ダイエットの本質

私はマンツーマンでクライアントの目的に合わせたトレーニング指導をするパーソナルトレーナーという仕事 をしています。トレーナーというとアスリートのトレーニングを指導するものと思われますが、私は一般の方を 指導する機会が多いトレーナーです。中でもダイエット指導の経験は10年以上にもなります。私がまだト レーナー活動を始めたばかりの頃は、正しい運動と食事の摂り方について指導をしていればダイエットの成 果は出るものと思っていました。しかし活動をしていくと、拒食や過食をしてしまう摂食障害のクライアント。 明らかに痩せているのに自分はまだまだ太っていると言い張るクライアント。体重ばかり気にしてしまうクライ アント。など色々な人と出会いました。その中で筋トレと有酸素運動をして摂取カロリーを減らす指導をす るだけではなく、さらに深く踏み込んでそのクライアントの考え方や気持ちを考慮した上で指導しなければ いけないことに気付きました。

この本はダイエット方法を紹介するハウツー本ではなく、これまで何回もダイエットに失敗してしまっている 人にダイエットの捉え方を見直すきっかけになればと良いと思い書きました。

 

ダイエットをする人の認知の歪み

ダイエットをしている人は体重の変化にとても敏感です。毎日体重計に乗って体重が昨日より100g 減っていればやったと喜び、反対に100gでも増えて入れば落ち込む人が非常に多いのです。まして昨日 より1kgも増えていたらそれはひどく落ち込みます。そもそもダイエットはただ単に体重を減らすことではな く、筋肉をなるべく減らさずに脂肪だけを減らすのが理想です。たった1日で減る脂肪の量はわずかなので す。

例えば、昨日の夜は食べ過ぎたから体重が1kg増えてしまったと落ち込む人は、増えた体重が脂肪に よるものだと思い込んでいたりします。人の体には恒常性といって体重を一定に保つ働きがあります。サウ ナに入って汗をかいて体重が減ったとしても体内から水分が出ただけなので水を飲めば体重は戻ります。 昨日食べすぎたからといって食べた物がすぐに体脂肪として蓄積されるわけではなく昨日の夜に比べて体 重が増えてしまった分はほとんどが水分ですよと説明してもなかなか分かってもらえません。いや何となくお 腹周りに脂肪が付いた気がすると言ったりします。なぜこのように説明をしているのに分かってもらえないの かというと、その人にはその人なりの物事の捉え方に癖があるからです。物事を客観的に見る事ができずに 歪んで捉えているからです。これを認知の歪みといいます。

 

認知の歪みとは

認知の歪みとは認知療法という心理療法で使われる言葉です。

認知療法とは、物事の捉え方を客観的合理的に修正していく心理療法です。うつ病の治療に効果 的な方法だと言われています。実はダイエットにおいてもこの認知療法の考え方が有効になります。

認知が歪んでいるのは物事の捉え方が正しくないということです。

先ほどの例を冷静に考えてみればわかることですが、たった1日での体重の増減は体内の水分量の変 化なのです。脂肪が減ったわけではないのでダイエットの本来の目的から考えると一喜一憂する必要はな いのです。

明らかに痩せている人が自分は太っているから痩せないとダメだと思い込んでいる人も認知が歪んでいるといえます。

 

どうして認知が歪むのか?

物事の捉え方は自分がこれまでに生きてきた価値観や信念に影響されます。

特にダイエットにおいての認知の歪みは価値観によるところが大きいです。

例えばテレビCMで最初は暗い表情をしたお腹が出ている男性が映り、その後、絞りきった体で自信 満々の表情をして出てきます。そのような映像を見ると太った体は悪くて、痩せて引き締まった体は良いこ とみたいな印象を与えます。雑誌では脚の細いモデルが載っていたりするとそれを見た女の子は脚が細く ないといけない価値観を植え付けられているのです。生まれてからずっとそのような環境にいると知らず知ら ずのうちに痩せていることはキレイなことと認知してしまうのです。一度そういう認知をしてしまうと変えること は難しくなります。正しい認知を身につけるのは、物事を客観的に捉える癖を付けていくことです。価値観 は国や時代によって変わるものです。違う国に行けば太っている女性のほうが痩せている女性より魅力的 だという価値観もあれば、かつて中国が唐の時代では纏足(てんそく)といって足の小さい女がかわいいとい うことで、足が大きくならないように足の指を折り曲げて小さな靴を幼児期から履かせたりしていました。今 の時代から見たらとてもおかしいことと思うのですが、当時はそれが当たり前の価値観だったのです。

