病患者に思えたり、イーグルスの「テイク・イット・イージー」を歌う医師のステージ姿を見ていると、私には「糖質制限食」を長期間続けるコツを教えられているような気がした。すなわち、「テイク・イット・イージー」(気楽にいこうぜ)の精神なのだ。計算が難しく、制限が難しく、患者の多くが実践できず継続も難しい従来の「カロリー制限」療法では治療できない患者を救うところに「糖質制限食」の意義がある。そして、「糖質制限食」による「小さな成功」で自信を取り戻した患者たちが、更によりよい健康を目指して、毎日の食事内容や運動に気を配ったり、良質な睡眠時間をたっぷり取るなど、自分の生活習慣を改善しようという前向きなモチベーションを得るところに価値がある。だから「テイク・イット・イージー」、気楽に構えて長期間続けなくてはいけない。医師のバンド活動も、ブログも、週末のテニスも、忙しいと言えば忙しいのだが、糖質制限食継続の役に立っている。医師のライブ活動のように「糖質制限」という小さな「欲」をコントロールする分、バンド活動のように本来やりたかった「大きな欲」を解放する。これも実に理に適った継続方法ではないか。ふすまパンで目指す「みんなのパン」東京でも、こうした「糖質制限食」で、それまでの人生を変えてしまった人がいる。先日、久し振りに「みんなのパン」を訪れると、同店の食生活指導士で、奥さんの伊藤隆子さんが「イトウタカコさんは、素晴らしい結果でした」と記された病院の検査結果を見せてくれた。2年前の7月29日、伊藤さんは、身長157cmで体重63・9kg。ウエストは88cm、HbA1cは5・6で、担当医からメタボリック・シンドロームと糖尿病予備軍と診断された。中性脂肪も192と高かった。それが、2年後の2012年7月の検診結果では、体重がなんと18・2kg減。ウエストも19cm減、中性脂肪は53、LDLコレステロールも150から87に急降下、HDLコレステロールは逆に56から64に増えている。HbA1cも5・1となり、糖尿病の予備軍とメタボリック・シンドロームから見事に脱出したのである。これも嬉しいことに、私の糖質制限本の第一弾である『糖質制限ダイエットで何の苦もなく糖尿病に勝った!』(扶桑社新書)を読み、糖質制限食を実行した結果なのだという。「みんなのパン」という店名は、数年前に現在の店を開店時に、伊藤さんの子供たちが「大好きなお父さんのパン、みんなに食べてもらいたいね」と言ったことがきっかけだった。それ以来、伊藤さんは店長の博之さんと相談しながら「アレルギー体質の方や糖質を控えている方にも、1人でも多くの方に喜んでいただけるよう、心を込めて“オリジナルパン”を作っている」という。既に「ふすまのえだ豆チーズ」(180円)、「ふすまパンの15種ヘルシーサンド」(180円)、「ふすまのコッペ」(100円)――等々、「ふすまパンオールスターズ」と名付けたパンをシリーズ化し、棚に陳列している。東京に出るたびに、取材も兼ねて時々買い求めるが、訪れるごとに「ふすまパンシリーズ」の棚面積が増えている。伊藤さんが今、取り組んでいるのが「ふすまパンの缶詰」だ。これは、東日本大震災や福島原発事故で、避難を余儀なくされた被災者の方々が、避難所で、乾パンやおにぎり、菓子パンという極めて糖質の高い食品を食べざるを得ない状況になっていることを危惧し、避難住民の中に糖尿病患者がいたら、症状が悪化してしまうのではと考え、現在、開発を急いでいるのだという。まさに、当初目標としていた「みんなのパン」作りだった。こうして、伊藤博之さん、隆子さん夫妻も、奥さんの「糖質制限食」との出逢いで、「小さな幸福」を手にし、それをより多くの方々に広げたいという、より大きな幸福を見出したのである。