体重が増えるとなぜ悪いの?

生活習慣を変える理由とは

体重が増えるつまり肥満になるということは「不健康な生活習慣を続けた結果」であり、内臓に脂肪が たまってきている状態です。

その脂肪が体に高血圧や高血糖などの生活習慣病を引き起こし、体に悪さをします。そして、高血圧 や高血糖といった危険因子は、それが重なれば重なるほど、脳や心臓に致命的なことを引き起こしま す。最悪の場合、脳や心臓の血管を詰まらせて死亡することもあります。2001年に行われた労働省作 業関連疾患総合対策研究班によると、肥満ではない健康な人と危険因子を3、4つ持つ人を比較する と、血管が詰まり死亡する原因にもなる脳卒中や心疾患の危険度は、なんと36倍にも高まるという調査 結果が出ています。

平成18年度尼崎市国民健康保険生活習慣病予防健診結果からは実際にメタボリックシンドローム から生活習慣病となった方々に共通している所見の順序があります。危険因子は、一度に現れるわけで はなく、悪い生活習慣を重ねることで1つ、2つと増えていきます。

まず初めに体重の増加があります。次に出現する順序は人によってはそれぞれですが、中性脂肪 ( TG )や、LDL コレステロール(悪玉コレステロール)が高くなり、血圧も高く出て、最後にHbA1c( 1 ~ 3 ヶ月前の血糖値)が基準値を超えてきます。

悪い生活習慣を続けると?

52歳で脳梗塞になった男性の太田さん(仮名)の例をみてみましょう。太田さんは32歳で「内臓脂肪」 が高くなり、42歳で「中性脂肪」が高いと注意されましたが何も生活習慣の改善をしませんでした。そのま ま44歳で「高血圧」「高尿酸」「低HDL/高LDL」となり、不健康な生活習慣を続けた結果52歳で脳梗 塞となりました。Aさんは急に脳梗塞になったわけではなく、悪い生活習慣を重ねることで、ゆっくりと着実 に体に異変が起こってきたのです。このように経過を振り返ってみれば、その時々に検査数値が出ている ので予防できそうなものです。しかしそこはAさんに限らず人間の弱いところで、何もしないことが多いようで す。

このように脳血管疾患や心疾患は、普段の生活習慣によって引き起こされています。このままだと糖尿 病になりますよと医者から言われても、いざ生活習慣を改善しようと思ってもなかなか変えることができな いものです。体重が増えてきても特に痛みを感じるわけではありませんので、自覚症状がないまま脳梗塞 になるまで、放置してしまうケースはよくあることです。こうした病になると死亡はしなくても、医療費も高額 で自己負担だけで数十万円になるケースもあります。そして大変なリハビリ生活となり、障害が残ることも あります。体重が増えることでなぜ健康に“悪”なのかは、このようにれっきとした理由があります。ある時期 だけの体重増は問題ありません。それが生活習慣となり、体重が増え続けることを意識せず年を経過さ せていくことの危険性を、52歳で脳梗塞になったAさんの例が教えてくれます。

体重を落とすことの大切な理由がここにあります。「体重が増える生活習慣」をずっと続けていると、将 来的には脳血管疾患や心疾患を誘発します。だからこそ、今すぐにでも生活習慣を改善して欲しいので す。

 

なぜ体重が増えるの?

スプーン 1 杯の事実

では太るメカニズムを説明していきましょう。これは体重増加のシミュレーション( 1 日 50kcal 余分に摂 取した場合)といわれるものです。衝撃的な科学的根拠がここにあります。例えば、 165cm、 55kg の 40 歳男性 A さんが、 1 日にたった 50kcal 余分に摂取を続けた場合、 5 年後には体重が 12.9kg 増 えて 67.9kg にもなります。約 7,000kcal の摂取で、体重が 1kg 増加するからです。

ちなみに 50kcal の目安は、マヨネーズがスプーン半分程度です。もし、 A さんが毎日スプーン1杯分の マヨネーズを余分に取っていれば、この倍のスピードで体重が増えていくわけです。皆さんに、この事実を受 け止めて欲しいのです。

(参考資料:「厚生労働省 e- ヘルスネット」より) 健康的なダイエット:適切な体重管理で、健康づくりをしよう!