自分がダイエットをする価値観はどこから来ているのでしょうか? ダイエットをしている人は一体何のため にしているのか考えてみましょう。

体重が何キロでないと自分を認められないのか?

脚が細くなりたいのは何のため?

誰かにがんばっているねと褒められたいからダイエットをしているのか?

紙に書き出していくのがいいでしょう。そこで自分の価値観に気付くことができます。

 

ダイエットとセルフエフィカシーについて

セルフエフィカシーとはあまり聞き慣れない言葉ですが日本語で自己効力感と言い、ある行動をしようと した時に、自分はそれがうまく出来るのだという自信のことをいいます。セルフエフィカシーが高いと、その行 動をするための努力を惜しまず、失敗したとしても諦めにくいと考えられています。

少しわかりにくいので、セルフエフィカシーが高くなるとどうなるのか具体例を私の体験談で紹介します。

私はトレーナーという仕事柄「小さい頃からスポーツ万能で運動が得意だったのでしょうね」と人から良く 言われるのですが、実は小さい頃の私は運動が大の苦手で、中学生の時の体育の成績は2でした。その 頃の私は、自分は運動神経が悪いと思い込み、体育の授業が好きではありませんでした。そんな運動が 苦手な私ですが高校では格闘技に興味があったので柔道部に入りました。

柔道部の練習で、頭で跳ね起きるヘッドスプリングというのがありました。

運動が苦手な私はどうせできないだろうと思ってやってみると何とそれが偶然できてしまったのです。

「あれ? 何でできたのかな?」と思いもう一度やってみるとまたきれいに起き上がることができたのです。 ヘッドスプリングが偶然できてしまった私は次に図書館でマット運動や鉄棒の技術を書いた本を借りて読 むことにしました。そこには手の付く位置や踏切のタイミングなどが書いてありました。そこでその通りにやって みると上手くできたのです。

「俺って今まで運動が苦手だと思っていたけど、実は得意なのではないか」と思い始めました。今まで出来 ないと思っていたことができると、自分はやればできるのだ。もっとやってみよう。がんばろうと意欲が出ます。 これがセルフエフィカシーが高い状態です。それから体育の授業が好きになり、成績が2から4に上がること が出来たのです。

いかかでしょうか。これが私の体験談です。セルフエフィカシーはダイエットにも当てはまります。セルフエフィ カシーが高い人ほど成果が出やすくなるので行動が強化されます。反対にセルフエフィカシーが低いと、運 動神経が悪いと思い込んでいた小さい頃の私のように、「自分は上手くできない」という気持ちになり、行 動自体を起こせなくなってしまうのです。

 

セルフエフィカシーを高める方法

セルフエフィカシーが低くても高める方法があります。それは成功体験を積むことです。成功体験というの は自分が実際に行なってみて、うまくできたという経験のことです。この成功体験は決して大きなものでなく ても構いません。むしろ小さな成功体験をたくさん積むほど自信が付き「自分はやれば出来るんだ」「よし もっとがんばってみよう」という気持ちが高まります。私の場合はヘッドスプリングが出来たということが成功 体験を積むことになりました。

セルフエフィカシーが低い人の特徴として体重が何kgになることが成功体験だと思い込んでいます。そう なるとなかなか達成することは困難です。実は既に成功体験をしているのですが本人が気付いていないの です。例えば、トレーニングをしていると体重の減少だけではなく、体が軽くなった。階段を昇っても息が上 がらなくなった。肩こりが改善した。