無理せず、無駄なく、しかも愉しく「糖質制限食」を続けていく。「糖質制限仲間」で愉しく語り、励まし合うこのグループ作りは、こうして医師の本拠地・京都を始め、東京、北九州、名古屋にも広がってきた。東京の場合、私が「おやじダイエット部」の立ち上げの会場に使ったのが、東京・日本橋蛎殻町の高級ホテル「ロイヤルパークホテル」のバー、「ロイヤルスコッツ」の個室である。ここは、英国風の落ち着いた内装と小さな専用バー・カウンターがあり、ウィスキーの山崎12年にフレッシュオレンジジュース、フレッシュラズベリーをシェイクした「ネオ・ミラクル――奇跡への歩み」というローカーボ・カクテルをわざわざ開発してきてくれた。オツマミとして「チーズの盛合わせ」や「ベジタブルスティック」、「サラミ盛合わせ」という糖質の少ないメニューも頼めるのがいい。まさに「おやじダイエット倶楽部」であり、男が集まる本物の英国風「クラブ」を目指す。「おやじダイエット部」の主要メンバーや糖質制限に興味を持ち始めた方々が月一回、定期的に集まるのが、東京・新橋の商店街の奥のビル地下にある日本初の糖質制限中華料理店「梅 メイ花」である。ファオーナーの梅橋嘉博さん(57歳)は、52歳の時、糖尿病が発覚した。「それまでずっと中華料理店の運営に携わっており、52歳の時、新宿に薬膳料理の中華料理を出す店「 ファン 歓」を立ち上げ、経営者として無我夢中で走り続けてきました。その間、仕事で疲れたりすると、毎日の食事がどうしても後回しになり、店が終わった深夜に時間も関係なく飲み食いしていたのです」梅橋さんが糖尿病と分かったのは、生命保険の切り替えの時で、「大きな病院で診てもらってください」と言われ、初めて気付いた。やがて糖尿病の合併症が出始め、1日10回以上トイレに立ったり、人と話している時、頰杖をついていた手に突然力が入らなくなり、体重も急激に減り始めた。「最初は薬をもらって治療していたのですが、糖尿病の怖さが分かるようになって、これは何とか治さないと、と思い始めました。まず試みたのが運動で、元々山登りもしていたものですから自転車通勤に切り替え、板橋の自宅から新宿の店まで毎日通ったりしていたのです」しかし、糖尿病数値はなかなか下がらず、1年後にとうとう、狭心症を防ぐステント手術をすることになった。その後、ダイエットや体脂肪を減らす工夫など様々な試みを行った。だが、結果として何一つ効かなかった。そんな時、店によく来る東京のロー・スクール経営者が貴重な情報を教えてくれた。彼自身も糖尿病を患っていたが、京都・高雄病院の医師のもとに通院し、糖質制限食で非常に数値が良くなったというのだ。「試しに、その糖質制限食とやらを20日間続けてみました。すると82kgあった体重が8kg減り、74・5kgになった。最初は何故こんなに減量できるのか。私自身、信じられない思いでした」お腹いっぱい肉や魚を食べても、ドンドン瘦せていく。糖尿病の数値も8・3あったHbA1cが5・6に、今では5・4にまでみるみる下がった。これには、本当にびっくりしたと梅橋さんは語る。しかし、糖質制限食を続けていくと、やがて大きな壁に突き当たった。「糖質の少ない食事ばかりしていると、厳しくしようとすればするほど、食べるものが少なくなり、やがて飽きもくる。こりゃ、参ったなと思いました。その時、こう考えたのです。自分のやっている糖質制限食は正しい方向なのに、現在のように糖質の高い外食が街に溢れている状態では糖質制限を続けながら困っている方が沢山いるだろう。それなら、糖質が高くて中華料理が食べられない人のための店を自分が出そうと」「なしょか、ひっとべ」梅橋さんの故郷・鹿児島にはこんな言葉がある。