食生活や生活習慣が多様化した現在では、過食や運動不足による「肥満」や「メタボリックシ ンドローム」がある一方で、不健康なダイエットなどによる「やせ」も社会問題となっています。楽し く、健康でいきいきと過ごすためには、適切な体重の認識と体重管理が大切です。

体重を減らす理論

体重を減らすことは、実はまったく難しいことではありません。理論はこうです。

(1) 減らしたい体重を決める

(2) 生活していく上で1日に必要なカロリー量を計算する

(3) 目標体重にするための、1日に減らすべきカロリー量を計算する

(4) どうやってそのカロリー量を減らすのか決める

(5) 実践する

※本記事では、エネルギー量=カロリー量としています

1日のカロリー必要量を計算する

肥満・糖尿病・高血圧等などの生活習慣病を予防するために、ここでは「体重(ウエイト)」に目標をし ぼって話を進めます。

ここでは、 A さんの例を見ながら、あなたの「目標体重」と「カロリーの必要量」を計算してください。

(1) あなたの減らしたい体重を決めます。

※ A さんは『6ヶ月間で体重を6kgダイエットする』ということを決めています。

表内に赤字で書き込んだように、 A さんは 1 ヶ月に 1kg のペースで減量し、 6 か月後の目標体重を 69kg に決めました。その目標体重に、表1の基礎代謝基準値と表 2 の身体活動レベルの値を掛けて、 1 日に必要なカロリー量を算出します。それをわかりやすく3回の食事で割って、 1 食で摂取するカロリー 量まで落とし込みました。

あなたも A さんと同様に目標体重( 6 か月後)を決めて、その体重から 1 日に必要なエネルギー(カロ リー)量を手帳に書き残してください。

(2) あなたの1日に必要な食事からの摂取カロリー量を算出します。

《算出について注意点》 ・身長は、メートル(m)表記です。 ・標準体重は、あくまで目安の数値として確認する。 ・目標体重は、 6 か月後に何 kg 減らすかを目標にする。 ・基礎代謝基準値は、左下の*表 1 より年齢と性別から選択する。 ・身体活動レベルは、右下の*表 2 より選択する。日本人の平均的な身体活動レベルはIです。

 

ダイエット(減量)にチャレンジ!

 1日に減らすべきカロリー量を計算する

それでは、目標体重を 69kg に決めた A さんが、 6 ヶ月間で 6kg 、つまり 1 ヶ月間で 1kg のペースでど のようにダイエット(減量)にチャレンジするかを、下記の表でみてください。

体重を 1kg 減らすには、カロリー量に換算して約 7,000kcal の消費が必要です。 6kg 減らすために は 42,000kcal を消費しなければなりません。これを 1 日あたりに換算すると約 230kcal で す。 42,000kcal と考えると途方もなく感じますが、1日に 230kcal を減らすのであれば、何とかなりそうな 気がしてきませんか? このエネルギー(カロリー)量を普段食べているものを調整し、運動量を増やして 「消費」すれば良いのです。

例えば 1 日の食事を 130kcal 分減らし、運動で 100kcal を消費すれば、 1 日あたりに減らすべきエネ ルギー約 230kcal が達成されます。本来なら、このように食事と運動の両面で生活習慣の改善を進めて いますが、本記事は食生活にしぼってお話しを進めていきます。

主な料理のカロリー量

第 2 部で目標体重を基準として、あなたの「 1 日に必要なエネルギー(カロリー)量」から 1 食で摂取 するカロリー量まで落とし込みました。ここでは、エネルギー(カロリー)量について学びましょう。

厚生労働省から出されている資料を参考にします。

一番上のカツ丼は 865kcal です。それにたいして、一番下のごはん軽く 1 杯は 168kcal です。私はあ なたに「カツ丼を食べないでください」と言うつもりは、全くありません。もちろんカツ丼を食べていただいて良 いのです。ただ、この表をみてあなたの食生活がほぼ毎日のようにカツ丼・カレーライス・天ぷらうどんのよう に、表の上のほうにあるものを食べていないか確認して欲しいのです。そして重要なことは、カツ丼を食べた 翌日は、表の下にある、ざるそばなどのカロリー量の少ない食べ物に変えて欲しいのです。カロリー量の高 い食べ物を、低い食べ物に変える「習慣」を日々の生活に取り入れてください。

アルコール飲料のカロリー量

次にアルコール飲料のカロリー量を見てください。アルコール飲料にもカロリー量があります。飲酒量が多 ければその分のカロリー量を摂っています。だからこそ、ここでも調整して欲しいのです。

「もう飲酒はしない!やめる!」とすると、生活習慣にするためのハードルがかなり高くなってしまいます。 それではリバウンドの原因になりかねないので、スモールステップで少し減らしてみる方法をおススメします。 例えば1週間の内に曜日を決めて飲酒量を1杯減らしてみるといったように、あなたが今日からでもできる ことを考えて、決めて欲しいのです。