あるいは前よりチョコレートを食べる量が減った。などこれらは全て成功体験なのです。体重の減少だけ が成功体験ではないのです。体に起きた変化や行動が変わったことはもれなく成功体験にカウントしてい きましょう。

 

完璧主義を見直そう

次は完璧主義の人へのセルフエフィカシーを高めるための注意点です。完璧主義とは完璧な状態を目 指す考え方や精神状態のことを指します。

テストで90点や95点では満足できなくて、常に100点満点を目指すようなタイプです。

このようなタイプはダイエットにおいても完璧を追い求めようとするので高すぎる目標を設定する傾向があ ります。

例えばある完璧主義の人が「1か月で10kg痩せる」という目標を立て、取り組んだ結果が1ヶ月で 10kgではなく5kgだった場合はどういう気持ちになるでしょうか。

「10kg痩せるつもりだったのにまだ5kgしか痩せていない。全然ダメだな」と満足することはないでしょう。達 成感を得ることができずに失敗した体験が残ります。するとダイエットに対する意欲も落ち、やる気がなくな ります。高すぎる目標を設定すると失敗する可能性も高まります。失敗ばかりしていてもセルフエフィカシー は高まりません。1ヶ月で5kg痩せたとしても十分成功と言えるのですが、完璧主義の人は、できなかった ことに目を向け、できたこと認めようとせずに失敗したと思うのです。これも認知が歪んでいることのひとつで す。修正方法としてはできなかったところを見るのではなく、ちゃんとできたところにも目を向け認めるようにし ていくといいでしょう。

 

目標設定のハードルを下げる

セルフエフィカシーを高めるには成功体験を積むことなので高すぎる目標設定は下げればいいのです。こ こでポイントはどれくらい目標設定のハードルを下げるかです。

目標設定は高すぎると失敗しやすく、かといって下げすぎると簡単にできてしまいます。

簡単にできてしまうものを達成してもセルフエフィカシーは高まらないといわれています。一番良いのはでき るかできないか半々ぐらい、ちょっとがんばればできるような目標設定にしたほうが、達成した時にセルフエ フィカシーが高まるといわれています。例えば、ダイエットのために毎日5kmジョギングをするという目標を立 てたとします。しかし、実際は毎日ジョギングができない日が続くと、毎日走ろうと思ったのに全然できてな い自分の立てた目標ができないなんて駄目だと思って段々とやる気がなくなり、自分を責めたりします。こ の場合は目標設定が高いといえるでしょう。毎日ではなく週3回にしてみる。5kmでなく3kmにしてみる。 ジョギングではなくウォーキングにする。などこれだったらできるというような目標に変えてみましょう。それから 徐々にちょっとがんばればできるような目標に変えていきましょう。こうすることで失敗する体験が減り成功 体験を積むことができるのです。

 

マインドフルネスでダイエット

マインドフルネスとは聞きなれない言葉かもしれません。

マインドフルネスとはどういう意味でしょうか? 言葉を見る限りではなんとなくわかる方もいるかもしれませ んが、「意図的に、現在の瞬間に、そして瞬間瞬間に展開する体験に判断せずに注意を払うことで現れ る気づき」という意味に訳されます。

これだと少しわかりにくいかもしれません。

簡単に言えば「今この瞬間を意識的に生きる」ということです。

「え? 今を生きる? みんな今を生きているんじゃないの?」と思う方もいるでしょう。しかし私たちの多く は実は「今この瞬間を生きてはいない」のです。

どういうことか一つ例を挙げます。

何かのスポーツを行っていた方は試合前に緊張したという経験をお持ちだと思います。特に重要な試合 や初めて出場する試合では緊張の度合いも高かったでしょう。スポーツの試合前に緊張するというのは特 に珍しくもないことです。ではどうして試合前に緊張してしまうのでしょうか?