目の前に川があって、飛び越せるかどうか分からない場合でも、まずは勇気を出して飛んでみろ。そうすると必ず、飛び越せる――という格言である。梅橋さんは2012年6月に「おやじの聖地」と呼ばれる東京・新橋の最奥のビルの地階に日本初の糖質制限中華料理店「梅花」を開店した。若き料理人の嶋田仁さんに料理を担当させ、糖質制限中華料理の開発に取り組んだ。これまでに開発した糖質制限中華料理メニューには、・鶏細切りともやしの胡麻ソース(糖質1・8g)・豚肉の辛味炒め(同2・7g)・白身魚とキノコの豆鼓ソース(同5・1g)・湯葉と高菜漬けのふんわり玉子炒め(同2・2g)・ズワイガニと青菜のクリーム煮(同3・0g)・月イカとあさりの厚揚げ辛味煮(同2・0g)などがある。この6品から2品をチョイスし、ニラととろろ昆布の豆腐麵(同0・2g)の小碗と杏仁豆腐(同1・5g)がセットになったランチが980円だ。豆腐麵は、元来、中華料理に使われている、細く切った豆腐を干した食材で、横浜・中華街の他、ネットでも入手できる。「梅花」では、この豆腐麵を用いて、五目スープ麵(糖質3・4g)、坦々麵(同7・5g)、海鮮トマトレタス麵(同3・6g)などの豆腐麵シリーズを全品980円(杏仁豆腐付き)で出している。他に、少し糖質は高いが焼くとコシが出てくる「大豆麵」を使った、上海焼きそば(同24・0g)も開発した。「夏に食べたくなる冷やし中華も糖質制限で作ってみました。リンゴ酢と練り胡麻でタレを作り、そこに肉味噌と温泉卵を載せ、ちょっと固めの豆腐麵にからめて食すものです。これで糖質は8・7g(デザート付き)です」梅花ではこの他、糖質制限の「フカヒレ姿煮」のランチセット等もあり、最近ではランチ時は満席状態になった。こうした気のおけない店で「おやじダイエット部」は、毎月第三火曜日の夜集まっている。

 

自分に合った「糖質制限食」は、悩み考えることから

始まる第7の習慣 自分の頭で考え、そして無理をせずに続ける健康なカラダを取り戻すため、試行錯誤しながらが辿ってきたプロセス、愉しく糖質制限を続けるためのアドバイス、そしてが惜しげもなく披露してくれた家庭で「糖質制限食」を実行するためのメソッドをこれまで読んできた。だが、大切なことが実はもうひとつある。それは……。途中で休んでも、理論が分かっていれば、いつでも再開可能「おやじダイエット部」の主要メンバーの中で、一番心配だったのが、レディス・クリニックを経営する医師、早川悟(仮名・57歳)だった。早川は、約3年前からいち早く「糖質制限食」を始めていたが、家族が糖質制限の導入に積極的ではなく、もっぱら外食で糖質制限を行っていたからだ。しかも、仕事上などでの会食時は「天与のチャンス」として、制限なく食べてしまうという「ゆるい糖質制限」を続けていたのである。それでも早川は、2年間で89kgから72kgと、最大17kg瘦せたという確固とした実績を残していた。その後は増えても、74kg前後を維持していたという。ところが、東京・恵比寿のホテルで久し振りに会った早川は、衝撃的な告白を始めた。実は1年半ほど前から一時、「糖質制限食」を休み、そのため「ストレス食い」から激太り状態になっていたというのだ。「糖質制限食を丸2年続けて、89kgから72~74kg台に落として、それを維持していた間はよかったのですが、糖質制限食を一時休んでいたら、75kgから79kgまで増えてしまいました。80kgになった時は、ヤバイと思って何とか維持しようとしていたのですが、80kgを超えたらアッという間に増え続け、気が付くといきなり90kg近くになっていました」と早川は語る。「特に80kgを超えてから食べだしたのが、夜中のラーメン。