(参考資料:「厚生労働省 e- ヘルスネット」より)栄養・食事・血圧から見た許容飲酒量 健康を維持増進するために必要な栄養素を食事から確保したり、生活習慣病を予防するために は、1日当たり日本酒1合程度までの飲酒量にとどめて、加えて週1回以上の休肝日を設けることが 望まれます。

菓子類のカロリー量

みんなが大好きなお菓子類の食べ方を見直すことは、最も手っ取り早くカロリー量を減らす方法です。

例えば、メロンパンは 1 個で 460kcal です。これは軽めのごはんで約 3 杯分のカロリー量があります。ポ テトチップスは小袋 1 つで 160kcal です。ごはんの代わりにお菓子類を選んでしまうと、栄養の不足した状 態にもかかわらずカロリー量を大量に摂取します。こうしたお菓子類は嗜好品として少し楽しむ程度にしま しょう。菓子類には、カロリー量が袋の表や裏に表記されているものが多数あります。購入する前に、表記 された栄養表示を見てください。カロリー量を確認する習慣を身につけて欲しいのです。少しでもカロリー量 の低い商品を選ぶようになれば、あなたに『調整力』が備わってきたことになります。

(参考資料:「厚生労働省 e- ヘルスネット」より)間食のエネルギー(カロリー) 間食とは朝食・昼食・夕食以外に摂取するエネルギー源となる食べ物と飲み物のことです。栄養 補給の他に気分転換や生活にうるおいを与えるなどの役割もあります。しかし、食べ過ぎは、肥満に つながる可能性がありますので、回数、量、質を考え、1日の栄養素の不足が補えるような間食が 良いでしょう。

外食のカロリー量

外食チェーン店などのホームページを見ると、カロリー表示されているところが数多くあります。あなたがよ く行くお店にもカロリー量や栄養表示された食べ物があるか探してみてください。

何度も言います。これらの食品を食べてはいけないということではありません。食べてください。その代わり に食べた次の日はカロリー量の低い食事に調整して欲しいのです。私があなたに求める『調整力』がここに あります。

(参考資料:「厚生労働省 e- ヘルスネット」より)ファストフードのエネルギー(カロリー) ハンバーガーをはじめとして、ご飯類や、麺類などのファストフードが身近な存在になっています。し かし、一般的に高カロリー、高脂肪である一方、ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しやすく、栄養 のバランスが悪くなりがちです。食べる回数や量を調節し、野菜を使ったサイドメニューを追加するな ど、工夫してメニューを選びましょう。

 

食生活を見直す

あなたの食生活を思い返す

本来であれば、食事と運動の両輪で進めることです。本記事では、食事で今日からあなたができることを 決めていきましょう。初めに毎日の食事内容について思い返してください。日々の食生活で多いと感じる 部分 [ カロリー量 ] はないか、変えた方が良いのはどこかに気づきましょう。では、お聞きしますので書き留 めてください。

1 毎朝、朝食に何を食べていますか?

2 お昼までに何か飲み物や、食べ物を食べていますか?

3 昼食に何を食べていますか?(ごはんは大盛りですか?脂ものが多いですか?)

4 夕食までに何か飲み物や、食べ物を食べていますか?(3時のおやつはどうでしょうか?)

5 夕食に何を食べていますか?(外食が多いですか?脂ものが多いですか?)

6 飲酒(アルコール)は、何をどれくらい飲んでいますか?(ビール?焼酎?日本酒?それは何 杯?)

7 夜食は何か飲み物や、食べ物を食べていますか?

8 菓子類や甘いものは何を食べていますか?

思い返して書き留めた内容に何か気づいたことはありませんか? あなたの普段の食生活で食べ過ぎ ていたり、飲み過ぎたりしている部分は見つかりましたか? もしくはカロリー量の高いものがありました か? 問題が発見できれば次のステップです。

無理な計画を決めない! ~あなたができることを計画する~

大切なポイントは「無理な計画を設定しない」ことです。例えば“いつもの甘いものを食べない”とか“アル コールは飲まない”という計画は、余程強い意志を持続させない限り無理な計画で終わります。習慣化で きません。あなたにとっての小さな達成感(スモールステップ)から始めることをおススメします。例えば“飲酒 の量を 1 杯減らす”“甘いものを半分にする”ということで良いのです。それを踏まえて最後のステップが重 要なポイントです。