それは、頭の中に「失敗したらどうしよう」や「力を発揮できるかな」という不安や恐れがあるからです。こ の不安や恐れが試合前に現れる理由は、まだ起こってもいない未来の事を勝手に想像して 考えているからです。

頭の中は未来に行っています。つまり今この瞬間を生きていないということなのです。

日常の生活でも同様です。

ご飯を食べているとき、あなたはご飯を食べる事に意識を向けていますか?

歯磨きをしているとき、あなたは歯磨きに意識を向けていますか?

歩いているとき、歩いていることに意識を向けていますか?

きっと昔の思い出や空想に浸ったり、すでに終わったことを後悔してクヨクヨ考えたり、将来への不安を感 じたり悩んだりしているのではないでしょうか?

もちろんネガティブなことばかりでなく楽しい、嬉しい、気持ちいい思い出や未来の出来事を想像したりも するでしょう。

このように私たちの心は「今この瞬間」ではなく過去や未来に囚われていることが非常に多いのです。

 

過去や未来の囚われがストレスの原因

不安や怒り、恐怖といったストレスを感じる出来事に遭遇すると心臓の鼓動が速くなり、同時に呼吸も 速くなっているでしょう。また顔が引きつったり手足が震えたりします。これは交感神経が強く刺激されたこ とによる身体の反応です。身体の機能としては正常な反応なのですが、このストレスを感じる状態が長く 続いたり、頻繁に起こっているといろいろ問題が身体に起こってきます。血糖値の値や血圧が高くなりま す。そうすると糖尿病や脳卒中のリスクが上昇します。また緊張すると筋肉が硬くなるので腰痛や肩こりに 悩まされることにもなります。交感神経が強く刺激されるとリラックスすることが難しくなりますので睡眠も浅くなります。これがいわゆるストレス症状と呼ばれるものです。

ストレス症状を避けるにはストレスを感じる出来事に遭遇しなければいいというわけではありません。

なぜなら今ネガティブな事に遭遇していなくても過去に経験したネガティブなことが思い出されるだけでイ ライラや怒り、不安や悲しみの感情が引き起こされるからです。また未来に対する不安を思い浮かべるだ けでも同様の感情が引き起こされます。

現代社会は何かに追われてゆっくり自分を振り返る時間もなく、いつのまにか時間が過ぎ去っていきま す。

このような状態では心は「今この瞬間」ではなく過去や未来に囚われやすくなります。

現代社会に生きる私たちはストレスを受けやすいと言われますが、過去や未来に囚われることが大きな 原因の一つでしょう。

 

ダイエットがうまくいかないのもストレスが原因!?

多くの方がダイエットに失敗しうまくいかない大きな理由の一つにストレスが考えられます。

ここで先に正しいダイエットの方法について簡単に述べます。

ダイエットのメカニズムとは物凄く単純です。入ってくるエネルギー(カロリー)よりも出ていくエネルギー(カロリー)が大きいと体重は減ります。逆に入っ てくるエネルギー(カロリー)が出ていくエネルギー(カロリー)よりも大きければ体重は増えていきます。

体重を減らしたければ運動して出ていくカロリーを増やすか、食事制限をして入ってくるカロリーを少なく するかです。

基本的にダイエットはこれだけです。運動して食事を制限すること。これが確実なダイエットの王道です。

しかしここに落とし穴があります。出ていくカロリーを大きくしようとして運動量を増やすことは効率が悪い のです。

なぜなら運動ではみなさんが思っているよりカロリーは消費しないからです。

例えば、1時間ウォーキングしたとしましょう。

どれくらいカロリーを消費すると思いますか?

たったの200キロカロリーほどです。もちろんこの数字はその人の体重や筋肉量、元々の代謝量にもよっ て多少は変わるのですが、おにぎり一個食べるとチャラになるカロリー。

忙しい現代人に毎日1時間ウォーキングに時間を割ける人は少ないのではないでしょうか? また毎日 1時間のウォーキングを続けるモチベーションを維持できる人はどれくらいいるでしょうか? おそらくそんな人 はこの本を読んではいないはずです。

運動して出ていくカロリーを増やすよりも食事を制限して入ってくるカロリーを減らす方が多くの方にとって 容易でしょう。毎日1時間ウォーキングを続けるよりもおにぎり一個分のカロリーを一日の食事全体から減 らす方が簡単だと思いませんか?