夜10時過ぎに病院勤務を終えると、そのストレスで、昨日もラーメン、今夜もラーメンという日々が続いていたのです」そう告白する早川だが、久し振りに会った姿は、以前の瘦せている頃とあまり変わらない。聞けば早川は、3ヵ月前から再び糖質制限食生活を始め、89kgから77kgへ、またアッという間に12kg減量してしまったのだ。早川が糖質制限食を再開したのは、3ヵ月前に訪れた10日間のアメリカ出張がきっかけだった。「西海岸で開かれた学会に出席したのですが、アメリカの食事は大好きな肉が中心で、サラダにしても、日本の小さなものとは違って大きなお皿にドンと大量に盛られている。上にスライスしたナッツやアボカド、チキンなどが載っていて、とても美味しかった。ステーキなども量が多く、LA、マイアミ、ニューヨークと滞在中、間食など全くしたいと思いませんでしたね」アメリカでは、上流階級(アッパー・クラス)ほど健康に気を配り、ビバリーヒルズあたりのオーガニック・レストランやホテルでもベジタリアン・メニューなどのレストランが賑わっている。一方で、酒類にしても、日本のように次々とウェイターが持ってくるのではなく、シャンパン、赤ワインなど、自分で頼まないと出てこない。当たり前のことだが、その結果、日本のようについ飲み過ぎることもなかった。「この結果、アメリカに10日いる間、また4kg瘦せたのです。ならば、あと5kg瘦せて再び70kgまで落とそうかというモチベーションが湧き上がってきたのです」アメリカ出張中は、忙しい日程が続き、毎日外食していたにもかかわらず、瘦せることができた。子羊のパイ詰め焼きなども、現地でかなり食べたが、むしろ瘦せていったと早川医師は言う。日本に戻ってきて気づいたのは、いつでもどこでも食べられるパン類の氾濫だ。「食パンや甘い菓子パン、特にメロンパンなど、糖質の多いパンに果汁、クリーム、砂糖などが入っていて、あれはいけないと思いました」早川が再び激太りした理由は「ストレス食い」だった。「おやじダイエット部」に参加後、経営していた広尾のレディス・クリニックのスポンサーが、東日本大震災の影響で医療事業から撤退することになり「女性の健康を守るためのかかりつけの病院」を志向していた早川は、自分で新たに独立開業する道を選ばなくてはならなくなった。幸い、医療事業を立ち上げるコンサルタントと知り合い、出資先を探して、恵比寿にお洒落な感覚の病院を開業することができたが、その間の様々なストレスや仕事の忙しさのため、つい昔の生活に戻ってしまっていたのだ。それが、日本を離れてアメリカに行った途端、再び「糖質制限モード」に戻すことができたという。「僕は甘いもの好きなので、口寂しくなった時、現地でチョコレートやクッキーを結構口にし、周囲からは“また食べているじゃない”と言われましたが、それでも4キロ瘦せた。この自信が再び、糖質制限食を始める励みになりましたね」早川は医師であるだけに、糖質制限食の理論を一度、頭に入れておくと、そのメカニズム自体はよく分かっている。だから、始めようと思えば、またいつでも「糖質制限食モード」へと戻れるのだ。以前開業していた医院を一度諦め、再び恵比寿に最新設備と現代的デザインのクリニックを立ち上げるには、かなりのストレスがあった。毎日夜10時過ぎまで病院で診察、その後に簡単に手早く食べられるラーメンなどの食事が続いてしまったのだ。それでも早川は、10日間のアメリカ出張で、そうした糖質過多の生活から脱出でき、再び12kgの減量に成功した。まさに現役医師ならではの理性が最後に働き、再び糖質制限食へと戻ってこられたのだ。私のような糖尿病患者は、スーパー糖質制限の継続が基本だが、ダイエット目的なら、理論が分かっていればいつでも再開可能なのだ。