あやふやにしない! ~具体的に計画する~

決めた計画をあやふやにしないこと。そのためには「具体的な数字に置き換える」ことです。これは時間 や曜日、回数などを示します。例えば“毎週木曜日はおまんじゅうを半分にする”とか“毎週水曜日に飲む 量を 1 杯減らす”ということです。

シンプルに行動する! ~決めたことを実践する~

これならできると思える計画(食事編)を書き示せたでしょうか。決めた曜日や時間をあなたのスケジュ ール表に毎週書き込んでください。そして決めたことをシンプルに毎週、実践してください。一番重要なポイ ントは『習慣になる』ことです。健康的な生活習慣を身につければ、生活習慣病は遠のきます。もちろん 『習慣になる』まで、初めは大変です。継続するパワーも必要になります。くじけそうになったらあきらめる前 にもう一度、原点に戻って欲しいのです。「なぜ私は健康でいたいのでしょうか?」という答えは、あなた自 身の本心が持っているからです。

クリアできれば新たなチャレンジを!

最初のハードルは低く設定します。毎日甘いものを食べないとか、飲まないと決めるのではなく、週に 1 回だけ曜日を決めて計画するのです。これはカロリー量を減らすためにする最初のステップです。毎週 1 回 だけ決めたことが継続してできるようになれば、次はあなた自身でもう 1 日計画を増やして、週 2 回チャレ ンジをしてください。その時もハードルを低くしてあなたができることを決めましょう。そしてそれがクリアできた 後は、階段の上がるようにあなた自身で次の新たな計画を具体的に決めて行動してください。

 

参考

「体重(ウエイト)」を目標にする際の注意事項

ここで注意して欲しいことがあります。簡易的ですが本記事の対象となるのは成人男女のBMI (ボディ・マ ス・インデックス)が 25 以上です。この BMI は肥満の指標となるもので計算式は世界共通です。しかし国 によって判定基準が異なりますので、 BMI を計算し、日本の基準で判定してみましょう。

体重( kg )÷身長( m)÷身長( m)= BMI となります。

この BMI が 18.5 以下の場合、「低体重」として「やせ」に入ります。今の若い女性に多くみられる傾向 です。低体重の人は逆に BMI を 22 (日本の標準体重)辺りまで健康的に体重を増やし、健康目標に して欲しいと思います。低体重の人にも病気や体質などさまざまな理由がありますが、無理なダイエットや 不健康な生活習慣を続けている場合は重大な問題が将来的に起こってきます。身体に必要な栄養素 が不足している可能性が十分に考えられ、免疫力の低下やこころの病にも発展しかねません。食べられ ることの喜びを持って、低体重型から脱却して欲しいというのが私の願いです。

なぜ野菜を先に食べるの?

~科学的根拠が示す重要性~『野菜』について

野菜は、ビタミンやミネラル、食物繊維をふんだんに含んでいます。複数の研究で野菜を多く食べること は脳卒中や心臓病などにかかる確率を低下させるという発表がされています。野菜に含まれるビタミン は、ごはんやパン、麺類に含まれる炭水化物が体内でエネルギーに変わる手助けをしてくれます。またミネ ラルは、生体機能の維持・調整に不可欠で、特に野菜に多く含まれるカリウムは、余分なナトリウム(食 塩)を体外に排泄するのを手助けしてくれ、高血圧の予防にもなります。色の濃い野菜(カボチャ、水菜 など)にはカルシウムも多く含まれています。野菜を食べるということは、食生活全般を見直すことにつなが ります。

血糖値について

血糖値が高い状態を高血糖といい長く続くと血管が傷つきはじめ、動脈硬化を引き起こします。また 糖尿病などの危険が高まります。糖尿病はインスリン分泌の不足などで血糖値が慢性的に高くなる病 気です。

野菜の先食べ!~食後血糖値の変化~

下のグラフは野菜(サラダ 80 g)を先にしてごはん( 200 g)を後に食べた時と、野菜を後にしてごはんを 先に食べた時の血糖値の推移が図 1. で示されています。野菜を先に食べた時の方が血糖値がゆるや かに変化しています。

空腹時に急いでごはんやお菓子を食べると、体のなかでは血糖値が急上昇します。血糖は脂肪に変 わる働きがあるので、この状態を繰り返していると太りやすい身体になります。

野菜の先食べ!~食後インスリン値の変化~

野菜を先に食べた時は、インスリン値の増加もゆるやかです。 インスリンが急激に上がると、次第に膵臓の機能を弱めて、年月をかけて糖尿病になる恐れがあります。

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