ダイエットを成功させるコツは運動よりも食事量をいかにコントロールするかなのです。

しかしやみくもに食事制限する事はおススメしません。

人間にとって食事制限は大きなストレスになります。

みなさんはストレスを多く感じた時に「今日は食べてやるぞ」とか「ヤケ食いだぁ」となったことはありません か?

私たちはストレスを多く感じると食行動に走りやすくなると言われています。

私たちの脳は食事をすると快楽物質であるドーパミンやセロトニンが分泌されますよね。このドーパミンや セロトニンは気持ちよい気分にさせるだけでなくストレスを消す役目もあるのですよ。ちなみにうつ病の方の 脳はセロトニンの分泌量が少ないと言われています。

他にも脳内の快楽物質を分泌させる方法はあるのですが、現代では食べる事が手っ取り早く脳内の 快楽物質を出すことができるのでストレスを多く感じると食べる量が増えてしまうのです。痩せようと思い食 事量を減らしても、それによって生じるストレスのために後々食事量が増えてしまいダイエットがうまくできな くなります。

 

ストレスの影響を受けにくい心と身体を作るには!?

ここまで過去や未来に囚われて「今この瞬間」を生きることができない人はストレスを受けやすいと書い てきました。

ではどうすれば過去や未来に囚われず、「今この瞬間」を感じることができるのでしょう??

それはずばり!!! マインドフルネス瞑想です。

「瞑想? 僧侶が行っているあれ? なんか難しそう・・・」

瞑想を知らない方にとっては敷居が高く難しそう、または新興宗教のような怪しいイメージがあるかもし れませんが、実はそうでもないんですよ。

基本的なマインドフルネス瞑想であれば誰でもすぐに取り組むことができます。

ここでは誰でも日常に行える呼吸の瞑想を紹介したいと思います。

まず楽な姿勢を取りましょう。寝ても座ってもかまいません。自分が一番リラックスできる体勢になります。

楽な姿勢が取れたら口から大きく息を吐きましょう。息を吐くときは体の中や心の汚れが全て出ていくイ メージを持ちます。

吐き切ったら次は鼻から大きく吸います。先ほど出て行った息が浄化されて戻ってくるイメージを持って 吸いましょう。口から全ての空気が吐き出されていれば自然と大きく吸えるはずです。

これを5分繰り返します。コツは呼吸に意識を集中させることです。 おススメな行う時間帯は寝る前とネガティブな気持ちに囚われたときです。寝る前に行うと睡眠が深くなり精神と身体の疲れやストレスが取れやすくなります。

ネガティブな気持ちに囚われた時に呼吸に意識を向けてみてください。繰り返し行っているとネガティブな 気持ちになってもすぐに気持ちを切り替えるようになりストレスをためることもなくなります。

最初はうまく出来ないかもしれませんが、毎日根気よく続ければうまく出来るようになりますよ。

一度身につけると一生役に立ちます。取り組む価値は充分にあるはずです。

 

誰があなたに「痩せたい」と思わせているのか?

みなさんはどうして痩せたいのですか?

痩せるとキレイになるから?

痩せると自信がつくから?

痩せると可愛いから?

他にもたくさんの痩せたい理由があるかもしれません。

そこでみなさんに問いかけたいと思います。

あなたは本当にそう思っているのですか?

そう思っているのではなく、思い込まされているだけではないですか?

「いや、これは私の意見だ。本当にそう思っている」と感じた方もいるでしょう。

しかしよく考えてみてください。

痩せている方がキレイとかスリムだと可愛いというのはテレビや雑誌などで目にしたからそう思ったのではな いでしょうか? 痩せている方がキレイという価値観は誰かがあなたに植え付けたものなのです。

 

痩せた方がキレイという価値観を誰が植え付けたのか?