“糖質制限のエース”は40kg減、達成医師の早川が一度リバウンドしかかった後、再び「糖質制限食」に復帰したことは心強かった。もう1人の「おやじダイエット部」のエース格、ホテルマンの久津智也(44歳)は、果たしてどうしているのか。京都、北九州と糖質制限仲間が増え、その会合に誘われて出席するうちに、東京での「糖質制限仲間」の動向が気になってきた。東京の「健康仲間」は、現役ビジネスマンが中心である。したがって皆忙しく、2、3ヵ月に一度集まるのが、やっとだった。また、主要メンバーの1人のホテル顧問がスリムになった後、念願かなって東海地方の外資系ホテル総支配人に現役復帰するなど、職場での人事異動も多かった。その中で、約40kg瘦せた久津は、その減量とモチベーションをどう維持しているのだろうか。あるいは、アッという間に、元の体重に戻ってはいないだろうかと、ふと不安になった。久津が勤務する東京・永田町の「ザ・キャピトルホテル東急」は、東急ホテルチェーンのフラッグシップ(旗艦)店。山王日枝神社の緑濃い森に囲まれた高級ホテルのロビー・ラウンジで久津と待ち合わせた。「すみません、お呼び立てして」と言って現れた久津は、以前の通りスリムな身体をまだ維持していた。「まだ、糖質制限コントロールをやっているんですか、とよく聞かれるのですが、僕自身は糖質制限を頑張って続けているという意識は全くありません。糖質制限するのが普通の生活になってしまって、全く乱れないですね」と久津は言う。さすがに「糖質制限のエース」らしい、頼もしい言葉である。確かに糖質制限食を長く続けていると、それが全く当たり前になる。医師の糖質制限食理論を頭に一度叩き込んでおくと、糖質制限しない生活など考えられなくなるのだ。その意味で、久津は極めて合理的、理性的な男だった。久津も糖質制限食を始めて、丸2年になるはずである。その中で久津の「外食糖質制限食ライフ」は、更なる進化を遂げていた。「肥満問題に悩む沖縄で、『肥満外来』を開設した医師の本を最近読んで覚えたのですが『嚙む嚙むダイエット』と言って、食べ物を口にするたびに一口30回嚙むんです。すると唾液が出てきて、満腹中枢が働き、以前のような耐えられない空腹感というのがなくなりました。その結果、大食い、早食いをしなくなり、食べる量も減ってきました。その結果、更に2kg減り、遂に目標の40kg減を達成しました」食物を摂る時は、よく嚙んで、出てくる唾液とともに胃の中に入れるのが、栄養を吸収する際にも理想的だと言われる。2年前に糖質制限食を始めた際、大食いだった久津は、糖質の少ない食品ならとにかくいくら食べてもいいということで、この食事療法を選んだ。「糖質制限食にする前も、夜、仕事が終わってから、コンビニの弁当とパスタ、それも大盛りを2個セットで買い、それにビールで一気にかき込んでアッという間に食べるという、ドカ食い、早食い生活でした。糖質制限食に変えてからも、抑えられない食欲を満たすため、糖質の少ない食事を一気にかき込んでいました。その結果、体重を激減できましたが、せっかく健康に気を配るようになったのに、ガツガツと早食い、大食いしている姿は、あまりカッコ良くない。それで、糖質制限食を続けながら、次のステップにいくことにしたのです」と、「おやじダイエット部」のエースとなった久津は言う。それが「嚙む嚙むダイエット」だった。「食事の際、一口ずつ、口に運ぶたびにハシを置いて30回ゆっくりと嚙む。すると以前のような耐えられない空腹感を覚えなくなり、お腹がそれほど空かなくなりました。もちろんベースは糖質制限食ですが、それを無理なく続けていくためにも、無駄な食欲を抑え、太る要因を少しでもなくす。