では誰があなたに痩せている方がキレイという価値観を植えつけたのでしょう?

その代表はテレビや雑誌などのメディアです。テレビに出てくる女優やモデルの方々はみんなスリムです。いや、スリムどころか一般的に言えば彼女らは 標準体重を大きく下回るほど細いのです。

彼女らがテレビに出てくると、それを見る人にとっては無意識に痩せている方が良いというイメージを植え 付ける事になります。なぜなら日本人の多くはテレビで流される情報は正しいと認識するからです。活字と 違って映像はダイレクトに心に影響を与えます。これはファッション雑誌に掲載されるモデルの写真でも同 様です。

テレビやファッション雑誌に「こういうスタイルの女性がキレイだよ」と無意識に洗脳された人達はその体型 を目指そうとします。テレビや雑誌に出てくる芸能人やモデルはありえないくらい細いので、とくに肥満ではな い標準体重の人達もダイエットしようとします。

しかしこうした女性の大半はダイエットに失敗します。体重が落ちてもすぐに元に戻るからです。健康的 に痩せる必要のない女性達は頭では痩せたいと思っていますが(思わされている)、体は痩せる必要はな いと理解しています。体は生命や健康を守ることを優先するので体重が減るということに対して強く抵抗す るのです。

この頭と体の綱引きは最終的に体が勝ちます。だからダイエットは必ず失敗するようになっています。体の防衛反応により体重が落ちないようになっているからです。問題は体を守るために体重が落ちない ことを「自分は意思が弱い」や「自分は何をやってもダメだ」というように解釈し自分を責めることです。

これが続くと摂食障害やうつ病に陥ります。摂食障害やうつ病まで行かなくても、痩せないことについて 悩み、自己嫌悪に苦しむことも多くなります。この自己嫌悪が大きなストレスになり、食べる量が増えま す。(ストレスを感じると食べる量が増える理由は第二章に書かれています)

その結果、リバウンドします。リバウンドすると自己嫌悪に陥りストレスをため、そのストレスを解消するた めに食べる量が増え……と負のスパイラルにのめり込んでしまいます。

メディアはこのように「痩せているほうが素晴らしいんだよ」という価値観を押し付けると同時に「世の中に はおいしい食べ物がこんなにたくさんある。食べなきゃ損だよ。」というメッセージも送ってきます。

町を歩けば、おいしそうな食べ物の広告や看板が目に入り、嫌でも食欲が刺激され、これを我慢するの は至難の業でしょう。この事が痩せたいのに食べてしまうことにさらに拍車をかけてしまっているのです。

 

ダイエット洗脳から逃れるには?

ここまで見てきたとおりみなさんはメディアによって「痩せたい」と思い込まされ、自分の意思とは関係なく ダイエットをやらされてきました。

はっきり言えばあなたはメディアに洗脳されているのです。

そしてその結果、摂食障害や自己肯定感の低下などを招き、悩みや苦しみに囚われることにもなり人 生を生きる上で小さくない影響を及ぼします。

こうならない一番の方法はテレビやファッション雑誌は一切見ない事です。

1週間ほどメディアと距離を置けば、痩せたいという気持ちが薄れていくのが実感できるはずです。またあ れが欲しい、これが食べたいという気持ちもなくなってきます。

もうひとつは自分自身に「なぜ?」とつっこみを入れる事。「痩せたい」と思っている人は「なぜ痩せたいのだろう?」とよく考えてみるのです。

たいていはみなさんが思っている痩せたい理由は植え付けられているものなので、「なぜ?」と考えてもす ぐに答えが出てこないと思います。答えが出てきても、出てきた答えは本当かな? とまた考えます。この作業に時間をかけてください。

「なぜ?」と考えても理由がまったく出てこない場合は、「自分は痩せたいと望んでいないんだ」と考えてよ いでしょう。

この自分の心と向き合う作業をすると「私は本当は痩せたくないんだ」と気づくかもしれませんが、それで いいのです。

そういう方はダイエットして痩せる必要はありません。むしろ「痩せたい」の囚われがなくなるとストレスを感 じなくなるので、結果的に自然と無駄な体脂肪が落ちスリムになるでしょう。「痩せたい」という囚われから 抜ける事が結果的にダイエットに成功するのです。

 

マインドフルネスであなた本来の美しさに気づきましょう

あなたはなぜそんなにダイエットを頑張ろうとするのでしょうか?