そのためには何ができるかを考え、これなら忙しい仕事の合間にもできると『嚙む嚙むダイエット』を糖質制限に加えることにしたのです」これは、糖質制限食を更に進化させる素晴らしい発想だ。糖質制限食にすべてを依存するのではなく、無駄な食欲による肥満の原因を断つ。ビジネスマンらしい理詰めの発想である。久津は、現在の体重40kg減より、あと4~5kgは減量したいと考えている。しかし、それをすべて糖質制限でやるような無理はしない。「糖質制限食でここまで落ちたら、これ以上減量するには、やはり運動と食生活の更なる改善を積み重ねていくしかないと思っています。ランニングは続けていて、マラソンはハーフマラソン大会にも出場しています」と久津は言う。糖質制限食プラス嚙む嚙むダイエットによる食欲低減効果、プラス運動で、忙しい仕事の合間を縫って「糖質制限ダイエット」は、更に進化を続けている。理想は広隆寺の弥勒菩薩私自身も、糖質制限食の長期化について更にこれを進化させる対策は進めている。糖質制限食を極めていく時に重要なのは「糖質の制限」だけ。ところが、この糖質とは何かが、なかなか分かりにくいのだ。炭水化物は、糖質と食物繊維に分類される。このうち制限していいのは、血糖値を上げる糖質のみである。アンチエイジングの観点から、運動との組み合わせも必要だ。辿り着いた結論は「高タンパク、低カロリー、かつ低糖質」な食のハイブリッドである。こうして「家庭」でも、新たな「糖質制限食」の開発に取り組むことで、食品に対する知識や健康に対するリテラシーがどんどんと深まっていく。実はこれが「糖質制限食」の面白いところなのだ。「これは大丈夫だろうか、と自分で外食してメニューを選び、後で血糖値を測ってみる。思ったより上がっていなかったら、それはOKとして自分の食事に組み入れる。糖質制限食の面白いところは、自分でやって、自分で判断できるところやね。奥さんが作った食事でも、食べてみて“ああ、これは上がっとるな”とか“これはセーフや”という具合に、その家、その患者さんで判断し、面白がりながら続けていく。それが糖質制限食のいいところです。ただ、カッチンコッチンに制限を続けていこうとしてもそれは無理ですし、長続きしません」と、先日、対談でご一緒した医師も、自分で考え、自分で判断し、糖質制限食を面白がりながら継続していくことの「愉しさ」を説く。糖質制限食には失敗も多い。だが医師はその失敗の効用も説く。血糖値が急上昇しないように、身体のスキを突いて、ある程度、糖質を上手に摂っていくことも重要である。「例えば、糖質が多く含まれているものをたまたま食べてしまっても、後で血糖値を測定してみて“こういう感じで食べたらペケなんやな”と覚えるチャンスにする。そしたら、糖質を摂りながら、反省材料にして無駄には摂っていないことになります」かと言って、いきなりご飯を食べては元も子もなくなる。糖質が多いか少ないか、自分の身体にとって血糖値を上げるか上げないかを測る上で、時には「グレイゾーン」の食品をあえて食べてみる。その結果、数字が良好ならば、その家の糖質制限セーフメニューとして加えればいいのだ。血糖値を上げるものを食べてしまっても「前向きの挑戦」だから「まあ、ええやろ」なのだ。こうして、3年近く糖質制限食を自分たちで作っていった結果、我が家の糖質制限定番メニューは、レシピ集ができるまでに増えた。後はそれと外食による「糖質制限食」の割合を上手に組み合わせて、継続を疲労にしないよう改善させ、工夫していくだけである。例えば同じ料理を作っても、野菜の彩りをカラフルに変えるだけで、メニューは増える。また、果糖を多く含むフルーツも食べる種類によって、どう体重や血糖値が変化するか、種類が多いだけで、自分で調べてみるのにも時間がかかる。