あなたのその頑張ろう! やダイエットしなくっちゃ! のエネルギーはどこからきているのでしょう?

そしてそのエネルギーはたとえば言葉におきかえるとどんな言葉が浮かんできますか?

これらの心理メカニズムをすこしお話しいたします。

あなたにある出来事が起きたとき、自動的に頭の中を流れる考えがあります。

たとえば失恋してしまったときに「あぁ、もう自分は立ち直れない」や「こんな失恋をする自分はダメな人 間だ」などの自分への語りかけです。この自分への語りかけを自動思考と呼びます。

自動思考はもちろんネガティブな言葉だけではありません。

「よし! 新しい恋をみつけよう」「縁がなかっただけ」など肯定的な自動思考もあります。

私はよく私の中のAさんBさんなんて表現します。あなたも思い当りませんか?

この頭の中を流れる考えは、ネガティブなものもポジティブなものもどちらも外の世界から自分のココロに 向かっているのです。だれの言葉なのか? だれに伝えられたのか? 不思議ですよね。

ここでお伝えしたいのはそんな呪縛のような自動思考をマインドフルネスで解き放そう!ということなので す。そう。解き放すことができるのです。マインドフルネスとはネガティブといわれる思考もポジティブな思考も またあなたに起こりうる感情すべてを観る事です。あなたのココロの目で。思考や感情にとらわれないである のは「今ここ・の気づき」だけ。

失恋して落ち込んでいる自分。悲しい自分。そのままの自然な自分の反応をただただ感じるのです。

そしてひとつずつ手放してゆく。

マインドフルネスは「今ここ・の気づき」をとても大切にします。

そう! そのままのあなたをあなたが受けとめるのです。

あなたが頑張ってダイエットに取り組んだとき、ダイエットに疲れたなと感じたとき、失敗したなと思ったと き、はたまたリバウンドしてしまったとき、に置き換えてみましょう。

どのような自分への語りかけが頭を流れるしょうか? そしてその語りかけはどんなイメージですか?

あなたにとってその語りかけはたとえば「どうして自分はあの人のようになれないんだろう」「決めたことがで きない自分はダメな人間だ」「完璧なスタイルを手にいれるまではやめられない」「スタイルがよくないと彼氏 ができないのにまた自分は失敗した」このような自分を追い込み、責めるような辛いイメージで語りかけてい ませんか?

いかがですか? このようなとても自己肯定感が低い自動思考をされていませんか?

どうしてこんなに苦しい言葉が浮かんでくるのでしょうか?

なぜ自分はこのような自動思考をしてしまうのでしょう。

このような自動思考ではなくもっといきいきと明るく自信に充ち溢れんばかりの自動思考をしてみたいと 思いませんか?

そしてダイエットにコントロールされることなくダイエットに取り組む自分をコントロールしたいと思いません か?

ではこの自動思考をもうすこし理解していただきそしてよりマインドフルネスな毎日を手に入れていただく ためにあなたの思春期にすこしさかのぼってお話ししてみましょう。

あなたの10歳から14歳くらい、さぞ可愛いかったことでしょう。この時期、脳の神経回路の形成はほぼ ピークに達します。

いろんなことに臨機応変に対応できるようになり今までとは違いいろいろな事に広く目が向くようになりま す。また社会にも強い関心を示したり感受性が豊になり、そしてあなたの大切な身体も変化を迎え、異 性の存在も気になりはじめたことでしょう。