そんな経験を積み重ねてきたことで、毎年、食と健康に対する知識や情報、更に最も大切な「実体験」が格段に増加し、選択パターンが増えてきた。こうして「必勝パターン」を1つずつ増やしていくことで、基本的に「スーパー糖質制限食」を継続し、進化させている。それでも、医師のような「外食」と、自宅での食事をスキなく組み合わせる必勝パターンには学ぶべきところが多い。それらはすべて、医師が自分の頭で考え、自分で食べ、自分で測定して「これならセーフ」という「自分で試して、愉しむ糖質制限食ライフ」として11年の間に蓄積したものだからだ。愉しみながら糖質制限を行い、自分の健康をよりよい「検査数値」へと進化させていく。しかも、それによって家族の「絆」も深め合い、同じ体験を通して「新たな絆」も作り、その仲間を広げていく。「糖質制限食」はこうした「新しい生き方」の出発点ともなる。しかし、それもすべて医師の言う「自分の頭で考えること」から始まる。それを他人まかせ、医師まかせにだけしていても、現代の医者は決して治してはくれない。生活習慣病を根本的に治療していくには、その原因となる「生活習慣」を自分で作った患者自身が、自分の頭で考えて、正しい「健康リテラシー」を基に、もう一度自分の「生活習慣」を設計し直していくしか もとない。そうでないと、生活習慣病は治らない。医師の診断で治療ガイドラインに沿った薬を服用していても、根本原因の生活習慣が改善されないと、絶対に治らないのである。早く治さないと医師は薬を長期間服用させ、医者や薬局、製薬会社が儲かるだけである。しかも、残念ながら加齢とともにその症状は悪化していく。その前に、自分で自分の生活や健康状態をよく考え、最も身近にいる家族と相談し、食生活を変え、新たな「健康仲間作り」を目指したいものだ。「糖質制限食」を提唱した医師が理事長を務める財団法人高雄病院は、京都の西郊、JR花園駅から車で10分あまり。史跡・ならび 双ヶ が岡のゆるやかな山麓を右に見て、紅葉で有名な高雄へと抜ける おか旧街道の途中にある。その西の太 うず秦にあるのが、推古11年(603)に建立された まさ山 やま城最古の寺院、 しろ広 こう隆 りゅう寺である。じ私は、高雄病院への取材の帰りに、この広隆寺とその西にあるくるま 車折神社をよく訪ねる。先日も京都 ざきで、糖質制限セミナーと医師のライブ・コンサートがあった翌日、仲間たちと連れ立って、夏の広隆寺へ参拝に出かけた。広隆寺の新霊宝殿の中央には、飛鳥・あすか白 はく鳳時代の ほう弥 み勒 ろく菩 ぼ薩 さつ半 はん跏 か思 し惟 い像(ぞう宝 ほう冠 かん弥 み勒)や“泣き弥ろく勒”と呼ばれる同じ飛鳥・白鳳の弥勒菩薩半跏像、私の好きな不 ふ空 くう羂 けん索 じゃく観 かん音 のん立 りゅう像など国宝の名仏像ぞうが、安置されている。同じ京都の三十三間堂のちゅう 中尊・ そん千 せん手 じゅ観 かん音 のん坐 ざ像とともに、私が愛してやまない魅惑の仏像であるが、そ ぞうの理知的な表情や深い思慕を示す思惟のポーズは、釈迦の死後、56億7000万年後に再び現世に現れ、人々を救済すると言われている。それまでこの弥勒菩薩は、弥勒浄土と言われる兜 と率 そつ天にていか てんに人々を救うか思索しているのだが、我が国の国宝第一号となったこの尊像を前にして、いかなる生活習慣で自分自身の健康を守っていくか。人として日々、思索しつつ、実践していくことが最も大切だと思った。人々の心と身体に「活力」をもたらす糖質制限食はどのようにあるべきか。制限すべき糖質はどこに隠されているのか。この広隆寺の弥勒菩薩のように、まず自分でどうすればいいか考えることから始まるのだ。

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