この時、家族との関係にも変化が表れませんでしたか? あなたは親しみを感じる仲間に同調するよう になり家族(養育者・父親・母親)への依存が減少し、あなたの世界をつくって家族(養育者・父親・母 親)からは離れて、あなたはあなたの世界に入ろうとしていました。このような繊細な成長期を経ていまのあ なたがあるのです。

この思春期の心理を「思春期心性」といいます。この時期はあなたの人格形成において大きな影響を 与えます。他人とくらべること、親から求められることなどの他者(自分以外のひと)からの自分の評価にとて も影響を受けやすい時期です。

そしてまさにこの時期は「美醜」についてもとても意識が高まります。ですから私たち大人(養育者・父 親・母親)とのかかわりがあなたにとってとても大きな影響をおよぼしたことは間違いないでしょう。

そのころ「女の子はきれいでなくちゃお嫁さんになれないよ」「もうすこし身だしなみをちゃんとしなさい」「○○ ちゃんは可愛いのにあなたは……」などという言葉をかけられていませんでしたか? またはなんでもお母さ んが決めてしまってあなたは言いたいことを抑えて言いなりになって行動していたなどということはなかったで すか?

「思春期心性」の時期、あなたの肉体は成長し変化して、あなたは自分の外観を大人のように認識して います。同時に自分からみる大人の世界(社会)への不安を感じています。このようなとても不安定なここ ろと身体のバランスのときに、あなたのこころは自分を支えるなにかを強く求めます。

そんなアイデンティティを抱える思春期のココロ。

この時期にあなたは家族(養育者・父親・母親)とどのようなかかわりをしていましたか? すこしふりか えってみてください。

このときの環境やことばはあなたに影響を与えたことでしょうね。あなたの人格形成においてとても大事な 時期にあなたが必要としていたのは、さきほど列記しました言葉かけなんかではなく、そのままの存在を認 めてもらうことだったのです。

それってどういうことかといいますと。

〈他者は他者 あなたはあなた〉というとてもたいせつなことを、人と比べて伝えられるのではなく、あなた 自身の存在 あなたがかけがえのない存在であるということをただそのまま伝えてもらいたかったのです。

それはほんとうにすばらしく美しい存在であるということを。

そう。あなたは無条件に愛してもらいたかったのです。そのままで美しいということを伝え、表現してもらい、 無条件に愛してもらいたかったのです。私は決してそうではなかった家族を恨めと言っているのではありませんよ。

どうでしょうか? 今でもこのような言葉かけをされている環境・家族(養育者・父親・母親)との関係なの でしょうか?

あなたはあなた。あなたの人生を歩んでいいのですよ。

この本をここまで読んであなたはもう気づかれたと思います。

そしてこの瞬間からあなた自身であなたの自動思考を変えることに取り組めます。

辛い苦しい、疲れきってしまうダイエットとはおさらばです。

眼を閉じてゆっくり呼吸をしながらあなた自身の身体としっかり対話してください。

そして「そのままがすばらしい」というメッセージをあなたがあなた自身へと伝えるのです。

マインドフルネスで「今ここの気づき」をしっかり感じ取ることでどんどん自分へと意識が向くようになりま す。

すると周囲にふりまわされない、軸のしっかりとした女性へとあなたはどんどん変わってゆくことでしょう。

あなたはあなた自身を愛おしく思えるようになります。

本来持っているあなたの美しさに気づき、自分自身を愛するとても素敵な女性へと変身してゆくので す。

もう今までのような苦しい、辛い、まちがったダイエットの繰り返しなんて、見向きもしなくなる事しょう。

この本を手にとられて読まれたこと、この出会いを大切に。

どうぞあなたの美しいかけがえのないたったひとつの大事な身体を痛めつける様な危険なダイエットには 取り組まないでほしいと切に願います。

自分自身を愛し、そして活き活きとひとりのひととして社会で生きてゆく。そんな過程で『自分のからだづくり』に励むこと。わたしはあなたを応援いたします。

Pocket
LINEで送る